FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:節目となる2万円台を維持して終了

前日のNYダウ260ドル高の続伸を受けて上げに転じる場面もあった。しかし、前日に750円高と急伸した反動による利益確定売りや大納会の持ち高調整売りに押された。また、1ドル=110円半ばへの円高や世界減速懸念に売りが優勢となった。ただ、引けにかけて強引な買い戻しが入り2万円台で終了した。結局、前日比62円安の2万0014円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:駆け込み的なドル売り・円買いもあり110円半ばでもみ合い

ドル/円は、米中貿易摩擦に対する懸念や日経平均株価の反落をながめて持ち高調整などのドル売り・円買いが入り一時110.52円付近まで下落した。本日は年末最終日にあたり、国内輸出企業による駆け込み的なドル売り・円買いも観測された。ただ、前日のNY市場でつけた安値110.46円が意識されると下げは一服し、110.60円付近へ値を戻した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数動向をにらみながら110.60円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、前日に発表された米経済指標の下振れや一部米政府機関の閉鎖が越年するとの観測からユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.14ドル台半ばの高値圏で推移した。

 

中国株の中国投資家の苦悩

中国株の投資家にとって2018年は苦悩の一年となった。上海総合株価指数の時価総額は年初来の下落率が25%近く、世界主要国株価指数としては最悪となった。そのため、株式市場の規模は世界2位の座を日本に譲った。売買代金は、上海・深セン両証券取引所での1営業日当たりの平均売買代金は約3690億元(約5兆9600億円)に減少し、14年以来の低水準となった。信用取引では、当局による金融レバレッジ取締りは一定の効果を挙げた。少なくとも株式市場における投機は減少した。信用取引残高は26時点で7650億元と、15年ピーク時の約3分の1となっている。投資信託は、株式に焦点を絞った中国のミューチュアルファンドが今年、合わせて75本清算された。IPO銘柄の株価は18年に新規公開(IPO)を実施した企業の上場後1ヵ月間の株価は平均で193%上昇となり悪い結果にはならなかったが、16年の半分であり、4年ぶりの低水準となった。

 

来年も中国ショックがリスク

中国国家統計局が27日発表した2018年11月の工業企業の利益は前年同月比1.8%減った。前年水準を下回るのは15年12月以来、2年11カ月ぶり。鉄鋼や化学など素材価格が下落し、国有企業の利益が減った。個人消費低迷で自動車やパソコン・携帯電話も振るわなかった。利益の伸びは18年4月の21.9%を直近のピークに7カ月連続で縮小した。前回利益が減少した15年12月は卸売物価指数(PPI)がマイナスとなるなど、川上の産業でデフレ圧力が強かった。足元もPPIの伸びが急失速しており、中国の一部エコノミストは素材デフレの再発を懸念する。

 

来年は米中貿易摩擦で新興国や資源国景気は下押し

足下の世界経済は米国の『独り勝ち』とも呼べる状況が続く可能性が高い。一昨年後半以降の世界経済の持ち直しに歩を併せて世界貿易の伸びも加速したが、年明け以降は頭打ちしている。米FRBは直近のFOMCで来年の利上げ回数を下方修正したが、米国経済の頭打ちを連想させ得る。 一方で、中国は財政出動などを通じて景気下支えに動く模様だが、米中貿易摩擦の激化は外需を通じて景気の重石となり得る。よって、中国経済との連動性が高く、経済の輸出依存度が相対的に高い新興国や資源国景気には下押し圧力が掛かりやすいと言える。 また、来年は多くの新興国で『選挙イヤー』を迎える。財政出動による景気下支えの期待がある一方、過度な歳出による財政悪化は金融市場の動揺に対する耐性をむしばむ要因となりやすい。そのため、政策の選択肢は自ずと限られる可能性が高く、景気を押し上げるものとはなりにくいと思われる。他方、足下では米トランプ政権の政権運営を巡る不透明感もリスク要因となり得るなか、一挙手一投足に揺さぶられる難しい局面が続く。

 

米政府機関閉鎖によりかなり低下する傾向

米国のコンファレンスボードが発表した12月消費者信頼感指数は128.1と、5か月ぶりに130を割り込み7月来の低水準となった。現況は171.6と、11月の172.7から小幅低下した。一方で、期待は99.1と、112.3から低下し2016年11月以降2年ぶり低水準に落ち込んだ。今回の指標は12月13日までに集計された調査結果がもとになっている。
26日に発表された米国の年末商戦は6年ぶりの大幅な伸びを示す予想以上の結果となった。貯蓄も5年ぶりの低水準で、国民が余剰資金を消費に向けた傾向が示された。しかし、米国政府機関の閉鎖や政局不安などで、2019年に向けて、消費者の慎重姿勢が増す可能性がある。米国政府が一部機関を閉鎖したのはクリスマス直前。歴史的なデータによると、消費者信頼感は政府機関閉鎖によりかなり低下する傾向にあるという。2013年10月の政府機関閉鎖は16日間続いた。この月の信頼感指数は8ベーシスポイント低下。しかし、低下は一時的にとどまった。来年1月の信頼感指数は12月から一段と低下する可能性が警戒される。 12月の消費者信頼感指数の低下は主に期待指数の低下が要因となる。特に、雇用やビジネス状況の見通しの低下がけん引した。

 

欧米イベント

○17:00   12月スイスKOF景気先行指数(予想:98.7)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○22:00   12月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比1.9%)
○23:45   12月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:62.0)
○24:00   11月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比0.7%)
○29日01:00   EIA週間在庫統計

※米政府が一部閉鎖されているため、指標の発表は流動的。

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