FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米長期金利低下による円高を嫌気

前日まで7日続伸して1000円余り上昇したため利益確定売りが先行し米長期金利が時間外取引で低下して1ドル=113円への円高を嫌気した売りが広がった。また、ヘッジファンドなど海外短期筋の利益確定売りにさらに下げ幅を広げた。結局、前日比538円安の2万2036円と8日ぶり反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利の低下を嫌気したドル売り

ドル・円は、米長期金利の低下や日経平均株価の反落で調整色が強まり、113.30円付近まで下落した。新たな米中貿易交渉について、対中強硬派で知らているライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が責任者に任命されたことも、リスク回避の円買いを誘った。午後もこの流れが続き、日経平均株価が下げ幅を広げるとドル売り・円買い進み、113.04円まで下落した。ただ、113.00円近辺では値ごろ感からの買い戻しも見られた。ユーロ・ドルは、FRBの利上げペースが鈍化するとの思惑からユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.13ドル台後半の高値圏で推移した。

 

4日にEU財務相会合が予定:イタリア財政赤字問題承認是非

EUの財政基準を超えて財政赤字が拡大するイタリアの予算案について、改めて承認是非と制裁措置が協議される。トリア伊経済・財務相は11月30日、伊予算案を巡り『EUの制裁措置を回避する時間はまだある』との見解を示した。イタリアが財政赤字削減方針を示したり、EUが努力猶予を付与するなどで対立が回避されると、単発的にユーロ上昇やリスク選好の円安が支援される。また、ドイツのショルツ財務相は11月28日、次回財務相会合でユーロ圏の債務危機国を支援するESM(欧州安定メカニズム)の権限拡大を含めた、ユーロ圏強化に関する改革での合意を目指すと発言した。
同時にEU予算の一環として、ユーロ圏の投資と経済的な収れん、競争力と安定確保に向けた予算を促進する意向を明らかにしている。実際に協議が進展となれば、ユーロ圏の金融システム安定化や財政統合、歳出増加などに一歩前進となるもので、ドイツなどの欧州国債金利上昇やユーロの下支え要因となる。

 

6日のOPEC(石油輸出国機構)総会に注目

3日の週明けから原油相場は反発となっているが、背景としてはロシアとサウジアラビアがOPECと非加盟主要産油国で構成する『OPECプラス』の枠組みを2019年も継続することで合意したことや、カナダ最大の原油生産州であるアルバータ州の自治政府が前例のない減産命令を下したことが原油高の材料になっている。同時にOPEC議長であるUAE(アラブ首長国連邦)のエネルギー相は、OPECプラスによる原油相場の安定化協調に楽観的な見通しを示している。6日にかけては原油減産への期待感が、原油や資源国通貨を支援するほか、日米の株高とリスク選好の円安材料として注目されやすい。一方で6日以降には減産の規模失望や好材料の出尽くしなどで、逆戻し的な反落やリスク回避に注意が必要となる。

 

思っている以上に米国経済は底堅い:再度利上げ路線の継続も

米中貿易戦争も一時休戦となり安心感が広がっている。ただ、現状では、トランプ政権が実施した財政刺激策や税制改革による影響が薄れ、2019年、2020年の米国経済は成長が減速するとの見通しが強まっている。一部では米国経済が景気後退に陥るとの懸念も浮上している。FOMCも政策金利が、『中立に一段と近づいた』との見解で、FOMCは12月に本年4度目となる利上げに踏み切ったのち、2019年は中旬まで利上げが休止されるとの見解が強まりつつある。 しかし、貿易戦争や関税の脅威にもかかわらず米国の製造業は予想外に好調を維持していることが明らかになった。ISMが発表した11月ISM製造業景況指数は59.3となり、低下予想に反して、10月57.7から上昇した。重要項目である新規受注や製造業の雇用が引き続き強い証拠が見られた。新規受注は62.1と、前月の57.4から大幅に増加し、8月来で最高となった。生産は60.6と、前月の59.9から上昇した。雇用も58.4と、前月の56.8から上昇した。今週末に米労働省が発表する11月雇用統計で引き続き順調な雇用増加が示される可能性が示唆されている。原油価格の下落の影響で、製造業における投入原価の圧力を判断する価格指数は大幅に低下した。関税における価格上昇圧力を相殺した。万が一、インフレが目標である2%を突破した場合には、『政策を修正する』可能性も示唆しており、今後の金融政策は指標次第で、思った以上に好景気が持続した場合、FOMCが利上げのペースを再び加速させる可能性も十分あると見る。

 

欧米イベント

○16:45   10月仏財政収支
○17:15   11月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%)
○18:15   カーニー・イングランド銀行(BOE)総裁、英議会で発言
○18:30   11月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:52.5)
○18:30   7-9月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比年率1.6%/前年同期比0.5%)
○19:00   10月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.5%/前年比4.5%)
○22:30   7-9月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比0.2%)
○24:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、記者会見
○5日03:00   ブリハ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○欧州連合(EU)財務相理事会(ブリュッセル)
○英議会でEU離脱案の審議開始

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