FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米中貿易摩擦激化を嫌気した売り後は下げ渋る

週末の米中間の報復関税の応酬でセンチメントが悪化した。NYダウ先物が軟調に推移し、外国為替市場で円高が進行する中、日経平均株価の下げ幅を一時500円超に拡大した。その後、追随売りが出ず、ドル/円相場もやや円安に戻したこともあり、一旦投資家心理も落ち着いた。米中緊張の高まりや米国の実体経済に悪いデータが出た場合には、利下げすることがコンセンサスになったこともやや安心感につながったと見られる。また、日銀のETF(上場投信)買い観測も下支え要因視される。結局、前週末比449円の2万0261円と大幅反落した。

 

東京外国為替市場:仕掛け的な円買い後にショートカバーで買い戻し

ドル/円は、オセアニア時間帯で米中貿易摩擦がエスカレートしていることを背景に、海外投資機筋から仕掛け的なドル売り・円買いが持ち込まれて、一時104.40円近辺まで急落したしかし、東京市場ではこの流れが反転、国内輸入企業などが値ごろ感からドル買い・円売りに動き105円台前半へ切り返した。中国人民銀行が発表した人民元の対ドル基準値が、前営業日より元高に設定されたことも、過度なリスク回避し姿勢を和らげて円売りを誘った。その後も、中国の劉鶴副首相が『冷静な交渉で米中通商の解決を望む』との見解を示すと、短期筋などからショートカバーが入り、105.80円近くは急反発した。しかし、世界景気の先行き不透明感が一段と強まっていることから伸び悩むと、105円台半ばへ下落する荒い値動きとなった。午後は米長期金利の低下を眺めたドル売りに押されて、105.20円付近へ軟化した。しかし、今晩の米国株動向を見極めたいとの雰囲気から下げ渋り、105.25円を挟んだもみ合いになった。ユーロ/ドルは、新規の手掛かり材料に乏しく、1.11ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。

 

英議会は例年通り9月に休会入りとなるのか:合意なき離脱の可能性高まる

英議会は夏季休暇明けの9月3日に再開するが、2週間余り議会を開いた後、例年なら秋に各党が党大会を開催するために再び3週間の休会に入る。10月初旬の議会再開から17-18日の欧州首脳会議、月末の離脱期限日まで時間はわずかしかない。最大野党・労働党のコービン党首は、9月議会再開後に内閣不信任案を提出する予定で、不信任案が可決された場合、コービン氏は暫定首相となってEU離脱を延期し、解散総選挙とEU離脱をめぐる2度目の国民投票を行う方針だ。一方、ジョンソン英首相は内閣不信任案が可決されでも確実にEU離脱するように辞任を離脱後に延期するとの報道も出ている。

 

23日のパウエル米FRB議長は追加利下げに踏み切る可能性を示唆

パウエル議長が23日、アメリカ西部ワイオミング州のジャクソンホールで講演を行うのに先立って発言の内容を公表した。この中でパウエル議長は、世界経済の減速や金融市場が荒れもようになるなど状況が変わってきているという認識を示したうえで「景気の拡大を維持するため、適切に行動する」と述べ、追加の利下げに踏み切る可能性を示唆した。パウエル議長は先月、およそ10年半ぶりの利下げに踏み切った後の会見では『長期にわたる利下げの始まりではない』と述べ、追加の利下げには慎重な姿勢を示していた。しかし、トランプ大統領のたび重なる利下げへの圧力に加え米中の貿易摩擦によって景気の先行きへの懸念が高まっていることから、来月の会合で追加の利下げが必要だという判断に傾いているものと見られている。

 

米企業の自社株買いが減速傾向:米国株の下押しリスクが高まる

米企業の自社株買いが1年半ぶりの低水準に減速している。法人税改革を受けた自社株買いの勢いが弱まるにつれ、この先市場のボラティリティーが一段と高まる兆しかもしれない。S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズの推計によると、S&P500種構成企業が2019年4-6月期に実施した自社株買いは総額約1660億ドル(約18兆円)と、1-3月期の2058億ドル、前年同期の1906億ドルをともに下回った。これは2017年10-12月期以来の低水準で、2四半期連続の減少となる。米中貿易摩擦の激化で相場のボラティリティーが高まったなかで企業が自社株買いの手を緩めたことに、一部投資家は警戒感を強めている。S&P500種株価指数は5月に7%近く下落したが、自社株買いデータからは、企業が18年10-12月期のように株価の下支えに踏み出さなかったことがうかがえる。これは企業が支出を引き締めている可能性を示す。企業幹部は対中貿易摩擦が長引く中で新たな関税の脅威にさらされているうえ、業績軟化や世界的な成長減速の兆候、連邦準備制度理事会(FRB)の金利政策を巡る不確実性にも直面している。

 

米国市場では7月耐久財受注が公表

全体の6月実績は前月比+1.9%とやや高い伸びを記録した。民間航空機・部品の受注増によるものだが、航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注も前月比+1.9%の高い伸びを記録した。7月については、6月に増加した反動や米中貿易摩擦が長引いていることから、、全体とコア資本財の受注額の大幅な増加は期待出来ないとみられる。

 

欧米イベント

○17:00   8月独Ifo企業景況感指数(予想:95.1)
○21:30   7月米耐久財受注額(予想:前月比1.1%/輸送用機器を除く前月比横ばい)
○英国(サマーバンクホリデー)、休場

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