FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:国内金融機関からの利益確定売りに押される

前日までの大幅上昇を受け国内金融機関などから利益確定売りが出た。寄り付き前に発表された1月の機械受注が市場予想を大幅に下回り、企業業績に対する警戒感が強まった。さらに、英国のEU離脱問題の先行き不透明感が増したことも投資家心理を冷やした。主力値がさ株や、米長期金利の低下を受けた金融株の下落が目立った。結局、前日比213円安の2万1290円で終了した。

 

東京外国為替市場:株安を嫌気したものの111円台前半の動き

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅が300円を超えたことや、中国株安を嫌気したドル売り・円買いが進み111.14円付近まで下落した。しかし、前日の海外市場で付けた111.12円が下値目処として意識されると下げは一服し、111.20円前後でもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価の下げ幅縮小で過度なリスク回避の動きが後退すると、ショートカバーが入って111.35円付近まで持ち直した。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの買い戻しにつながった。ユーロ/ドルは1.12ドル台後半で動意の薄い展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英国のEU離脱修正案は再び否決

英下院は12日、メイ首相と欧州連合(EU)がまとめた離脱修正案を賛成242票、反対391票で否決した。合意案の否決は1月に続き2回目となる。前回の230票よりも差は縮んだとはいえ、今月29日の離脱期限を前に混迷は深まる一方となっている。
メイ首相は前日、離脱協定案で懸案となっているアイルランド国境の厳格な管理復活を避けるためのバックストップについて、法的拘束力を持たせるよう修正することでEU側の合意を取り付けたばかりだった。
メイ首相は投票に先立ち、『修正案が議会を通らなければブレグジット(英国のEU離脱)は路頭に迷う恐れがある』と訴えた。議会は翌13日、合意なき離脱に関する投票を行う。メイ首相は通常通り党議拘束はないと明言した。その上で議員らに対し、『はっきり言っておくが、合意なき離脱に反対したり、離脱期限延長に賛成したからといって目の前の問題が解決するわけではない』と語った。

 

英国のEU離脱案否決受け2つのリスク

EU側が一定の譲歩したにも関わらず大差による否決となったことで、EUとの溝の深さが浮き彫りになった。13日に『合意なき離脱』の是非、14日に『離脱延期』の是非をそれぞれ議会で採決するが、市場の想定通り離脱延期となる公算が大きい。そのため、目先は二つのリスクに注意した。1つ目は英国の政治混迷である。一部野党からメイ首相の退陣や2度目の国民投票を求める声がある。総選挙の実施に至る可能性も残っている。いずれにせよメイ首相は一両日中にも政治的判断を下す可能性がるが、英国の政治リスクが高まった場合には世界的に投資家の不安心理が高まる。2つ目は今回の議会採決を受けてEUとの離脱案の協議がさらに難航する可能性である。短期間の期限延期では離脱案がまとまりにくい。長期化したとしてもEU側が一段と譲歩する可能性が低いからである。いずれにしても現状想定するもの全てにおいて不確実性が高く、月末にかけてどういった経緯を辿るか注意しておく必要がある。

 

米国の2月の物価動向:金融政策変更に慎重で辛抱強い方針を正当化

米労働省が発表した2月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.2%と、予想通り1月の横ばいから上昇した。前年比では+1.5%と、予想外に1月+1.6%から低下した。2016年9月以降ほぼ2.5年ぶり低水準となった。 変動の激しいエネルギーと食料品を除く2月消費者物価コア指数は前月比+0.1%と、予想外に1月+0.2%から低下した。4月来で最低となった。また米FOMCがインフレ指標として注視している前年比は+2.1%とやはり予想外に1月+2.2%から低下し、10月来で最低となった。ただ、FRBの目標値2%は12カ月連続で上回った。 FOMCの次回の金融政策変更に慎重で辛抱強い方針が正当化される結果となった。 米10年債利回りは2.67%から2.63%まで低下し、ドルの上値を抑える結果となった。

 

トランプ政権は自動車関税の導入議論が下火に

ドナルド・トランプ米大統領の自動車関税導入計画に対し、議会や消費者の反対、訴訟リスクなどの逆風が強まっている。
商務省が自動車関税に関する報告書を提出してから3週間たったが、トランプ政権はこの問題への取り組みを公表していない。同政権にしては珍しく沈黙を守っていることから、専門家の間では、大統領選を2020年に控えてさらなる通商摩擦の引き金を引く意向がホワイトハウスにはないとの見方が出ている。

 

欧米イベント

○19:00   1-3月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数(予想:32)
○19:00   1月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比1.0%/前年比▲2.1%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   2月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比1.9%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.6%)
○21:30   1月米耐久財受注額(予想:前月比▲0.5%/輸送用機器を除く前月比0.1%)
○23:00   1月米建設支出(予想:前月比0.4%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○14日02:00   クーレ欧州中央銀行(ECB)理事、講演
○14日02:00   米財務省、30年債入札
○英議会が「合意なき離脱」について採決

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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