FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:リスク回避ムードが強まり下げ幅拡大

米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に積極的な売買が手控えられ、朝方は小安くスタートした。国内に手掛かり材料がなく、狭いレンジでもみ合っていたが、前場中頃にトランプ大統領が『米移民税関捜査局が来週にも不法移民の送還開始』とツイッター投稿しリスク回避ムードが強まり下げ幅を広げた。また、円相場が1ドル=108円台前半まで強含むと先物主導でやや下げ幅が拡大した。結局、前日比151円安の2万972円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:豪ドル安を契機にドル/円も円高進行

ドル/円は、米長期金利の低下やハト派色の濃い豪準備銀行理事会議要旨を背景に、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り108.35円前後まで下落した。トランプ米大統領が『米移民関税捜査局が、来週にも不法移民の送還を開始する』とツイッターに投稿したことも、リスク回避の円買いにつながった。午後のこの流れは続き、日経平均株価の下げ幅拡大をながめて、さらにドル売り・円買いが進み108.22円値を下げた。しかし、14日に付けた108.16円が下値目処として意識されると、下げは一服した。その後は、米FOMCを控えて、ドルを買い戻す動きみ見られ、108.30円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.1235ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコとEUの関係悪化も

明日ルクセンブルグで開催されるEU一般問題理事会の声明草案が伝わった。その中で欧米諸国の反対にもかかわらず、トルコが継続している東地中海での資源開発への非難声明が含まれている。EUトルコの関税同盟に向けた話し合いの凍結も示唆された。掘削作業が行われている場所はEU加盟国のキプロス共和国が排他的経済水域としている場所。しかしながら、トルコは自国や北キプロスに住むトルコ系住民の権利を主張し、開発を続けている。

 

日銀が消費税増税のために緩和強化も

日銀は19-20日、金融政策決定会合を開催する。日本経済は貿易摩擦や世界減速の影響が深刻化しているほか、米FRBの利下げ観測によってドル安・円高の圧力が強まっている。しかも安倍政権は10月からの消費税増税を逡巡しているが、日本国債の大量買い占めを続ける日銀にとり、消費増税による国債と財政の信認維持は重要となる。その意味で景気悪化と円高・デフレ阻止のほか、政府による消費増税の実施をアシストするため、日銀が緩和強化の地ならしに動く可能性は無視できない。

 

FOMCで次回7月会合での利下げを探る

FRBは今週18日から19日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。FOMCの最新予測に比べて現行の金融政策が引き締め気味であるため、一部では利下げが必要とする見方もある。しかし、大半は今会合での利下げは不可能との見方で、政策金利の据え置きを予想している。ただ、声明では『辛抱強い』との表現を削除し、7月の利下げに備える可能性が指摘されている。今会合では、声明に加えて議長会見やスタッフ予測で、利下げの可能性を探る。インフレの低迷に加えて、世界経済の弱さ、貿易の不透明性、関税が景気に影響を与えることを鑑み、市場は7月、9月、12月での利下げを予想している。 米6月NY連銀製造業景気指数は2016年10月来のマイナスと、トランプ政権下で最低を記録した。また、5月の雇用も7.5万人の伸びにとどまった。4-6月期の国内総生産(GDP)は2.1%増と、伸びは1-3月期の3.1%増から鈍化が予想されている。

 

対中国への第4弾制裁関税は大統領再選のマイナス材料にも

米議会では中国製品に対する第4弾の制裁関税について、17日から25日まで公聴会が開催される。公聴会には、米国の小売り業者やメーカーの代表などが出席する予定となっている。公聴会終了後には7日間にわたる反論意見の募集期間が設けられており、第4弾の関税は来月2日まで発動できない。
公聴会で経済界から収益打撃や、消費者への悪影響が強調されると、野党・民主党やメディア、世論などから関税不満が高まる可能性がある。ただでさえ最新の米雇用統計は貿易摩擦影響などで減速しており、来秋のトランプ大統領の再選にはマイナス材料となる。経済界のトランプ氏離れもまた、選挙資金の面で再選には逆風となる可能性もある。引き続きトランプ氏は再選対策として、製造業の労働者や反中国の保守派層を意識した対中強硬姿勢を堅持する一方、貿易交渉では米国経済の「返り血打撃」を抑制させる部分合意の可能性は無視できない。すでにトランプ氏は14日、中国との通商合意は『いずれかの時点で得られる』ため、今月末の大阪G20首脳会議(サミット)に中国の習近平国家主席が『出席してもしなくても構わない』と発言している。

 

欧米市場のポイント

○16:00   4月トルコ鉱工業生産(予想:前月比0.1%)
○17:00   ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○18:00   4月ユーロ圏貿易収支(季調済、予想:170億ユーロの黒字)
      ユーロ圏貿易収支(季調前)
○18:00   5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比1.2%)
○18:00   5月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.8%)
○18:00   6月独ZEW景況感指数(予想:▲5.8)
○18:00   6月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:30   4月カナダ製造業出荷(予想:前月比0.4%)
○21:30   5月米住宅着工件数(予想:124.0万件、前月比0.4%)
        建設許可件数(予想:129.3万件、前月比0.2%)
○23:00   カーニー英中銀(BOE)総裁、講演
○英保守党党首選、第2回投票
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
○18-19日   1-3月期ロシア国内総生産(GDP)改定値(予想:前年比0.5%)
○18-19日   5月ロシア鉱工業生産(予想:前年比1.6%)

 

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