FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株高を好感されたものの上値の重い展開

前日の米国株高が好感されたほか、外国為替市場でドル/円が106円台後半まで円安となったことが好感され、先物主導で上昇した。ただ、買いが一巡した後は模様眺めとなり、薄商いの中、プラス圏での小動きとなった。ドル/円相場も上値が重く、香港のデモなど地政学リスクもあり、材料不足でリスクオフトレンドの転換には至らなかった。結局、前営業日比199円高の2万0655円と反転して終了した。売買代金は7月29日以来11日ぶりの2兆円割れとなった。

 

東京外国為替市場:終日106円台で振れる展開

ドル/円は、前日のNY時間に急伸した反動から、利食いなどに押される展開となり、106.18円付近まで下落した。中国国家統計局が発表した7月の鉱工業生産と小売売上高が、共に予想を大きく下回ったことも、円買いにつながった。しかし、対中制裁関税発動の一部先送りで、米中貿易摩擦を巡る過度な懸念が後退しており、下値を追う動きは限られた。午後は一部メディアが『中国政府は、9月にワシントンで予定されている貿易協議に前向きな姿勢を維持している』と報じると、ショートカバーが入って106.60円付近まで上昇した。日経平均株価の上げ幅が一時200円を超えたことも、リスク選好の円売りを誘った。しかし、今晩の米株動向を見極めたいとの雰囲気から上げは一服、106.40円台へ緩んだ。ユーロ/ドルは、1.11ドル台後半で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では4-6月期ユーロ圏域内総生産(GDP)改定値

4-6月期域内総生産(GDP)速報値は前年比+1.1%だった。市場予想と一致したものの、経済成長ペースは前四半期との比較で減速した。フランス、スペイン、オーストリア、ベルギーの経済成長はいずれも鈍化した。また、イタリアはゼロ成長。速報値ではドイツGDP統計が追加されるが、ドイツの成長率は1-3月期との比較で鈍化が予想されており、域内総生産の伸びはある程度抑えられることになる。

 

アルゼンチンペソは続落:5年以内のデフォルト確率上昇

13日の取引でアルゼンチンペソが続落し、同国債も値下がりした。11日に実施された大統領選の予備選挙で、野党候補のフェルナンデス元首相が現職マクリ大統領を抑えて首位となり、マクリ氏の再選が危ぶまれる状況となった余波が続いている。アルゼンチン国債の債務不履行(デフォルト)に対する保険の機能を持つクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は引き続き上昇した。IHSマークイットのデータによると、CDSのプレミアムは5年ぶりの高値を付けた前日の1994ベーシスポイント(bp)から一段と上昇し2116bpとなった。同水準が示す5年以内のデフォルト確率は70-75%となる。

 

インフレ指標上昇でも米国の9月利下げ見通しは変わらず

米労働省が13日発表した7月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.3%と、市場予想通り、6月+0.1%から上昇し4月来で最高となった。また、前年比でも+1.8%と6月の+1.6%から上昇し、予想の+1.7%を上回り3月来で最高となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)がインフレ指標として特に注目している燃料や食料を除いたコアCPIは前年比で+2.2%と、予想外に6月+2.1%から上昇した。1月来で最高となり、FOMCの目標である2%を17カ月連続で上回った。インフレの上昇や景気見通しの改善にもかかわらず、FRBが9月のFOMCで追加利下げに踏み切ることは依然確実視されている。ただ、金利先物市場での9月の50ベーシスポイントの利下げ確率は35%前後から11%に低下した。

 

日銀は重大なジレンマに直面:JPモルガン証券リポート

JPモルガン証券は14日付のリポートで『金利低下が続くと、日銀は日本の金融システムに対する副作用拡大と、急速な円高のどちらを選ぶかというジレンマに直面する』と指摘した。ドル/円は日米の長期金利差との相関性を維持しているといい、『この相関通りの動きが続けば、米10年債金利が更に0.3%低下すると、日本10年債金利はさらに0.06%程度低下することになり、マイナス0.30%に近づく可能性がある』という。その一方、『日銀がそれを許容すれば、ドル/円の下落は1.8円程度、104円ちょうど近辺で止まる可能性が高い。しかし、日銀が金融システムに対する副作用を懸念して金利低下を止めたり、反転させようとすれば、金利差はこれまでの相関以上に縮小してしまい、ドル/円の下落がこれまでの金利差の動きから想定される以上に加速してしまうリスクが高まる』ということから、日本の長期金利の低下に歯止めをかけようすすれば日米金利差の縮小に伴う円高・ドル安リスク出る恐れがあるという。その上でリポートでは『日銀は、長期金利の一段の低下とそれによる日本の金融システムに対する副作用というマイナス面を許容してこれまでよりも急速な円高となることを阻止するのか、あるいは日本の金融システムに対する副作用拡大を阻止すべく長期金利低下を阻止して、これまでの相関以上の円高加速を許容するのか、難しい二者択一を迫られていると考えられる』と指摘した。

 

欧米イベント

○15:00   4-6月期独国内総生産(GDP)速報値(季節調整済、予想:前期比▲0.1%/前年同期比0.1%)
○15:00   4-6月期独GDP速報値(季節調整前、予想:前年同期比▲0.3%)
○15:30   7月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比1.93%)
○15:45   7月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.2%/前年比1.1%)
○16:30   7月スウェーデンCPI(予想:前月比0.2%/前年比1.5%)
      コア指数(予想:前月比0.2%/前年比1.3%)
○17:30   7月英CPI(予想:前月比▲0.1%/前年比1.9%)
       小売物価指数(RPI、予想:前月比横ばい/前年比2.8%)
○17:30   7月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比1.7%)
○18:00   6月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲1.4%/前年比▲1.2%)
○18:00   4-6月期ユーロ圏GDP改定値(予想:前期比0.2%/前年比1.1%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   6月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比2.3%)
○21:30   7月米輸入物価指数(予想:前月比横ばい)
○23:30   EIA週間在庫統計
○トルコ(犠牲祭)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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