FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:リスク回避の売り止らず

マティス国防長官の辞任にFRB議長の更迭論や「つなぎ予算」失敗による政府機関閉鎖などトランプ大統領の政権運営への先行き不安に米中「貿易摩擦」による米中はじめ世界景気失速懸念に24日ダウ平均654ドル安の大幅4日続落を嫌気して投資家心理が弱気に傾斜し、一時下げ幅を1000円超へ広げ心理的節目2万円を割り込んだ。アナリスト予想の下方修正は続いているが、『19年3月期の純利益は前期比+2.0%と業績予想は依然として増益を維持している』東証1部の予想配当利回りも21日現在、2.54%とアベノミクス開始前の12年11月以来、約6年ぶりの高水準にあり、米国発の株安が一巡すれば、バリュエーション(投資尺度)から判断すれば、日本株は押し目買い好機となる可能性もある。結局、1010円安の1万9155円と5営業日続落となった。この5日間で約2350円の下落となり、PBRは1倍割れとなった。

 

東京外国為替市場:ドル/円は111.00円近では実需買いの動きも

ドル/円は、日経平均株価の大幅安をながめて110.05円付近まで下落した。一部メディアが『トランプ米大統領は株価下落の責任で、ムニューシン財務長官の解任を検討している』と報じたことも、ドルの押し下げにつながった。ただ、心理的節目の110.00円付近では、本邦実需筋などのドル買い・円売りオーダーが厚いと観測されており、下げが一服した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数の動向をにらみながら110円台前半でもみ合いとなった。クリスマス休暇を迎えて海外勢の流動性が低下しているため、商いは薄かった。ユーロ/ドルは、米政府機関の一部が閉鎖されたことや政治の混乱を嫌気したドル売りが優勢となり、1.14ドル台前半の高値圏で取引された。

 

世界の投資資金は先進国から新興国へ

米中貿易摩擦や米景気減速への懸念を背景に世界的な株安が進んでいるが、12月に入ってから特に下げが目立っているのは米国や日本といった先進国となっている。一方で、通貨安に伴う資金流出への警戒感から年央にかけて大きく揺れた新興国株の下げは足もとで限られており、株式投資家は先進国から新興国にマネーを移している。先進国の株価に連動する指数『MSCIワールド』の価格は11月末から12月21日までで10%あまり下落したが、新興国の株価に連動する指数である『MSCIエマージング』の下落率は約3.8%にとどまっている。通年でみれば先進国より新興国株の下げが目立つものの、12月は先進国株の方が下落スペースが速い。

 

米財務長官が余計なことをしてトランプ大統領が火に油を注いだ

米国の財務省は、ムニューシン財務長官が大手米銀6行の最高経営責任者(CEO)に電話、流動性供給が十分であることを確認したとの声明を発表した。財務省高官によると、電話は通常行われる市場調査のひとつに過ぎず、異例ではないと主張した。また、声明発表は透明性を強化することを目的としたと説明したほか、各CEOは経済が良好で、流動性に問題はないと、確認したと強調した。 ただ、NYタイムズ紙によると、財務長官からの電話を受けた主要銀行のCEOは『驚き』を表明したという。一部のアナリストは、流動性に問題がない状況での財務省による異例な声明の発表や、休暇先からの財務長官の銀行CEOへの流動性に関する電話は、市場や投資家が気づいていない状況があるのではと、逆に警戒感を誘うこととなった。
一部米政府機関の閉鎖に加えて、トランプ大統領がパウエル議長の更迭を検討しているとの報道が投資家心理を一段と悪化させた。ムニューシン財務長官や財務省高官はトランプ大統領がパウエル議長を更迭する意向はないと、市場説得に努めたものの、懸念は完全には払しょくせず。そんな中、トランプ大統領は追い打ちをかけるようにツィートで、『米国経済の唯一の問題はFRB』『FRBは市場や、ドル高、国境を巡る民主党の政府機関閉鎖の影響を理解していない』と再び非難した。

 

政府機関の一部閉鎖は自業自得:トランプ大統領愚痴まくり

トランプ米大統領はクリスマスイブの24日、ホワイトハウスでツイートを連発し、野党の民主党などへの愚痴をぶちまけた。トランプ氏はクリスマス休暇をフロリダで過ごす予定だったが、メキシコ国境での壁建設費を巡って民主党と対立し、政府機関の一部が閉鎖されたため休暇をとりやめていた。自身を『かわしそうな私』と言うなど不満が募っている様子だ。『ものすごく必要だ!』トランプ氏の24日朝は、やはり国境の壁のつぶやきから始まった。昼過ぎのツイートでは『絶対に必要な国境警備について民主党と話し合うため、私はホワイトハウスでたった一人で(かわいそうな私)待っている』と自分を慰めた。

 

欧米市場イベント

○スイス、ドイツ、フランス、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド、英国、南アフリカ、カナダ、米国、ブラジル、メキシコ(以上、クリスマス)、休場

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