FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米中通商協議進行期待から買い優勢

トランプ米大統領が今月末のG20首脳会議に合わせて中国の習近平国家主席と会談すると述べ、米中通商協議への期待が高まった。朝方から幅広い銘柄に買いが先行した。中国株の堅調推移も支援材料となり上げ幅を広げた。結局、前日比361円高の2万1333円と大幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:FOMC結果発表を前に利食い売りに押される

ドル/円は、来週予定されている米中首脳会談に対する期待や日経平均株価の大幅高を背景に、108.61円前後まで上昇した。しかし、前日の海外市場でつけた高値108.67円が視野入りすると、上げは一服した。その後は、FOMC結果発表を前に、利食い売りなどに押されて108.45付近まで下落した。午後に、一部メディアが『トランプ大統領は、ロシアのミサイルシステム導入を進めるトルコに対して、新たな制裁を検討している』と報じると、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り108.33円近辺まで下落した。さらに『ロケット弾がイラクに着弾した』と伝わり、中東の地政学リスクを警戒した円買いも散見された。ユーロ/ドルは、欧州の景気減速懸念からユーロ売りが優勢となり、1.11ドル台後半の安値圏で推移した。

 

日銀の追加緩和は難しくなる可能性も

トランプ米大統領は本日のドラギECB総裁がハト派よりの発言をしたことに対して、『欧州は上昇している(米国には不公平だ)』とツイートしている。 短いツイートのため米大統領の真意を理解するのは難しいが、ドラギ総裁の発言で米金利も低下し、米株式先物指数も上昇した。米大統領にとっては株価の上昇よりも、金利低下による通貨安が米国にとって貿易で不利になることを気にかけていると思われる。 このような状況で米国にベッタリの日本が、更なる量的緩和拡大を行うのは難しくなるかもしれない。

 

トルコリラ相場の動揺リスクに注意

足下のトルコ・リラ相場は米トランプ政権との関係の行方が左右する展開が続いている。一方でインフレ続きにも拘らず、中銀は『ハト派』姿勢を示すなど政策の不透明感も高まっている。こうしたなか、14日に米ムーディーズ社は格付を1ノッチ引き下げた上で追加格下げの可能性を残す判断を示した。 これに対してトルコ財務省は反発する声明を発表するも、いささか的外れの感は否めない。また、昨夏の『トルコ・ショック』に関連する米通信社の記事に関連して同社記者などが告訴され、検察当局は起訴を決定するなど言論弾圧も辞さない姿勢もみせている。 さらに、中銀は17日付で事実上の『ステルス緩和』を発表した。現状は反応薄の展開が続くが、イスタンブール市長選などの行方如何では政策が一段と不可解なものとなり、リラ相場が動揺するリスクに注意が必要となる。

 

第2回英保守党党首選の結果

1)ボリス・ジョンソン前外相 (126票)
2)ジェレミー・ハント外相   (46)
3)マイケル・ゴーヴ環境相   (41)
4)ローリー・スチュワート国際開発相(37)
5)サジド・ジャヴィド内相   (33)
※以下は落選
6)ドミニク・ラーブ前EU離脱相 (30)保守党議員の10%に当たる33票に届かず

※6月19日第3回投票予定

 

米国市場では連邦公開市場委員会(FOMC)会合結果公表

前回会合後に公表された声明では『世界経済と金融、インフレの動向を考慮してFF金利の将来的な調整については忍耐強くなる』との見解が表明された。直近のインフレ率はやや鈍化しているが、今回のFOMC会合でも政策金利の据え置きが決定される見込みとなっている。FOMC経済予想では2020年以降の金利見通しが注目される。また、FOMC声明文では、『辛抱強い』との文言が削除されか注目点となる。CME FedWatch Toolの6月19日終了時では、0.25%利下げが20.8%、据え置きが79.2%となっている。

 

あまり知られていないFRBの裏金融緩和

FOMCでは今回の会合では利下げを見送るものの、9月末としてきた保有資産の縮小を最速で6月末にも終えることを決めるとの見方も浮上してきた。FOMCに対する大方の市場予想は、政策金利を据え置いたうえで、今後の利下げに含みを持たせるというものである。そのため、試算縮小の計画変更となればポジティブサプライズで、各市場の反応も大きくなる可能性がある。

米中貿易摩擦の激化が米景気に影を落とす中、パウエル米FRB議長やFRBメンバーが繰り返すのは、『成長持続のために適切な行動をとる』との主張をしている。セントルイス連銀のブラード総裁のように『利下げが適切』と明言するメンバーもいるが、メンバーの多くは具体的な政策手段には踏み込んでいない。そのため、資産縮小の計画変更も適切な行動であるかもしれない。

 

欧米イベント

○15:00   5月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.2%)
○15:36   衛藤公洋日銀理事、あいさつ
○16:30   5月スウェーデン失業率(予想:6.5%)
○17:00   5月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比4.4%)
○17:00   4月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○17:30   5月英CPI(予想:前月比0.3%/前年比2.0%)
      CPIコア指数(予想:前年比1.7%)
       小売物価指数(RPI、予想:前月比0.2%/前年比2.9%)
○17:30   5月英PPI(食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比2.0%)
○17:30   ユンケル欧州委員長、講演
○18:00   4月ユーロ圏建設支出
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   5月カナダCPI(予想:前月比0.2%/前年比2.1%)
○23:00   ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、ECBフォーラムで閉会のあいさつ
○23:30   EIA週間在庫統計
○20日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:2.25-2.50%で据え置き)
○20日03:00   FOMC、経済・金利見通し発表
○20日03:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○20日06:00   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:6.50%で据え置き)
○英保守党党首選、第3回投票
○英中銀金融政策委員会(MPC、20日まで)

 

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