FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国のメキシコへの輸入品に関税を嫌気

トランプ大統領がメキシコからの全ての輸入品に関税を課す考えを示したことを受け、リスク回避姿勢が強まった。また、中国の製造業PMIが予想を下回ったことも投資家心理を冷やし、下げ幅を拡大した。その後、上海株が底堅く推移したことで下げ渋る展開となった。しかし、香港英字紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』が中国人民銀行元総裁の談話を引用、『6月大阪G20での米中首脳会談での通商協議の事態打開に至る可能性を楽観していない』と報じて米中対立長期化が懸念され再び下落幅を広げた。結局、前日比341円安の2万0601円と大幅3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:日経平均株価下落でリスク回避の円買い

ドル/円は、トランプ大統領がメキシコの全輸入品に課税を課す方針を表明したことや日経平均株価の続落を背景に109.15円前後まで下落した。一部メディアが『中国当局は必要であれば米国への報復措置として、レアアースの輸出規制を検討している』と報じたことも、リスク回避の円買いを誘った。午後もこの流れは続き、日経平均株価の下げ幅拡大や米長期金利の低下をながめて下値を模索する展開となり、節目の1090.00円を割り込んで一時108.86円まで値を下げ、2月1日以来のドル安・円高を付けた。ユーロ/ドルは、1.11ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコリラ売り材料は多いものの米・トルコ首脳会談で買い戻し

今春のトルコ・リラの軟調は『トルコ中銀の外貨準備水増し疑惑、エルドアン大統領によるイスタンブール地方選介入で民主主義の弱体化、財政赤字にもかかわらずバラマキ政策、それに伴う構造改革の遅れ、個人や企業の景況感の悪さ、キプロス沖における掘削作業に対してEU諸国の反発、経済的結びつきが強いドイツの景気低迷』などトルコを巡る多くのリスクを嫌気したものだった。そして、最大の懸念だったのが、ロシア製ミサイル導入を強く反対する米国による経済制裁の可能性だった。
 このトルコ経済一番のリスクへの警戒感が後退したことで、リラの買い戻しが急速に進んだ。トランプ米大統領は29日、エルドアン・トルコ大統領と電話会談し『両国の経済発展をさらに進める大きな可能性がある』と述べたことを明らかにした。また、6月28-29日に大坂で開催されるG20サミットに合わせて、米トルコ首脳会談が開催されることも決定された。両国トップの歩み寄り姿勢に目先のトルコリスクは減少したとみられ、通貨リラの買戻しが急速に強まった。

 

ポルトガルがユーロ圏で初の人民元建て国債発行

ポルトガル政府は30日、ユーロ圏で初めて、中国本土で人民元建ての国債(パンダ債)を発行すると発表した。発行額は20億元(約320億円)で、中国の機関投資家の購入意欲が旺盛だった。ポルトガルは中国が主導する広域経済圏構想『一帯一路』にも参加している。中国マネーを取り込んで資金調達を安定させる。ポルトガルの債務管理庁(IGCP)によると国債の年限は3年で利率は年4.09%となった。募集に対して3倍強の需要があった。主に中国の機関投資家とみられ、IGCPは「投資家層の多様化につながる」としている。ポルトガルは4月に北京で開かれた『一帯一路』の首脳会議に首脳を送るなど、中国との関係を深めようとしている。

 

イタリアからの返答次第しではEUとの関係悪化も

イタリアのトリア経財相は、2019年の財政赤字の対GDP比率は政府目標の2.4%を下回るとし、是正措置は必要ないとの考えを示した。一方、EUの執行機関である欧州委員会は、イタリアに財政情勢の悪化について説明を求める書簡を送付した。イタリアの返答期限は31日となっており、書簡送付で是正措置の発動に道が開かれた可能性がある。ただ、イタリア政府が是正措置しない場合はEUとの関係悪化が懸念さ、ユーロ売りにつながる可能性もある。

 

米国は不法移民問題でメキシコの輸入品に関税導入

トランプ大統領は、6月以降メキシコからの輸入品全てに5%の関税を課すとし、同国からの不法移民の注入が止まるまで実施する考えを示した。さらに、関税は7月1日に10%、8月1日に15%、9月1日に20%、10月1日に25%に引き上げられると説明した。

また、『メキシコの受け身の協力で多数の(移民の)流入が容認されている状況は緊急事態であり、米国の安全保障と経済に対する緊急の脅威に相当する』と主張した。その上で、『メキシコには非常に協力な移民法があり、本国送還などの方法で不法移民の流れを容易に止めることが出来る』との見方を示した。

 

市場は米FRBの利下げを織り込み

米商務省が発表した1-3月期国内総生産(GDP)改定値は+3.1%と、速報値の+3.2%から下方修正されたものの3%成長を維持した。また、個人消費改定値も予想外に速報値から上方修正された。しかし、コア個人消費支出(PCE)改訂値は前期比+1.0%と、予想外の下方修正で2015年10-12期以降3年ぶりの低水準となった。引き続きインフレの低迷が際立っている。米国経済の成長や雇用は引き続き強い伸びを維持する一方で、インフレが低迷し、連邦準備制度理事会(FRB)は金融政策で困難な舵取りに直面している。 米連邦公開市場委員会(FOMC)はインフレの低迷が『一時的な要因が影響している』と見ており、本年いっぱい金融政策を据え置く見通しを示している。一方、米国の長短金利差が大きく逆転しており、市場はインフレ低迷と同時に、米国経済が景気後退に陥るとの警戒感を一層強め、米金利先物市場では早くて9月の利下げを織り込みつつある。

 

米国市場では4月PCEコア指数が公表

3月実績は前年比+1.6%で目標の2%を下回る状態が続いている。輸入関税引き上げの影響が表面化するまで時間がかかるものの、インフレ鈍化を促す経済情勢ではないとみられていること、複数の項目で上昇が予想されていることから、インフレ率は3月実績と同水準になると見られる。

 

欧米イベント

○15:00   4月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比7.00%)
○15:00   4月独小売売上高指数(予想:前月比0.1%/前年比1.1%)
○15:00   5月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比横ばい)
○15:30   4月スイス小売売上高(予想:前年同月比▲0.8%)
○16:00   1-3月期トルコ国内総生産(GDP、予想:前年比▲2.5%)
○16:00   4月トルコ貿易収支(予想:28.3億ドルの赤字)
○17:00   5月ノルウェー失業率(予想:2.1%)
○17:30   4月英消費者信用残高(予想:10億ポンド)
○17:30   4月英マネーサプライM4
○21:00   5月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比1.6%)
○21:00   4月南アフリカ貿易収支(予想:12.5億ランドの黒字)
○21:00   1-3月期インドGDP(予想:前年同期比6.3%)
○21:30   3月カナダ国内総生産(GDP、予想:前月比0.3%/前年比1.2%)
       1-3月期カナダGDP(予想:前期比0.7%)
○21:30   4月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比0.7%)
○21:30   4月カナダ原料価格指数
○21:30   4月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.2%)
       4月米個人所得(予想:前月比0.3%)
       4月米PCEデフレーター(予想:前年比1.6%)
       4月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.2%/前年比1.6%)
○22:15   ボスティック米アトランタ連銀総裁、討論会に参加
○22:45   5月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:53.7)
○23:00   5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:101.5)
○1日01:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演

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