FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:世界景気減速などへの警戒感を嫌気

日経平均株価は、日銀が発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)や、事前予想よりも悪かった中国の経済統計が主因となった。短観では大企業・製造業で足もとの見方こそ前回と横ばいだったが、先行きに関して設備投資業種などで見方が悪化し、関連銘柄を中心に大きく下落した。米中貿易摩擦による世界的な景気後退懸念が消えないないなか、投資家の慎重姿勢が改めてクローズアップされた。ヘッジファンドなど海外短期筋が先物への売りを進めた。結局、前日比441円安の2万1374円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いも過度な円高にはならず

ドル/円は、日経平均株価の大幅反落やアジア株安を嫌気したリスク回避のドル売り・円買いが進み、113.42円近辺まで下落した。米長期金利が低下したこともドルの押し下げにつながった。ただ、週末を控えて下値ではドルを買い戻す動きも見られ、113円台半ばでもみ合いとなった。午後は株価をにらみながら113円半ば前後で推移した。ユーロ/ドルは、1.1360ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国の景気対策の効果は年明け以降に出てくる可能性が高い

中国国家統計局が発表した11月の工業生産高と小売売上高は、それぞれ市場予想に届かずやや弱い印象となった。中国政府が進めていた過剰債務の削減(デレバレッジ)の悪影響が残り、企業の生産活動や個人消費の鈍さが出た。しかし、中国共産党が7月の政治局会議で内需拡大方針を決めた後、地方政府の債券発行が増えるなど政策の方向転換が着実に進んでいる。景気対策の効果は年明け以降に出てくる可能性が高い。近く開催される中央経済工作会議では、インフラ投資拡大など具体的な景気下支え策が判明する見通し。足もとの弱い経済指標を受け、中国政府は景気刺激に動きやすくなる。

 

フランスもEU財政ルールに違反する可能性も

欧州連合(EU)が財政規律を巡って対立が続くイタリアへの対応に苦慮している。制裁手続き入りもちらつかせて2019年予算案の見直しを迫ってきたEUに対し、コンテ伊首相は12日、財政赤字幅を縮小する一方、バラマキ色の強い政策は維持する妥協案を示した。一方、フランスが反政権デモの沈静化のためにEU財政ルールに違反する可能性が高まるなか、EUの強硬姿勢を揺さぶる思惑がにじむ。EUがイタリアばかりを責める格好に映れば、『反EU』を掲げて支持を集めるイタリアのポピュリズム勢力をむしろ勢いづかせかねない。欧州委は制裁手続きの発動を見送るかどうか、慎重に見極める必要がある。

 

英離脱協議の次の関門は合意受け入れの採決

メイ首相は次期総選挙前の退陣を約束することと引き換えに党首不信任を乗り切った。だが、与党議員の117名が同氏の退任を要求するなど、予想を超える敵が身内に潜んでいることを確認した。離脱合意でEU側から大きな譲歩を引き出すことは困難とみられ、来年1月中旬に予定される合意受け入れの是非を問う下院採決は大差で否決される恐れがある。 否決直後には野党勢が内閣不信任案を提出する展開が予想され、今回メイ氏の退陣を要求した与党議員が野党勢に同調すれば、議会の解散・総選挙に発展しかねない。 離脱合意の再協議とより強硬な離脱を求める保守党政権か、基幹産業の再国有化を唱える労働党政権か、どちらも英国に対する不安を掻き立てる選択となる。

 

米国市場では11月小売売上高を公表

10月実績は前月比+0.8%と高い伸びを記録した。自動車や燃料、建設資材の増加が全体を押し上げた。ハリケーンの影響で、9月分の数字は低調だったことも影響した。11月は反動減となる可能性があるが、個人消費はまずまず順調とみられており、全体の売上高はやや増加する見込み。飲食店、自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドなどを除く売上高も増加する可能性が高い。

 

欧米イベント

○15:30   11月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比4.64%)
○16:00   11月独WPI
○17:15   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○17:15   12月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:50.7)
○17:15   12月仏サービス部門PMI速報値(予想:54.8)
○17:30   12月独製造業PMI速報値(予想:52.0)
○17:30   12月独サービス部門PMI速報値(予想:53.4)
○18:00   12月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:51.9)
○18:00   12月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:53.5)
○18:00   ノボトニー・オーストリア中銀総裁、講演
○18:30   ラウテンシュレーガーECB専務理事、講演
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.50%で据え置き)
○20:30   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○22:30   ビスコ・イタリア中銀総裁、講演
○22:30   11月米小売売上高(予想:前月比0.2%/自動車を除く前月比0.2%)
○23:15   11月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.3%)
       設備稼働率(予想:78.6%)
○23:45   12月米製造業PMI速報値(予想:55.1)
○23:45   12月米サービス部門PMI速報値(予想:54.7)
○23:45   12月米総合PMI速報値
○24:00   10月米企業在庫(予想:前月比0.6%)
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、最終日)

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