FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:様子見ムード強いが円安を好感

寄付きは安く始まったが、押し目買いが入ってプラス転換となった。ドル/円が朝方からやや円安に振れたことや、NYダウ先物がプラス圏で推移したことなどをながめて上値を伸ばした。ただ、パウエル米FRB議長の講演を前に様子見ムードも強く、材料のある個別銘柄が物色された。結局、前日比82円高の2万0710円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇でドルが底堅い展開

ドル/円は、本邦実需筋のドル買い・円売りや日経平均株価の持ち直しに支えられ、106.60円前後へじり高となった。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。しかし、106.70円前後がレジスタンスとして意識されると、上げは一服した。その後は、週末を控えた利食い売りも散見され、106.55円前後で取引された。中国人民銀行が人民元の対ドル基準値は、1ドル=7.0572元と前日よりも元安に設定されたが、市場の反応は限られた。午後は、株価や米金利動向をにらみながら、106.60円を挟んでもみ合いとなった。市場の関心は今晩ジャクソンホールで予定されているパウエルFRB議長の講演に集中しており、イベントを前に積極的に売り買いは手控えられた。ユーロ/ドルは、ECBが利下げや景気刺激策の導入に前向きな姿勢を見せいていることを背景に、一時1.1061ドル程度まで下落した。

 

材料視されなかったが米中貿易摩擦は後退せず

中国商務省の高峰報道官は22日の記者会見で、米国が9月1日に約1100億ドル(約12兆円)分の中国製品に10%の追加関税をかける方針を示していることに『米国が新たな関税措置を取れば、中国は断固として対抗措置を取る』と述べた。高氏は『一部を延期したが、あらゆる新たな関税措置は貿易摩擦を高め、大阪での米中首脳会談の共通認識に著しく違反し、中国は断固反対する』と表明した。そのうえで『仮に米国が独断専行を続けるなら、中国も相応の対抗措置を取らざるをえない』と強調した。

 

ドイツの景気減速がジョンソン英首相に追い風?

昨日21日、メルケル独首相はジョンソン英首相と会談し、その後に共同記者会見を開いた。そのメルケル首相だが、北アイルランド国境を巡るバックストップ条項を頑なに拒否する英首相に対して、意外と寛容な態度をみせた。超短期ではあるものの、独首相は英国が30日以内に代替案を策定できるとの見方を示した。 ジョンソン首相のもとで英国が『合意なきEU離脱』に突き進んでしまえば、弱含む独経済にも負担が圧し掛かることを懸念しているのだろうか。EUの中核国ドイツの経済減速が独側のブレグジット交渉態度を軟化させ、ジョンソン英首相の追い風となる可能性もある。

 

FRBによる利下げの理由が見当たらず

米労働省が22日発表した最新の週次新規失業保険申請件数は前週比1.2万件減の20.9万件と前回22.1万件から予想以上に減少し4週間ぶりの低水準となった。依然、過去最低水準付近で推移した。失業保険継続受給者数は167.4万人と、前回172.8万人から予想以上に減少。6月初旬来の低水準となっており、米国の労働市場が依然強い新たな証拠となった。
米国の8月製造業PMI速報値が49.9と活動の縮小を示す50割れとなるなど、関税や世界経済の成長減速の影響を受けて米国の製造業や企業投資の鈍化が目出ち始めたが、雇用は強く消費を支え今後も成長をけん引していく可能性がある。失業保険申請件数の予想以上の減少は8月雇用統計をおしあげる可能性もある。9月連邦公開市場委員会(FOMC)での政策決定で鍵を握る雇用統計の8月分が強かった場合、FOMCの利下げ決定を不透明にする。 FRBは物価の安定に加え、雇用の最大化を使命としている。そのため、現米国内の物価が安定しているほか強い雇用を維持していることから、利下げする理由はないと言える。

FOMCのメンバーは利下げに消極的。一方でトランプ大統領や市場は大幅な利下げを要求している。FRBの支援があまり得られないと見た米国債市場で長短金利は15日以降初めて再び逆転した。9月FOMCで追加利下げが見送られた場合、市場はより警戒感を強めリスクオフの動きが加速することになる。

 

欧米イベント

○20:00 ◎ 4-6月期メキシコ国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比横ばい/前年同期比▲0.8%)
○21:30 ◎ 6月カナダ小売売上高(予想:前月比▲0.1%/自動車を除く前月比横ばい)
○23:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ジャクソンホール会議で講演
○23:00   7月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲0.2%/64.9万件)
○米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)、テーマは「金融政策の挑戦」(ワイオミング州ジャクソンホール、24日まで)
○24日 主要7カ国(G7)首脳会議(G7サミット、仏ビアリッツ、26日まで)

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