FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:自然災害に対する過度な警戒感緩和で買い戻し

国内の自然災害に対する過度な警戒感の後退が買い安心感につながり、日経先物を中心に海外投資家の買い戻しが膨らんだ。また、前日の海外株が堅調な中でも半導体関連を中心にハイテク株の上昇が好感された。心理的な節目の2万2500円を上抜けした。結局、前日比291円高の2万2664円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株高で111円半ば近辺まで円安進行

ドル/円は、英国のEU離脱交渉に楽観的な見方が浮上していることや日経平均株価が上げ幅を拡大したことに支えられ一時111.48円まで上昇した。国内企業による米半導体大手メーカーの買収に関する報道が伝わったことも、ドル/円を押し上げた。ただ、心理的節目となる111.50円近辺では、ドル売り・円買いが厚く押し戻された。午後は日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら111.40円台を中心とした狭いレンジ相場となった。ユーロ/ドルは、イタリアの財政問題を巡る過度な懸念の後退で、持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り一時1.1612ドルまでじり高となった。

 

中国の対米貿易摩擦の激化に伴う影響を警戒

昨年以降の中国景気の持ち直しの動きには、世界経済の自律回復に伴う外需拡大が一助になってきた。しかし、足もとでは米中貿易摩擦の激化に伴う悪影響が警戒される。貿易制裁の影響が懸念された8月の輸出額は前年比+9.8%とプラス維持したが、頭打ち感は強まっている。米国向けは輸出前倒しの動きが押し上げにつながる一方、今後の制裁拡大を懸念する動きがみられる。一方の輸入額は前年比+20.0%と高い伸びが続くも、素材・部材関連の輸入に下押し圧力が掛かった。なお、貿易制裁にもかかわらず対米黒字幅は拡大しており、米トランプ政権は一段と態度を効果する可能性が高い。8月のインフレ率は前年比+2.3%に加速し、対抗措置に伴う資料価格上昇は家畜関連で物価上昇を招いている。商品市況の上昇や人民元に伴う価格転嫁の動きも広がり、徐々にインフレ圧力が強まると見込まれる。

 

米国経済は依然強い:ゴールドマン・サックスレポート

ゴールドマン・サックスは10日付の『さらなる成長、さらなる関税、さらなる利上げ』と題するリポートで『より大きなイメージは、米国の経済成長が依然として強いことである』と指摘した。8月の米雇用統計や米ISM製造業・非製造業景況感指数を踏まえながら『雇用統計で平均時給が前年同月比+2.9%増えたことの重要性を市場は過小評価している』などと指摘した。その上で、トランプ政権が追加の関税措置を発動すると見込まれることについて『既に発動したものよりも必然的に消費財に向けて焦点が移っており、コアインフレ率の出発点が高くなっている。2670億ドルの追加関税と自動車関税で追加引き上げが行われる場面、コアPCE指数への影響は最悪のケース2000億ドルの対中追加関税の3倍となるだろう』と市指摘した。これらの要因を踏まえ『2019年末までにFRBがさらに6回の利上げを行うと予想することについて、我々は依然カンファタブルなままだ』と締めくくった。

 

13日の英国中銀金融政策委員会を開催

8月に利上げを実施したばかりであるほか、EU離脱の手法を巡るEUとの協議難航や通商摩擦懸念などもあって、追加利上げへの慎重姿勢が想定される。為替市場ではポンドの戻り売りが支援されやすい。

 

13日ECB定例理事会を開催

通商摩擦懸念や中国を始めとした新興国の減速不安、イタリアの政治財政不透明感などにより、先行きの景気・物価見通しや利上げ時期への慎重さが予想される。理事会の前段階にかけては、ユーロの戻り売り圧力を高める。ただし、ECBの慎重姿勢は、一定の織り込みも進捗している。ECBについては『ドラギWCB総裁の任期満了となる2019年10月までに1回は利上げを行う』という観測も消えていない。改めて緩和出口軌道の堅持と1年以内の利上げの可能性が示唆されると、材料出尽くしなり、短期的にユーロが買い戻される可能性もある。

 

13日トルコ中銀政策会合を開催

すでに3日の同国8月消費者物価指数(CPI)が前年比+17.9と約15年ぶりの高い伸び率となったことで、直後にトルコ中銀は『次回会合では物価安定を支援するために必要な対応をとる方針』と表明した。実際にインフレ抑制と市場安定化につながるような大胆な施策が講じられると、短期調整的なトルコリラの上昇やリスク選好の円安が支援される。ただし、大幅利上げトルコ経済の一段の悪化につながる。しかもトルコ経済の深刻な窮状は、中銀による1回の政策会合だけで改善するほど簡単ではない。13日の中銀会合の直前や直後には短期調整的なリラ買い戻しが入っても、根強い戻り売り圧力に押される可能性もある。

 

欧米イベント

○17:30   8月英雇用統計(失業保険申請件数推移1万件/失業率)
○17:30   5-7月英失業率(ILO方式、予想:4.0%)
○18:00   9月独ZEW景況感指数(予想:▲14.0)
○18:00   9月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:15   8月カナダ住宅着工件数(予想:21万300件)
○23:00   7月米卸売売上高(予想:前月比0.3%)
○23:00   7月米卸売在庫(予想:前月比0.7%)
○12日02:00   米財務省、3年債入札
○北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の米加2国間協議
○東方経済フォーラム(ロシア・ウラジオストク、13日まで)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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