FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米中貿易摩擦長期化と円高を嫌気

前日の米国株安や為替の円高が嫌気され、朝方から幅広い業種で売りが先行した。取引期間中に一段と円高が進行すると、為替に連動する先物売りが出て下げ幅を広げた。米国の7月利下げ期待がドル安・円高要因となっている。米6月雇用統計の力強い内容を受けて低下した0.5%利下げの確率が、米中貿易摩擦を巡る懸念やさえない住宅関連指標などを見て再び上昇してきている。結局、前日比422円安と大幅3日続落で終了した。

 

東京外国為替市場:IMFからドルが過大評価されているとの指摘

ドル/円は、米長期金利の低下や日経平均株価の大幅安をながめたドル売り・円買いが入り107.64円まで下落した。前日に、国際通貨基金(IMF)が年次報告で、『ドルが6%~12%過大評価されている』と指摘したことも、引き続きドルの重石となった。しかし、3日に付けた107.54円が下値の目処として意識されると下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルの押し目買いが入り、107.75円付近へ値を切り返した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数の動向をにらみながら、107.70円前後で取引された。ユーロ/ドルは、1.1240ドルを挟んで方向感に乏しい値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

今回の日銀政策決定会合は現状維持の可能性

米国の予防的利下げが視野に入り、欧州でも追加緩和が議論され、日銀はいずれ追加緩和せざるを得ないとの見方は根強い。目先7月の日銀金融政策決定会合は29-30日開催のため、30-31日開催のFOMCを踏まえた市場動向を見ることができず、先に無駄打ちしても仕方がない。また21日の参議院選挙後すぐに政府からの協力要請もなく、為替市場は安定しており、日銀だけで動くことは考え難い。

 

EU運営の難しさが出だしから露呈

ドイツのフォンデアライエン国防相の欧州委員会・次期委員長への就任が欧州議会で承認された。同氏の承認が否決されれば、EU高官人事は白紙に戻る恐れもあった。 同氏の承認を巡っては、親EU会派の間で対応が割れ、僅か9票差での承認となった。分断した欧州議会の構成から予想される通り、今後のEU運営の難しさが出だしから明らかとなった。 EU政界に転身するフォンデアライエン氏の後任には、ポスト・メルケルの最有力候補とされるクランプ=カレンバウアー党首が指名された。相次ぐ失言や選挙戦の失敗を受け、後継者候補としての同氏の資質を問う声も聞かれる。
 ドイツ国防省は現在、軍の装備・人員不足やスキャンダルに揺れている。難しいポストに同氏を充てた今回の人選からは、後継者としての資質を試す意図が読み取れる。

 

米中貿易協議の合意期待薄れる

米中貿易協議においては合意期待が薄れつつある。トランプ大統領は16日、中国が約束の大口の米国農産物の購入を行っていないと批判した。『自分が望めば、残り3250億ドルの中国製品に追加関税を発動することは可能』『関税は素晴らしい』とした。また、『合意には程遠い』と悲観的な見通しを示している。今週、米中首脳会談以降2度目となる閣僚電話会議が開催される予定だが、果たして結果が建設的となり、実際の会談につながるかどうかが焦点となる。ムニューシン財務長官は結果次第で、ライトハイザーUSTR代表とともに中国を訪問する方針を表明した。

 

FOMCでの利下げ幅が焦点

米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)を2週間後に控えている。利下げはほぼ確定と見られているが、焦点は利下げ幅となっている。予防的利下げとして50ベーシスポイントの大幅な利下げ観測も少なくない。ただ、最新6月の雇用統計、小売売上高、消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)は軒並み予想を上回ったことは25ベーシスポイントの利下げを後押しする。FOMCを控えて発表された良好な小売売上高を理由に、英国のHSBC銀も25ベーシスポイントの利下げの可能性が強いとの見解を示した。同行は本年、さらに9月FOMCでは追加で25ベーシスポイントの利下げを行い、その後は2020年まで金利据え置きを予想している。FOMCの金融政策決定にさらに重要となるのは、会合直前に発表される4-6月期国内総生産(GDP)でエコノミストは1.7%成長と、1-3月期の3.1%から成長鈍化を予想している。

 

欧米市場イベント

○17:30   6月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.3%/前年比2.6%)
      英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.2%/前年比2.7%)
○21:30   7月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:5.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.6万件/170.0万人)
○22:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○23:00   6月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.1%)
○23:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:6.50%に引き下げ)
○19日03:15   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(仏シャンティイ、最終日)

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