FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米中貿易摩擦の長期化に対する懸念

トランプ大統領が27日に日米首脳会談を受けた共同会見で、中国とディールする用意はないと発言し、米中貿易摩擦の長期化に対する懸念が浮上した。そのため、前日の米国株市場が下落した流れを引き継ぎ、朝方から幅広い業種で売りが先行した。一時2万1000円を割り込み、下げ幅を350円超に拡大したが、為替市場で1ドル=109円割れを回避したことで下げ幅を縮小させた。結局、前日比256円安の2万1003円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:109.00円の心理的節目が視界に入り下げ止まる

ドル/円は、日経平均株価の大幅安でリスク回避姿勢が強まり、109.12円まで下落した。米長期金利が低下したことも、ドルの押し下げにつながった。しかし、心理的節目の109.00円が視界に入ると、下げは一服した。その後は、月末に絡む国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ109.40円前後まで持ち直した。午後に入ると、日経平均株価のさえない動きをながめ、109.25円前後までじり安となった。米中貿易摩擦が長期化するとの懸念がくすぶっていることも、円買いにつながった。ユーロ/ドルは、1.1165ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル/円の109円の壁も米金利次第

本日も世界的な株安を背景にリスク回避の円買い・ドル売りが出たが、『109円の壁』に跳ね返された。本日は市場取引が実質月末だったため、輸入企業など実需の円売り・ドル買いであっさり小幅安に転じる場面もあった。米中貿易摩擦や欧州問題など外部環境の先行き不透明感に加え、米国の低インフレに伴うFRBの利下げ観測の米金利には低下圧力として働く。この先、利下げ観測を払拭する強力な材料が出てこなければドルの買いづらさが本格的に意識され始め、本邦実需の円売りが出ても吸収しきれなくなる可能性がある。市場では、このまま米金利の低下が続くようだと夏場にかけて『107円後半くらいの円高はあり得る』との声も浮上している。

 

中国政府は以前レアアースの禁輸措置に失敗

中国共産党系メディア、環球時報の胡錫進編集長は28日、中国がレアアース(希土類)の対米輸出規制を『真剣に検討』していると明らかにした。 同氏はツイッターで『私が知る限り、中国はレアアースの対米輸出規制を真剣に検討している。中国は今後、他の報復措置を講じる可能性もある』と述べた。 こうした中、中国国家発展改革委員会(NDRC、発改委)の高官は、レアアースは国内需要を優先するものの、国外に対しても相応の需要を満たす用意があるとの考えを示した。 レアアースは電気自動車や液晶などハイテク製品に欠かせない資源。米地質調査所(USGS)の調べによると、中国には世界の埋蔵レアアースの3割程度があり、2017年時点で中国産が産出量の8割を占める。米国は、中国製品の関税対象からレアアースなどの重要な原料を除外している。習中国国家主席は、世界最大のレアアース産出国として、2010年に禁輸措置を打ち出したが、失敗に終わったトラウマを抱いている。

 

トルコがロシア製兵器配備の先延ばし報道でリラ買い戻し

トルコの一部メディアによると、アカル国防相が『ロシア製ミサイルシステムの配備は(早まる可能性もあった)6月ではなく、数ヵ月先になるだろう』と述べたと報じられた。米国やNATO同盟国が強く反発していたロシアからの兵器購入が先延ばしとなったことで、米国によるトルコ経済制裁への懸念が後退し、通貨リラの買い戻しにつながった。ただ、28日に発表された5月経済信頼感指数では、77.5と昨年10月以来の低水準となり、景気見通し楽観・悲観の基準100を14ヵ月連続で下回った。

 

ベネズエラは4年ぶりに経済統計を公表

ベネズエラ中央銀行は28日、昨年第3四半期の国内総生産(GDP)が前年同期比22.5%のマイナス成長だったと発表した。同国が経済統計を公表するのは約4年ぶりとなる。昨年の石油輸出収入は298億ドルと、前年の315億ドルから減少した。今年4月のインフレ率は33.8%で、昨年1年間では13万0060%だった。ただ、野党が支配する議会が先に発表した独自データでは、4月のインフレ率は44.7%、昨年1年間は170万%で、政府統計を上回っている。マドゥロ政権は、国際石油価格の下落によって体制が混乱し始めた2015年以降、経済統計の好評を中止した。議会は17年から独自データを発表している。

 

米5月の消費者信頼感指数は予想以上に強い

コンファレンスボードが発表した米国5月消費者信頼感指数は134.1と、4月129.2から予想以上に上昇し、昨年11月来の高水準となった。現況は175.2で、4月の169.0から上昇。期待指数は106.6と102.7から上昇した。 最近の株安、米中貿易協議の行き詰まり、米朝関係の緊張存続で地政学的リスクも高止まりする中、強い労働市場が消費者の自信につながった。昨年12月から今年初めにかけて、小売売上高が予想外に落ち込み消費の鈍化が米国経済の成長をさらに抑制すると不安視されていた。しかし、消費者信頼感指数の改善で4-6月期国内総生産(GDP)の成長を消費が支える可能性が出てきた。米商務省は1-3月期の国内総生産(GDP)改定値が30日に発表される。市場予想では+3.0%と、速報値の+3.2%から下方修正されると予想している。アトランタ連銀の第2四半期成長見通しは1.3%となっており、1-3月期の3%成長からは鈍化が予想されている。

 

欧米イベント

○15:45   4月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   4月仏消費支出(予想:前月比0.4%)
○15:45   5月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比1.1%)
○15:45   1-3月期仏国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.3%)
○16:00   5月スイスKOF景気先行指数(予想:96.0)
○16:30   1-3月期スウェーデンGDP(予想:前期比0.2%)
○16:30   メルシュ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○16:55   5月独雇用統計(予想:失業率4.9%/失業者数変化▲8000人)
○17:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:1.75%で据え置き)
○23:00   5月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:7)
○30日02:00   米財務省、7年債入札

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