FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売りで上値の重い展開

寄付き後は上げ幅を広げ一時132円まで上昇したが、利益確定売りなどに押し戻された。市場では、『前日の米国株上昇はファーウェイに対する規制措置を米政府が一部緩和したことが好感されたものだが、このニュースはすでに織り込まれており、改めて買い上げていく材料とはならない』との指摘があった。日経平均は75日SMAに接近すると機関投資家などによる戻り待ちの売りが出やすい状況だった。結局、前日比10円高の2万1283円と小幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:ドルが底堅い展開で推移

ドル/円は、本邦輸入勢のドル買い・円売りや日経平均株価の上昇に支えられ、110.62円近辺まで上昇した。売り先行で始まった上海総合株価指数が持ち直したことも、円売りを支えた。しかし、前日NY市場で付けた約2週間ぶりの高値110.67円が意識されると上げは一服し、110.55円近辺に小緩んだ。午後は、日経平均株価の伸び悩みをながめて持高調整などのドル売り・円買いに押され、110.36円近辺まで下落した。一部海外メディアが『トランプ米政権は大手監視カメラメーカーなど、5つの中国企業のブラックリスト掲載を検討している』と報じたことも、円買いにつながった。ユーロ/ドルは、明日から始まる欧州議会選において、ポピュリズム勢力が議席を増やすとの警戒感からユーロ売り・ドル買いが優勢となり1.1150ドル近辺まで下落した。

 

日本4月貿易収支は輸入増で予想下回る

財務省が発表した部尾駅統計速報によると、4月の貿易収支は604億円の黒字となった。中国向けの半導体製造装置や電子部品の輸出が減少する一方、イランからの原粗油輸入が増加した。貿易黒字は3ヵ月連続となり、4月の黒字額としては赤字だった2011年から14年を除くと08年4月の490億円以来の水準となった。前年同月との比較では90.3%の減少だった。貿易収支のうち、輸出は前年比2.4%減の6兆6588億円で、5ヵ月連続で前年同月を下回った。対中輸出の減少に加えマルタ向けの船舶がマイナスに寄与した。4月の対中輸出波動6.3%減の1兆2329億円だった。米国向け輸出は1兆4102億円と前年より9.6%増加した。一方、同月の輸入は前年比6.4%増の6兆5983億円と、2ヶ月連続で増加した。

 

OECDが2019年の世界経済成長率見通しを下方修正

経済協力開発機構(OECD)が21日発表した2019年の世界経済成長率見通しによると、成長率は3月時点と比べて0.1ポイント低下し、前年比+3.2%となった。OECDは今回、米国による対中関税引き上げの影響について試算している。試算によると、最悪のケースで世界の経済成長率は0.6ポイント下押しされるもようだ。日本の成長率見通については、輸出・生産の減少を背景に下方修正している。 昨年11月に2019年の世界経済の成長率見通しを公表した時点では、3.5%だったが、5月時点で0.3ポイント下方修正されている。OECDは先行きのリスクとして、貿易制限のさらなる拡大による投資・雇用・消費への弊害、中国経済の急減速の世界中の経済活動への影響、民間部門の債務を挙げている。
 なお、米中貿易摩擦の影響について、直近(5月)発動された米国による中国からの輸入2000億ドル相当に対する25%の関税導入と中国による600億ドル相当の米国製品に対する関税により、OECDは2021年から2022年にかけて中国の成長率を0.2ポイント程度、米国の成長率を0.2ポイント、世界の成長率を0.1ポイント押し下げると試算している。市場関係者の間では、「OECDが2019年の成長率見通しを下方修正したのは予想通りで欧州各国の株式市場の反応を見る限り、悲観的な予測ではなく市場に与える影響は大きくない」との見方が出ている。

 

為替市場では公表が遅れている米為替報告書に注目

市場では米国の半期為替報告書への警戒感が高まっている。例年4、10月の公表だが、5月下旬にはいってもまだ発表されない。対中貿易交渉で政治利用するために遅らせているのではないかなど様々な憶測が浮上している。注目が集まるのは報告書での中国の扱いである。中国はすでに為替操作の可能性を検証する『監視対象リスト』に入っている。前回報告書では『為替操作国認定』は見送られたが、足もとでは再び米中貿易交渉を巡る緊張感が高まっており、人民元安も進んでいる。交渉を有利に進めるために中国の通貨安誘導を批判する可能性もある。今回の報告書では監視対象国を現在の12カ国から20カ国に広げるため、判断基準を見直すとの報道もある。対処となる国の経常黒字の国内総生産(GDP)比を3%から2%に引き下げており、基準変更の措置に時間がかかって公表が遅れているとの見方もある。

 

23日から欧州議会選挙の投票開始

欧州連合(EU)で23日から4日間、欧州議会選挙の投票が加盟国ごとに行われる。ナショナリズムやポピュリズム(大衆迎合主義)を背景に各国で台頭する反EU勢力と親EUの主流派が対決する構図。英国のEU離脱を見据えた欧州統合の将来を左右する重要な選挙となる。
世論調査では、メルケル氏も所属する欧州議会の中道右派『欧州人民党(EPP)』と、中道左派『欧州社会・進歩連盟(S&D)』の主流派が初めて合計で過半数割れする見通しとなっている。他方、反EU勢力は計3分の1に達する勢い。ただ、オーストリアでは、連立与党の極右・自由党党首の副首相による汚職疑惑が発覚している。EPPメンバーのクルツ首相が連立解消と総選挙実施を決断するなど、欧州議会選を前に極右勢力には逆風も吹く可能性もある。 

 

欧米イベント

○16:30   ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○17:00   4月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.8%/前年比4.5%)
○17:30   4月英CPI(予想:前月比0.7%/前年比2.2%)
      CPIコア指数(予想:前年比1.9%)
       小売物価指数(RPI、予想:前月比0.8%/前年比2.8%)
○17:30   4月英PPI(食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比2.2%)
○17:30   ビスコ・イタリア中銀総裁、講演
○18:30   プラートECB専務理事、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   3月カナダ小売売上高(予想:前月比1.0%/自動車を除く前月比0.9%)
○23:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○23:10   ボスティック米アトランタ連銀総裁、あいさつ
○23:30   EIA週間在庫統計
○23日03:00  米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(4月30日-5月1日分)
○22-23日   4月ロシア鉱工業生産(予想:前年比1.5%)

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