FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:北海道の地震の影響を警戒して売り優勢

前日の米ハイテク株安に加え、北海道で発生した地震の影響を警戒した海外投資家の売りが優勢となった。相場の下げが続いていることで運用リスク回避したい個人投資家が増えており、中型株に売りが目立ったことも相場の重石となった。下げ幅を一時160円あまりに広げたが、前引けにかけて下げ幅を縮めた上海総合株価指数が上昇し、市場心理の悪化に歯止めをかけた。その後、上海株が下落期基調となったことで、日本株の戻りも限定的だった。結局、前日比92円安の2万2487円と5日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:様子見ムード強く値動きは限定的

ドル/円は、トランプ米政権による2000億ドル相当の対中追加関税発動が警戒される中、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り、一時111.16円まで下げた。日経平均株価の下げ幅が一時160円超えたこともリスク回避の円買いを誘った。しかし、米8月雇用時計を明日に控えていることからさげは一服し、111.30円近辺に持ち直した。午後は米長期金利が小幅ながら上昇に転じたことに支えられ、じり高となった。ただ、北米自由貿易協定をめぐる米加の再交渉を見極めたいとの雰囲気から上値を追う動きは限られた。ユーロ/ドルは、前日の海外時間に急反発した反動から利益確定などのユーロ売り・ドル買いに押され、1.16ドル台半ばから1.16ドル前半へ水準を切り下げた。

 

豪州経済は堅調ながら政治情勢はガタガタ

豪州経済は堅調さが続く一方で、政治情勢は真逆の動きとなっている。来年5月までに実施される次期総選挙を見据え、与党国民党ではターンブル前首相への圧力を強まり、先月には1週間のうちに2度の党首選が実施される異常事態となった。最終的にはターンブル氏に近いモリソン氏が勝利して新首相に就任したが、政治的な不安は払拭出来そうにない。同国経済は政治と遊離して堅調さを維持しており、直線的な影響は乏しいと見られるが、先行きについては政権交代などに伴う政策変更リスクに注意する必要は高い。

 

イタリアの予算案への懸念は一旦後退しつつ

EUの財政均衡化ルールを破るのではないかというイタリア予算案への懸念は後退しつつある。昨日は、サルビーニ副首相の『公共財政を破壊することはできない』との発言が伝わり、積極財政を推し進めようとしていたディマイオ副首相も『秩序ある収支を維持する』と述べた。先月はイタリア予算への警戒感で伊債売りに走った市場だったが、買い戻しの動きが強まりつつある。伊10年債利回りは8月31日につけた約3カ月ぶりの高値3.246%から、昨日には一時2.86%まで低下した(引けは2.935%)。イタリア予算案は10月半ばに公表予定となっている。

 

★南アのラマポーザ政権は窮地に

国際金融市場は、トルコリラの急落をきっかけとする『トルコショック』に加え、米FRBによる金融正常化も重なり、新興国に資金流出圧力が強まっている。こうした中、先月末にべトランプ大統領がSNSで南アフリカの政策批判を行い、両国関係の悪化が懸念されている。金融市場では『第2のトルコ』を探す動きが活発化しており、その対象に南アフリカが当てはまりやすい中、ランド相場は下落基調を強めている。年明け以降の南ア経済は天候要因により弱含んでおり、ランド安圧力につながってきた。さらに、4-6月期の実質GDP成長率も2四半期連続でマイナス成長となるリセッションに陥るなど、厳しい状況に直面している。

本日18:00に4-6月期南アフリカ経常収支(予想:1665億ランドの赤字)が発表される。改めてランド安となる可能性があるので注意が必要となる。

 

アルゼンチンは9回目のデフォルトに向かって

アルゼンチンは1816年の独立以来、計8回(1827、1890、1951、1956、1982、1989、2001、2014年)デフォルトした。直近の2001年のデフォルトでは、デ・ラ・ルア大統領は、ドルペッグ制の破綻を受けて、1320億ドルの対外債務の支払い停止を宣言した。2014年のデフォルトでは、アルゼンチン政府は、米系ヘッジファンドによる債務不履行債権の買い取り勝訴に対する防衛措置として『テクニカル・デフォルト(支払い余力があるにも関わらず債務返済不能)』を断行した。そして、2018年は、米FRBやECBの出口戦略を受けて、新興国市場から資本が流出しており、新興国通貨危機から金融危機へ伝搬しつつある。マクリ・アルゼンチン大統領は、2108年6月にIMFに対して500億ドルの融資枠設定を要請した。アルゼンチン経済は、第3四半期に景気後退入りすると警戒されている。アルゼンチン中銀は、年初来約50%以上も下落して過去最安値まで売り込まれたアルゼンチンペソや30%前後まで上昇したインフレ危機に対処するため、政策金利を45%から60%へ引き上げた。アルゼンチンの対外債務残高は2330億ドルだが、来年249億ドルのペソ建てと外貨建ての債務が償還を迎える。アルゼンチン中銀が公表した月例調査の見通しでは、今年のGDP伸び率は▲1.9%、年末のインフレ率は40.3%、ペソの年末相場は1ドル=41.90ペソと予想している。

 

欧米イベント

○14:45   4-6月期スイス国内総生産(GDP、予想:前期比0.5%/前年比2.4%)
○15:00   7月独製造業新規受注(予想:前月比1.8%)
○16:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:▲0.50%で据え置き)
○18:00   4-6月期南アフリカ経常収支(予想:1665億ランドの赤字)
○20:30   8月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○20:45   ラウテンシュレーガー欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:00   8月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比横ばい)
○21:15   8月ADP全米雇用報告(予想:19万人)
○21:30   4-6月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比3.0%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数(予想:21万4000件)
○21:30   7月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比1.3%)
○22:45   8月米サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:55.2)
○22:45   8月米総合PMI改定値
○23:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○23:00   8月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:56.8)
○23:00   7月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.6%)
○24:00   EIA週間在庫統計
○米財務省3年、10年、30年債入札条件

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