FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:過度なリスク回避後退で8日ぶりに反発

米中貿易摩擦の激化懸念が和らぎ、前日の米国株が上昇したことを受け、日経平均株価は前日までの下げの反動もあり、買いが先行した。しかし、貿易摩擦激化への懸念は完全に払拭できていないことから、その後は伸び悩み前日終値を挟んだもみ合いとなった。午後になると上海株高も安心材料となり、個別で買い戻しがみられじり高地合いとなった。結局、前日比121円高の2万1188円と8日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:109.65円を挟んだもみ合う展開が続いた

ドル/円は、日経平均株価がプラス圏からマイナス圏へ転じたことから円買いが先行詞、109.51円まで下落した。しかし、前日の海外市場でつけた安値109.45円が下値目処として意識され、下げは一服した。その後は、本邦輸入企業のドル買い・円売りや上海総合株価指数の反発に支えられ、109.70円近くまで持ち直した。ただ、中国国家統計局が発表した小売売上高などの経済指標が低調な結果となったことを受け伸び悩み109.65円を挟んだもみ合う展開となった。午後も株価をにらみながら109.65円前後でもみ合った。ユーロ/ドルは、1.12ドル台前半で小幅な値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米中通商協議が難航するならば中国の米国債売却の可能性も

米国財務省外国資産管理室(OFAC)は、外交政策や安全保障上の観点から、米国が指定した国・地域や特定の個人・団体などの資産凍結措置を講じてきた。これまで国家(イランやイラク)や政府要人(ロシアや中国)などの米ドル建て資産の凍結を行ってきており、トルコやロシアは、米国債を売却している。中国は、米国の借用書である米国債の最大の保有国であり、米中貿易戦争での最終兵器は、米国債の売却となる。米国債の保有主体は、1位が量的金融緩和で米国債を購入してきたFRBで2.1兆ドル、2位は21世紀の対米貿易黒字国の中国で1.13兆ドル(2019年2月)、3位は20世紀の対米貿易黒字国の日本で1.07兆ドルとなっている。日本企業や中国企業が米国に輸出し、米ドルの売り圧力が強まり、円高・人民元高となることで、自国通貨高を阻止するために、日本銀行や中国人民銀行が自国通貨売り・ドル買い介入を行い、結果的に外貨準備としての米国債の保有残高が増えたことになる。

米中通商協議が難航して米中貿易戦争が勃発する可能性が高まる中、中国は報復措置として、米国債の売却を警告している。もし、米国債を売却した場合、米ドル売り・人民元買いにより人民元高となるが、ロシアのように米国債から欧州債や金へ移行すれば人民元高は回避できる。米国債の大量売却により、米国長期金利の上昇や米国財政赤字ファイナンスへの懸念が高まることで、トランプ米政権に対する強力な武器となる。

 

欧州市場では1-3月期ユーロ圏域内総生産(GDP)改定値が公表

速報値は前期比+0.4%、前年比+1.2%で市場予想を上回った。ユーロ圏のサービス業PMIはまずまず順調だが、製造業PMIは弱含みとなっている。個人消費、企業設備投資はまちまち、外需の寄与度は全体的にはプラスになるとみられており、成長率は速報値と同水準になるとみられる。

 

仮想通貨相場の復活に向けての上昇は本物か?

仮想通貨の『冬の時代』が終わった。少なくとも仮想通貨の支持者は、そう考えている。貿易摩擦激化への警戒感から主な金融市場が低迷する中、仮想通貨『ビットコイン』の価格が急回復している。ビットコイン価格は14日午前のアジア市場で、昨年7月以来約10カ月ぶりに8000ドル(約88万円)台を回復した。つい先週まで6000ドルを割り込んでおり、今年に入り3500ドル前後に落ち込む場面もあったのと比べれば様変わりだ。投資家は機関投資家の支持が強まっている点を、相場回復の理由に挙げている。

 

メイ首相は労働党との溝埋まらず退陣の可能性高まる

メイ英首相は14日、欧州連合(EU)離脱をめぐる行き詰まりの打開に向け、最大野党・労働党のコービン党首と会談した。首相報道官は『有益で建設的だった』と評価したが、労働党側は『譲歩を達成する首相の能力』に懸念を表明した。結局は溝は埋まらなかったもよう。政府の離脱案は議会で三度否決され、首相が4月上旬、労働党に協力を求めた。しかし、首相はEUとの緊密な経済関係の維持など、労働党の要求を拒否した。そのため、話し合いは平行線が続いている。
英メディアによると、政府は離脱案の批准に不可欠な法案の議会採決を6月3日からの週に計画した。これが政府と労働党の妥結期限となる。協議が不調に終われば、法案が可決される見込みは薄い。その場合、首相は退陣を余儀なくされるという見方が有力だ。

 

米国市場では4月小売売上高が公表

参考となる3月実績は前月比+1.6%で市場予想を上回った。自動車・同部品の売上増が寄与した。オンラインの無店舗小売りなども好調となった。4月については、自動車の売上高がやや減少すると予想されるが、オンライン販売、家具類、衣料などの売上も順調であると予想されており、前月比プラスとなる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   1-3月期独国内総生産(GDP)速報値(季節調整済、予想:前期比0.4%/前年同期比0.7%)
○15:00   1-3月期独GDP速報値(季節調整前、予想:前年同期比0.7%)
○15:45   4月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.2%/前年比1.2%)
○16:00   2月トルコ失業率(予想:15.0%)
○18:00   1-3月期ユーロ圏GDP改定値(予想:前期比0.4%/前年比1.2%)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:1.50%で据え置き)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   3月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比0.6%)
○21:30   4月カナダCPI(予想:前月比0.4%/前年比2.0%)
○21:30   4月米小売売上高(予想:前月比0.2%/自動車を除く前月比0.7%)
○21:30   5月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:8.5)
○22:15   4月米鉱工業生産指数(予想:前月比横ばい)
       設備稼働率(予想:78.7%)
○22:30   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、米上院銀行委員会で証言
○23:00   5月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:64)
○23:00   3月米企業在庫(予想:前月比横ばい)
○23:15   クーレ欧州中央銀行(ECB)理事、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○16日01:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○16日01:30   プラートECB専務理事、講演
○16日05:00   3月対米証券投資動向

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