FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売りに押され軟調地合い

前日まで3日続伸し2ヵ月半ぶりの水準へ上昇していたこともあり、米国株安をきっかけに利益確定売りが出た。週末を控えてポジション調整売りも出やすかった。前日発表した決算の内容がさえなかった銘柄も朝方から売られた。市場では『米国株市場でナスダック総合が下落した影響もあり、ここまでけん引してきた指数寄与度の高い銘柄の足が止まった』との指摘もあった。一時150円超へ下げ幅を広げたが、結局、前日比98円安の2万1658円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:108円台半ばで底堅い展開

ドル/円は、短期筋などのドル買い・円売りが先行し108.74円付近まで小幅に上昇した。しかし、前日の海外市場で付けた約2週間ぶりの高値108.75円が意識されると、上げは一服した。その後は、米長期金利の低下や、日経平均株価の反落をながめたドル売り・円買いに押され108.53円近辺まで軟化した。午後は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、108.60円台を中心に狭いレンジ内でもみ合い展開となった。ユーロ/ドルは、1,11ドル台半ばで方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ECB定例理事会では政策金利据え置きと9月の追加緩和を示唆

欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で大半の予想通り政策金利据え置きを決定した。同時にフォワードガイダンスを必要であれば『少なくとも2020年上半期まで現行の政策金利を維持』から『少なくとも2020年上半期まで現行の金利または、それ以下の水準を維持する』に変更した。また、『金利階層化を含む選択肢の検討を指示、潜在的な新たな資産購入の選択肢を検討』と加えた。今回の会合では一部ではサプライズ利下げの思惑もあったが政策金利を据え置き、9月の追加緩和を示唆した。
ドイツやフランスの製造業の悪化が止まらず、ドラギ総裁も会見で、見通しは悪化する一方だとし、もはや下半期の景気回復は見込めないと指摘した。指標が第2四半期、第3四半期の成長減速を示唆しているとした。一方で、雇用や資産規模の拡大で消費が強く、リセッションリスクは少ないと指摘している。市場の焦点は来週開催される連邦公開市場委員会(FOMC)に移行した。

 

ドラギ総裁は会見でトランプ大統領を意識したのか

ECB定例理事会後の会見に臨んだドラギECB総裁は、低インフレに苛立ちをあらわにする一方で、将来の具体的な緩和策については『(理事会で)議論しなかった』で押し通した。今の時点で悲観的になる必要はないとも述べ、これらの発言がユーロ買いを後押しした。利下げや量的緩和など一連の『緩和パッケージ』を検討するとした声明の『ハト派』の印象を、ドラギ氏が修正した格好となった。市場で『ドラギ総裁が意識したのかもしれない』と囁かれるのはが、米政権によるドル売りの為替介入の可能性である。米国の市場関係者やメディアの間では、IMFが『ドル割高』と指摘したのも手伝い、7月頃から取り沙汰されるようになった。トランプ米大統領が度々名指しで批判するのがユーロ安。ドラギ総裁が追加刺激策が必要になると発言しユーロ安・ドル高が進んだ6月も、すかさず『米国との競争を不当に簡単にしている』とツイッターで『口撃』していた。ただ、米財務省は半期に一度の為替報告書を通じて日本や中国など他国の為替操作を監視している。自ら介入に動けば、他国を批判する根拠を手放すことになる。

 

トルコ中銀が予想以上の利下げで売りも声明文後に買い戻し

7月初旬にトルコ中銀のチェティンカヤ総裁が突如更迭され、ウイサル新総裁にとって始めての金融政策委員会が開かれ、政策を発表した。内容としては政策金利となる1週間物レポ金利を24.00%から19.75%へ大幅に引き下げた。市場予想は21.50%への利下げだったため、市場の予想以上の引き下げ幅となった。大幅利下げの理由はインフレが低下したことが最大の要因だということ。国内経済については、輸出・観光など好調で、今後も引き続きトルコ経済を支えていくと強気な見解を示していることを見ると、景気後退・インフレ高というスタグフレーション状態における利下げ措置ではなく、インフレの改善により景気をさらに押し上げるための緩和措置という捉え方ができる。 外国為替市場では、予想よりも大幅な利下げに最初こそトルコリラ売りで反応したものの、声明文が悲観的ではなく、さらなる利下げにも言及しなかったことで一転してトルコリラを買い戻す動きが広がっている。ただ、今回の大幅な利下げがトルコ政府による圧力に屈したということであれば、中銀に対する信頼は損なわれることになる。

 

米国市場では4-6月期国内総生産(GDP)速報値が公表

参考となるアトランタ地区連銀の経済予測モデル『GDP Now』によると7月17日時点で前期比年率+1.6%となっている。雇用、個人消費は悪くないものの、期間内における最高の成長率(予測値)は2.1%にとどまっており、4-6月期の経済成長率は最終的に1%台後半にとどまる見込みとなっている。

 

欧米イベント

○15:00   6月独輸入物価指数(予想:前月比▲0.8%/前年比▲1.5%)
○15:45   7月仏消費者信頼感指数(予想:101)
○15:45   6月仏卸売物価指数(PPI)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.25%に引き下げ)
○21:30   4-6月期米国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率1.8%)
       個人消費(速報値、予想:前期比4.0%)
      コアPCE(速報値、予想:前期比2.0%)

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