FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:海外勢の先物の買い優勢

朝方発表された1月貿易統計の中国向け輸出が▲17.4%の大幅減も織り込み済みで影響は限られた。短期的な上昇を見込んだヘッジファンドやCTA(商品投資顧問)など海外投資家の先物への買いに上げ幅を一時190円超へ広げた。結局、前日比128円高の2万1431円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:110円台後半でのもみ合い相場の展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の続伸に支えられ、100.92円付近まで上昇した。前日に黒田日銀総裁が追加緩和の可能性に言及したことも、引き続き円売り要因として意識された。しかし、心理的節目の111円に接近すると上げ幅も一服となり110.85円付近でもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価の上げ幅縮小や中国株安をながめて利食い売りなどに110.70円近くへ下落した。もっとも、21~22日に予定されている閣僚級の米中通商協議に対する期待から下値を追う動きは限られ、110.80円台を中心とした狭いレンジ相場の展開となった。ユーロ/ドルは、1.134ドル近辺で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

危うい黒田日銀総裁発言:金融緩和はデフレ脱却のためでしょ!

昨日国民民主党の前原誠司議員は黒田日銀総裁に対して『米国が利下げをすれば金利差縮小で、円高になる可能性がある。その場合は追加緩和を行うのか?』と質問した。これに対して、黒田日銀総裁は『円高になり経済・物価に対して影響が出た場合、目標達成に必要ならば追加緩和を検討』と回答した。 この発言で為替市場はドル買い・円売りに反応した。為替関係者の中では『えっ!総裁それ言って良いの?』という声が出るほどの、これは非常に危うい発言と言える。安倍首相は2017年2月の参議院本会議で『為替操作ではなく、デフレ脱却を目的とする日本の金融緩和の必要性について(トランプ米大統領の)理解を得られた』と発言している。あくまでもアベノミクスの異次元緩和は経済や物価のためであり、円高阻止ではないという口実。しかし、黒田日銀総裁の発言を聞くと、円高が経済・物価に影響を及ぼす可能性があるため、円高阻止のため金融緩和も進めているとも捉えることができる。

 

欧州委員長と英首相の会談にらみ:進展しない可能性が高い

20日に開催されるユンケル欧州委委員長とメイ英首相の会談をにらむ展開となる。欧州連合(EU)は依然、離脱協定を再交渉する意向はないと述べており、合意ない離脱への警戒感がくすぶる。

 

米中協議は長引く可能性が高い:中国の構造問題改革がネック

14-15日に北京で開いた米中閣僚級協議は『進展こそあったものの、多くの課題を残している』ことで、今週ワシントンに場所を移し続けて協議することになった。両国は協議を継続し、中国製品への関税を引き上げる期限の3月1日までに合意を目指しているが、依然として米国が中国に求めている知的財産権や技術移転の強制など主要問題を巡る隔たりは大きい。先週の協議を終えてホワイトハウスは、米中貿易に深刻な影響を与えている中国の構造問題に必要な改革を実現することを目指すとした。米代表団を率いた米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表やムニューシン財務長官と会談した習中国国家主席は、昨年12月の米中首脳会談で決めた原則と方向に基づき、ワシントンでの閣僚級協議が双方に利益をもたらす合意に達することを望んでいると述べた。本日から2日間にわたって次官級の協議を行い、21-22日に閣僚級の協議が行われる予定となっている。トランプ米大統領は中国に構造問題では一層の譲歩を促し、関税引き上げ期限の3月1日を延長する可能性も示唆した。両国は、交渉期限の延長や首脳会談開催も視野に入れて協議を進めると見られるが、米国が求める構造改革を中国がすんなり受け入れる可能性は少なく、今回の協議では関税引き上げ期限を延長し、交渉を続けるとの方針にとどまる可能性が高い。

 

米国市場ではFOMC議事要旨を公表(1月29-30日分)

19日の外為市場では、米中貿易協議で為替安定が組み入れられたとの報道にともないハト派議事録を織り込む動きに米国債利回りは低下し、ドルも軟調に推移した。1月会合の声明やパウエル議長の会見で、FOMCは次回の行動に向けて辛抱強く、経済の展開を判断する方針に転じたことを明らかにした。議事録では、バランスシート解消方針に関して、より具体的な話し合いの内容に焦点が集まる。

 

欧米イベント

○16:00   1月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲0.2%)
○16:00   プラート欧州中央銀行(ECB専務理事、講演)
○17:00   1月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比4.3%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   南アフリカ政府、2019年度予算案発表
○24:00   2月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲7.8)
○21日03:10   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○21日04:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月29-30日分)
○メイ英首相がユンケル欧州委員長と会談(ブリュッセル)

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