FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:リスク回避の動きが広がり下落幅拡大

ドイツ半導体大手が19年度の売上高予想を下方修正し連想売りが半導体関連銘柄に広がった。また、トルコ信用不安の拡大や英国のEU離脱問題を巡る不透明感も投資家心理の重荷となった。下げ幅は一時400円超と節目の2万1000円を割り込んだ。結局、前日比344円安の2万1033円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は110円台を維持

ドル/円は、日経平均株価の大幅続落やアジア株安を背景にドル売り・円買いが進み、110.05円まで下落した。米長期金利が2.34%付近まで低下したことも、ドルの押し下げにつながった。ただ、心理的節目となる110.00円が視野に入ると下げ幅は一服し110.20円近辺まで値を戻した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら小幅に値を下げて111.10円前後で取引された。本日から始まっている閣僚級の米中通商協議を見極めたいとの雰囲気もあり様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.12ドル台半ばで方向感を欠く展開が続いた。

 

メイ英首相が最後のカードを切った:時間切れ間際

英議会では、昨日は8本のIV(Indicative Vote)を控えて、メイ英首相は保守党議員に対して次のように語り始めた。
『皆さんが離脱協定案に賛同したなら、私が必要な議論などせずに、離脱交渉の次の段階へと突っ走ってしまうと、ご心配している方々が多いようですが、私はそんなことはいたしません。あなた方が私のことを何て言っているのか知っていますよ。私はこの国と国民にとって正しいことをするために、より早い時期にこの職を辞する用意をしています』と、離脱案承認後の辞任を表明した。たった2日前に、この離脱案を『無視し、拒絶し、そして床に叩きつけていた』欧州懐疑主義のボリスジョンソン議員は、一転して賛成の意向を表明した。結局『メイ首相を辞めさせたかっただけ』の節操のない動きが見られた。ただ、同じ離脱強硬派のリースモグ議員は、逆に2日前の賛成表明を撤回した。『3回目の投票に反対票を投じる』と述べている。鍵を握る北アイルランドのDUPがメイ英首相の首を差し出されたにもかかわらず、『反対』の意向を改めて表明しており、残る48時間で『投票の目処がたつかどうかは不透明』の状況となっている。

 

ムーア米FRB理事候補の悪評

トランプ米大統領は、2つの空席があるFRB理事の候補として、2016年の米大統領選でトランプ氏の経済顧問だったスティーブン・ムーア氏を指名した。ムーア氏は、早速22日に『FOMCによる昨年12月の利上げは非常に大きな間違い』批判し、26日には『FRBは、直ちに0.50%の利下げをすべき』とトランプ米大統領に秋波を送った。そして『今後5-6年は、3-4%の成長率を達成できると思う。パウエル議長や理事会メンバーが、この国のためになし得る最善の成長促進と物価安定のシステム構築を本当に手助けできるようになりたい』と、FRB理事職への意欲を見せた。しかし、ムーア氏のエコノミストとしての予測は、ほとんど間違っており、WSJ紙記者、CNBCやCNNのコメンテーターとしての経済議論などでも基本的な間違いが多過ぎることで、エコノミスト達は、FRB理事指名に首をひねっている。

オバマ米政権下での『100年に一度の金融危機』の時、バーナンキ第14代FRBは、量的緩和を打ち出した。ムーア氏は、量的金融緩和は、1920年代のワイマール共和国を襲ったハイパーインフレーションを引き起こすと主張し、利上げを主張していたが、結局間違っていた。また、トランプ大統領の減税に関しては『税制中立』を主張していたが、やはり間違っていた。昨年までのFOMCの利上げ路線に批判し、今年は利下げを主張し、米国の経済成長率は3-4%と予想しているが、恐らく高い確率で間違っているだろう。

 

トランプ大統領は再びオバマケア全廃に向け始動

トランプ米大統領は、自らの罪を立証できなかったロシア疑惑の捜査結果を受け、一段と強気に出ている。26日には政権1年目に頓挫したオバマ前政権の医療保険制度改革(オバマケア)見直しに再び取り組む方針に言及。来年の大統領選に向け、野党民主党との対決色を強める構えだ。トランプ政権は2017年にオバマケア全廃に取り組んだものの、共和党内の造反に遭うなどして失敗。制度自体は存続している。
司法省は25日、オバマケアについて『全廃されるべきだ』との立場を表明した。与野党が鋭く対立するオバマケア廃止公約をトランプ政権が追求すれば、20年大統領選で争点化するのは確実だ。

 

米国市場では10-12月期国内総生産(GDP)確報値が公表

速報値は前期比年率+2.6%だった。個人消費は+2.8%で7-9月期の実績を下回ったものの、設備投資は+6.2%に加速した。確報値では設備投資の伸びが多少鈍化することや、純輸出の寄与同がやや低下する可能性があることから、GDP成長率はやや鈍化する見込みとなっている。

 

欧米イベント

○18:00   2月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比3.9%)
○18:10   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○18:30   2月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比4.6%)
○19:00   3月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲7.2)
○19:00   3月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:105.9)
○19:15   ノボトニー・オーストリア中銀総裁、講演
○20:15   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○21:00   クノット・オランダ中銀総裁、講演
○21:30   10-12月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率2.4%)
           個人消費(確定値、予想:前期比2.6%)
           コアPCE(確定値、予想:前期比1.7%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5万件/175.0万人)
○21:40   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○22:00   3月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.6%/前年比1.6%)
○22:30   クラリダFRB副議長、講演
○23:00   ボウマンFRB理事、講演
○23:00   2月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲0.5%/前年比▲3.0%)
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:6.75%で据え置き)
○29日00:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○29日02:00   米財務省、7年債入札
○29日02:15   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○29日04:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:8.25%で据え置き)
○29日05:00   オアNZ準備銀行(中央銀行、RBNZ)、金融政策のフレームワークについて発表
○米中閣僚級貿易協議(北京、29日まで)

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