FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米貿易摩擦激化を嫌気した売り優勢

ナバロ米大統領補佐官が週末7日に通商協議が不合意なら関税引き上げを示唆し先週末のNYダウ558ドル安の大幅反落や米中貿易摩擦激化懸念に投資家心理が悪化した。一時下げ幅を500円超に広げる場面もあった。結局、前週末比459円安の2万1219円と反r無くして終了した。日銀が、ETFの買い入れをしたとすれば、年初からのETFの累計買入額が5兆7179億円となり、年6兆円ペースを突破する見込みとなる。市場では買い続けるとの見方があったが、どこまで上振れするか注目されている。

 

東京外国為替市場:米中貿易摩擦の長期化警戒感からリスク回避の動き

ドル/円は、米中貿易摩擦が長期化するとの警戒感から調整色が強まり、112.23円近辺まで下落した。日経平均株価の下げ幅が一時500円を超えたことや米長期金利が一時2.82%付近まで低下したことも、ドル売り・円買いを誘った。しかし、6日に付けた11.23円が下値も目処として意識されると下げ渋り、112.30円を挟んでもみ合いとなった。午後は、米長期金利の低下一服に支えられ、112.50円近辺へと値を戻した。ユーロ/ドルは、1.14ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル需要が減退するとドルの下落基調リスクも

現在のドルの底堅さは『年末特有の季節的なドル買い需要』が影響している側面がある。米国の多国籍企業や金融機関、各種ファンドによる年末決算に向けた海外収益の本国ドル転回帰のほか、欧州など米国以外の金融機関による年越えに向けたドル資金調達などが要因となっている。こうしたドル買い需要は12月後半から1月にかけて減退していく。ここ数年のドル/円は年末年始にかけてドルが下落基調に急転換するパターンが目立っており、今年も年末のドル買い需要の剥落などによるドル安転換の落とし穴に注意が必要となる。ちなみに今年も1月から3月にかけてドル安・円高が進んだ経緯がある。

 

マクロン大統領は黄色ベスト運動に対して火に油の一言

マクロン仏大統領は、地球温暖化対策の国際的な枠組み『パリ協定』を受けて、『脱炭素』経済への移行による雇用創出を宣言した。今年は、燃料税を、ディーゼル車の燃料となる軽油は7.6セント、ガソリン燃料は3.9セント引き上げ、来年1月からは、経由6.5セント、ガソリン燃料は2.9セント引き上げる方針を表明していた。社会主義国フランスは、税負担の対GDP比46.2%(2017年)は欧州で一番高い国だが、富裕層は減税、大衆層は増税というイメージが強まりつつある。トラック運転手達は、燃料税引き上げで生活が困窮する、と抗議の声を上げたのが『黄色ベスト運動』(黄色ベストは運転手のシンボル)となった。 マクロン仏大統領は、燃料税引き上げに抗議する運転手に対して、『電気自動車を買えばいい』と言い放った。電気自動車は高額で最低でも2万ユーロ(@130円=260万円)するらしい。フランス国王ルイ16世の王妃マリー・アントワネット(1755年-1793年)は、パンを買うお金が無い貧困に喘ぐ民衆に対して『パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない』と言い放ち、フランス革命によりギロチンで処刑された。

 

トルコ・ショックの動揺は去ったが依然不透明

夏場以降の『トルコ・ショック』に端を発する国際金融市場の動揺は、足もとでは落ち着きを取り戻している。リラ相場は一時最安値を更新したが、足もとでは底入れが進んでいる。ただし、足もとのリラ相場はショック直前の水準にとどまり、経済政策運営を巡る不透明なども理由に上値が重い展開となっている。足もとのインフレ率は頭打ちしているが、政策誘導に拠るところが大きい。原油価格の急激な調整は対外収支や物価にプラスの効果を与える期待されるが、政策への過度な依存が副作用を招くリスクもあり、結果的にリラ相場の重石になると見られる。足もとではリラ安を背景に来訪者数が上振れするプラス効果もあるが、観光セクターの規模を勘案すれば景気への効果は限定的である。他方、外貨建債務を抱える企業部門では債務負担の増大が企業マインドの重石となっている上、雇用悪化は家計部門のマインドを下押しするなど、景気への悪影響は必至である。インフレ率の鈍化は景気にプラスと見込まれる一方、財政悪化などの副作用を招き、原油安によるプラス効果を相殺するリスクもくすぶる。トルコは『ショック』を脱したが、正常化に向けた道のりは依然平坦ではない。

 

欧米市場イベント

○15:45   11月スイス失業率(季節調整前、予想:2.5%)
○16:00   11月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比3.1%)
○16:00   7-9月期トルコ国内総生産(GDP、予想:前年比2.0%)
○16:00   10月独貿易収支(予想:170億ユーロの黒字)
○16:00   10月独経常収支(予想:180億ユーロの黒字)
○18:30   10月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:105億ポンドの赤字/12億ポンドの赤字)
○18:30   10月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%/前年比▲0.2%)
      製造業生産高(予想:前月比横ばい)
○18:30   10月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%)
○22:15   11月カナダ住宅着工件数(予想:19万6000件)
○22:30   10月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲0.2%)

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