FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:様子見ムード強く方向感を欠いた展開

前日は米国市場が独立記念日で休場だったことや、為替相場も1ドル107円台後半で小動きが続き、手掛かり材料に欠いた。また、今晩発表される米雇用統計を見極めたいとする向きも多く、朝方から方向感なく推移した。結局、前日比43円高の2万1746円とわずかに続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:様子見ムード強く狭いレンジ内での展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ107.91円付近まで上昇した。しかし、心理的節目の108.00円が視野に入ると、上げは一服した。その後は、米長期金利の低下をながめた利益確定売りも散見され、107.85円を挟んだもみ合う展開となった。午後に入っても、107.80円台を中心とした狭いレンジでの展開となった。今後発表される米6月雇用統計を控えて様子見ムードが強かった。ユーロ/ドルは、1.1280ドル前後で方向感を欠いた値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

EUとイタリアの財政問題も一時停戦:秋から再び交戦

6月にイタリアに対して財政赤字の是正手続きの開始を示唆した欧州委員会は、イタリア政府が赤字抑制策を発表し、2019年の財政見通しを修正したことを受け、手続き開始の勧告を見送った。 ただし、2020年についてはVAT増税の撤回とフラット税の導入を計画しており、今回を遥かに上回る赤字抑制策が必要。来年度の予算審議が本格化する秋にEUとの対立が再燃する公算大きい。

 

自動車関連メーカーが事業縮小や撤退で英国経済は混迷

英国経済の混迷は、相次ぐ自動車関連メーカーの事業縮小や撤退を見れば明々白々だ。今年2月、英地方都市スウィンドンで約30年間、工場操業を続けてきたホンダが英国生産から撤退すると発表して激震が走った。ホンダは撤退とBrexitは関係ないと主張するが、『合意なき離脱』となればEU間に関税が復活しコスト競争力を失う。日産自動車は次期「エクストレイル」の生産計画を撤回、独BMWも「ハードBrexit」なら「ミニ」生産の一部をオランダに移す。米フォード・モーターは6月上旬、不振続きの欧州事業リストラの一環として英国エンジン工場を閉鎖すると発表、理由は「ハードBrexit」による関税復活への懸念であり、関税復活なら10億ドルの減益と試算する。英国の18年の自動車生産数は約150万台と独、スペイン、仏に次ぐ欧州4位で、ホンダや日産、トヨタにBMWなど外資が3分の2を占める。今年4月の英国自動車生産台数は約7万台と前年比で半分近くに急減、相次ぐ外資の撤退・事業縮小がすでに英国経済を震撼させつつある。

 

トルコのリスク対米関係悪化よりも格下げ

先月末のG20サミットに併せて行われた首脳会談のうち、金融市場では米国とトルコの首脳会談の行方に注目が集まった。昨年は両国の関係悪化を発端とする『トルコ・ショック』が動揺を招いたが、足下ではトルコによるロシア製兵器導入を巡り対立が再燃してきた。 直接会談では、トランプ氏の事実誤認が露呈する一方、政権内での意思統一が錯綜している様子もうかがわれた。一方、エルドアン氏は制裁回避に自信を示している。 ただし、実務者レベルでは対立が続いている模様である上、米議会も強硬姿勢を強めるなど来秋の大統領選を控えてトランプ氏の『外堀』は埋まりつつある。エルドアン氏は国営銀行に対する対イラン制裁違反を巡る制裁解除でも自信を示すが、トランプ氏のイランへの強硬姿勢を勘案すれば望み薄である。 米国の制裁発動に伴う直接的影響は限定的だが、格下げに伴う金融市場の動揺は不可避であり、リラ相場の再混乱も懸念される。

 

英国のイラン原油タンカー拿捕で地政学リスクが高まる可能性も

英海兵隊は本日、シリアに向けてイラン産原油を輸送していたと見られるタンカーを、ジブラルタル海峡付近で拿捕した(ジブラルタルは英国の海外領土)。一部報道によると、タンカーはEUが制裁の対象としているシリアの製油所に向かっていたもよう。イラン政府は英軍の対応に強く反発しており、(英も参加する)イラン核合意を巡り関係性が微妙になるなかで、両者の溝が深まる懸念が強まる。

 

米国市場では6月雇用統計が公表

5月の非農業部門雇用者数は前月比+7.5万人にとどまり、労働年齢人口の伸びを維持するために必要な10万人程度の雇用増を下回った。6月については反動増が予想されるが、20万人の大台には届かない見込み。失業率については、労働参加率が横ばいで推移すると予想されており、5月実績の同水準の3.6%となる可能性が高い。

非農業部門の新規雇用者数のコンセンサスは16万人増予想まで切り下がっている。市場予想を出している73社のうち、20万人超の強気予想が5社で、ゴールドマンも17万5000人増でやや強気。一方、10万ジャストの弱気予想もある。株式市場の理想としては10万人台前半で、0.25%の利下げ観測が市場にとって落ち着きやすい。ただ、強い雇用統計となると、利下げ観測が払しょくされ米国金利上昇・米株安・ドル買い戻しとなりやすい。

 

欧米イベント

○15:00   5月独製造業新規受注(予想:前月比▲0.1%/前年同月比▲6.2%)
○15:45   5月仏貿易収支(予想:49.50億ユーロの赤字)
○15:45   5月仏経常収支
○16:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○16:15   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:30   6月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1万人/失業率5.5%)
○21:30   6月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化16万人/失業率3.6%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.2%)
○23:00   6月カナダIvey購買部協会景気指数(予想:55.0)
○7日 ギリシャ総選挙

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