FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米中貿易交渉の先行き不透明感から上値重い展開

週末の米国株の上昇を好感して寄り付きから3桁上昇スタートした。さらに上を試す動きも見せたが、21600円台に迫るところでは戻り売りも出てきており、その後は21500円近辺での一進一退が続いた。トランプ大統領が24日に対中関税引き上げ延期を表明してリスク選好の動きとなったものの、米中交渉の先行き不透明感もあり昼休み中に円相場が1ドル=110円台半ばへ円高が進みヘッジファンドなど海外短期筋の先物への断続的な売りが重石となった。結局、前営業日比102円高の2万1528円で反発して取引が終了した。

 

東京外国為替市場:狭いレンジ内での値動きに終始

ドル/円は、トランプ米大統領が対中関税の引き上げを延長すると表明したことが好感され、110.86円まで上昇した。日経平均株価の反発もリスク選好の円売りを誘った。しかし、心理的節目の111.00円が視野にはいると、上昇は一服した。その後は、一部メディアが『米中貿易協議で新たな不確実性がある可能性』、『最終段階へはさらに困難』などと報じたことで、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて110.58円まで下落した。午後は、日経平均株価や中国株の動向をにらみながら110.65円前後でもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、1.1340ドル前後で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル/円の季節要因と過去の経験則

ドル/円の為替需給では、3月末に向けて日本企業による年度末の決算対策が注視される。季節要因として、輸出企業のドル売り手当てや海外収益の円転・国内送金・外債の益出し・損切りやヘッジファンド売り対応などがドルの戻り売り(円高)要因となりやすい。ただし、今年度の場合、日本の貿易収支が赤字化しており、『輸出ドル売りの減退と輸入ドル買いの増加』という微妙な需給変化も見られ始めた。すでに今年2月に関しては『年度末の需給円高』が意識されながらも、ドル/円は1月比、前年同月比でドル高の流れになってきた。1990年代以降の過去実績として、3月の期末接近前における『2月のドル高』は、決算対策などに伴う需給円高の圧力減退を示す先行きシグナルとなってきた。結果、『2月ドル高』の年には裁定でも7-8月まで、多くのケースで年後半までドルの下値切り上がりやドル高のトレンドが形成されるパターンが目立っている。

 

アイルランド問題の解決策が出ない限り再び国民投票も

わずか100年前までアイルランドの歴史は、英国による侵略とそれへの抵抗の歴史であた。EU加盟で初めて国家として真に英国と対等の地位に立ったアイルランドにとってEU離脱の選択肢はあり得ない。ブレグジットとなれば、北アイルランドとアイルランド共和国との間に改めて関税の壁を築き、国境線を引き直す必要性が生じ、あれは恐らく『戦争と平和』の問題に直結する。北アイルランドのカトリックは『南』との統一を望み、プロテスタントは英国の一部であり続けたいと願う。30年の長きにわたる血みどろの内戦が収まったのは、英国とアイルランドがEUに同時加盟し、名実ともに『国境』が消えたからである。事実、アイルランドも編んだ伊の難解きは、①DUP(民主統一党)が北アイルランドと英国本土の厳格な国境管理は受け入れないとし、北アイルランドと英国本土で単一の関税地域に留めるべきと主張、②北アイルランドとアイルランドで関税率が異なる場合、ハードボーダーを設けない限り、租税回避的な行動の取り締まりが困難、北アイルランドとアイルランドで単一関税地域に留める必要-等による。アイルランド問題が『解』を見出せない以上、ブレグジットが再度の国民投票にかけられる可能性がぬぐえない。

 

英国メイ首相は離脱協定案の修正案の採決を延期

英国メイ首相は、EU=ヨーロッパ連合からの離脱協定案の修正案について、来月12日までにイギリス議会で採決を行う考えを示した。目標にしていた月内の合意が間に合わないことを認めた形で、経済界や野党からは批判の声が上がっている。英国メイ首相は、離脱協定案が先月、議会で否決されたこと受け、EUに修正を求めたうえで、今月中に新たな案を議会に示す方針を示していた。メイ首相は24日、アラブ連盟とEUの首脳会議が行われているエジプトで記者団に対し、『修正に向けた話し合いを続けているが、今週、議会に諮ることはない』と述べ、協議が難航する中で、当初の日程は延期せざるをえないことを認めた。

 

トランプ大統領とライトハイザーUSTR代表で関係がぎくしゃく

トランプ米大統領とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との関係がぎくしゃくしている、と報じている。政権内の事情に詳しい複数の関係者によれば、中国製品に対する関税率引き上げ期限が日に日に近づくなかで、お互いにフラストレーションを募らせているという。事情に詳しい関係者2人によれば、大統領はライトハイザー氏から中国の訪米団や記者団の前で訂正され、恥をかかされたと、後に周囲に不満を漏らした。トランプ氏はまた、中国との合意成立が一段と重要になっているとみており、ライトハイザー氏がまだ成立させていないことにいら立ちを示したという。

 

欧米イベント

○19:00   カーニー・イングランド銀行(BOE)総裁、記者会見
○23:00   10-12月期メキシコ国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.3%/前年同期比1.7%)
○24:00   12月米卸売売上高
○24:00   12月米卸売在庫(予想:前月比0.2%)
○26日01:00   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○26日01:30   米財務省、2年債入札
○26日03:00   米財務省、5年債入札

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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