FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国のCPIショックによる大幅下落に連れた売り優勢

前日に公表された8月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことから、米FRBが一段と金融引き締めを加速させるのではないかとの懸念が投資家心理を冷やした。米国株が大幅安となったことを嫌気して、幅広い業種で売りが出た。特に値がさ株の下げが目立ち、心理的節目の2万8000円を下回った。結局、前営業日比796円安の2万7818円と5営業日ぶりに大幅反落して終了した。信用信用評価損率は9日申し込み時点でマイナス9.42%と、前の週のマイナス10.79%からマイナス幅が1.37ポイント縮小した。改善は2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:ドル/円は日銀のレートチェックで急落し一時143円半ば

ドル/円は、政府や日銀の円安けん制発言を警戒して短期筋がドル売り・円買いに動き、144円台半ばから144円割れをうかがう姿勢を見せた。しかし、仲値にかけて本邦輸入勢のドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、144.50円付近へ値を切り返した。仲値発表後は、日銀が国債買い入れオペ増額を通達したこが円売りを誘い、144.85円へ上昇した。ただ、日経平均株価の急反落やアジア株安で、リスク回避姿勢が強まっていいることから伸び悩み、144.30円台へ下落する荒い値動きとなった。午後に入ると、鈴木財務相『このところの動きは急激で一方的であり憂慮している』『状況が続くならばあらゆる手段を排除せずに対応していく』『あらゆる手段の中には為替介入も含まれる』などと発言した。さらに、『日銀がレートチェックした』との噂もも流れた。これを受けて、海外投機筋などがドル売り・円買いに動き、144円を割り込んでい一時143.53円付近まで急落した。その後、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、143円台後半へ切り返した。ユーロ/ドルは、ドル/円のドル安が波及したことで、1ユーロ=1ドルのパリティを回復した。しかし、欧州景気の減速に対する根強い懸念からユーロ買いは続かず、小幅に値を下げて0.998ドル台を中心に取引された。

 

中国大連市や成都市は封鎖措置を延長

中国で新型コロナウイルスの感染が再拡大し、地域の封鎖が広がっている。大連市や成都市も封鎖措置を延長した。民間調査によると、事実上の都市封鎖や移動制限の対象は約2億9100万人に達した。商業や娯楽施設の閉鎖が長引き、経済への悪影響が深刻になるなか、住民の不満も高まっている。野村ホールディングスの野村国際(香港)による推計では、都市封鎖や移動制限の対象は49都市の約2億9170万人(9月6日時点)に達した。中国の総人口の20.7%を占める。米ゴールドマン・サックスは8月に公表したリポートで『中国はコロナの感染拡大と猛暑による電力不足という2つの逆風に直面している』と指摘した。2022年の実質経済成長率予想は3.0%と、従来の3.3%から引き下げた。

 

OPEC月報では22年と23年の石油需要見通しを据え置き

石油輸出国機構(OPEC)は公表した月報で、2022年と23年の世界の石油需要見通しを据え置いた。22年は前年比日量310万バレル増(3.2%増)の1億3万バレル、23年は同270万バレル増(2.7%増)の1億273万バレルとしている。

 

トルコでは住宅所得計画を発表:財政負担拡大の懸念高まる

トルコではインフレが暴走しているとまで言われており、同国の住宅価格や家賃も当然ながら大きく上昇している。イスタンブールなどの大都市では、この1年足らずで家賃は2倍にもなり、暮らしが圧迫された市民の不満は高まるばかりである。そういったなかエルドアン大統領は昨日、来年の総選挙までに人々の怒りを収めようとし、住宅所得計画なるものを発表した。計画では、公共住宅開発局が500億ドル規模の予算で国内に50万戸の住宅建設と25万区画を整理し、対象となる人に販売するようである。ローンの返済期間は20年まで延長でき、返済を低く抑えられるとしている。トルコ政府の財政負担拡大に繋がるとの懸念もあるこの計画が、どの程度まで効果があるのか、今後は見定める必要がある。

 

南アでは来週の金融政策委員会開催まで動きにくい展開

南アからは、昨日電力の負荷制限がステージ4に拡大されるなど悪いニュースが出たが、市場の反応は限られた。本日は7月の小売売上高が発表される。南アは来週8月のCPIが発表され、その翌日に南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)が開かれることで、小売売上高ではなかなか動きにくい展開となる。

 

メキシコ政府のエネルギー政策を米国が融和姿勢

ロペスオブラドール大統領は昨日、自身が推し進めている国家主導のエネルギー政策を巡る米国との対立について、バイデン米大統領から『我々の国家主権を尊重する異なるトーンの書簡を受けた』として、米国の融和姿勢に歓迎の意を示した。メキシコでは政府のエネルギー政策が海外企業の排除につながるとして、米通商代表部(USTR)が協議を要求した。米国との対立関係が深まったが、今回を契機に関係改善が進めばメキシコとペソ相場にとってもポジティブな要因となる。

 

8月CPIではインフレの長期化が警戒される結果

米労働省が発表した8月消費者物価指数(CPI)は市場が期待したほど改善せず、逆に圧力が強まった。連邦準備制度理事会(FRB)の想定通り、インフレの長期化が警戒される。8月CPIは前月比+0.1%と、マイナスに改善予想に反し、7月0.0%から伸びが拡大した。前年比では+8.3%と、伸びは7月+8.5%から鈍化し、4月来で最小となったが予想を上回った。FRBがインフレ指標として注目している変動の激しい燃料や食料を除いたコアCPI指数は前月比+0.6%と、予想外に7月+0.3%から伸びが拡大。前年比では+6.3%。伸びは7月+5.9%から予想以上に拡大し、3月来で最大となった。
原油価格が6月に高値を付けたのち、下落基調であるためガソリン価格は‐10.6%と想定通り下落したものの、サービスセクターが上昇した。賃貸料、食品、教育費、自動車保険、健康保険料金などの上昇が全体指数を押し上げた。家庭での食品は前年比で+13.5%と1979年来で最大の伸びを記録した。ガソリン価格の下落にもかかわらずCPIが期待通りに改善せず、FRBの主張通りインフレ高進が長期化する可能性が警戒される。短期金融市場では9月連邦公開市場委員会(FOMC)での3会合連続での75BPの利上げを100%織り込んだ。100BPの利上げ確率も上昇した。また、11月FOMCでの利上げ確率も上昇した。

 

米企業は経済に強弱感があり業績予想作成に苦心:WSJ

米企業のCFO(最高財務責任者)が年間業績予想の作成に一段と苦労している。国内経済の方向性がはっきりしないため、予想範囲を拡大したり、支出計画を見直す頻度を多くしたりしている。CFOは年間業績予想を通じて企業の健康状態に関する手掛かりを示す。だが、米経済が強弱まちまちなシグナルを発しているため、投資家は企業の財務悪化を示唆する微妙な変化がないか注視している。金融情報サービス会社カルクベンチによると、S&P500種指数の構成企業のうち、4-6月期に売上高と1株利益(EPS)の年間予想を修正したのは129社で、前年同期から50%増えた。そのうち上方修正したのは56社で、前年同期の63社を下回った。残りの73社は下方修正か予想範囲を縮小した企業、あるいは売上高とEPSをそれぞれ異なる方向に修正した企業だった。

 

欧米市場イベント

○15:00   8月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%/前年比10.2%)
○15:00      CPIコア指数(予想:前年比6.3%)
          小売物価指数(RPI、予想:前月比0.7%/前年比12.4%)
○15:00   8月スウェーデンCPI(予想:前月比1.8%/前年比9.6%)
        コア指数(予想:前月比1.4%/前年比8.8%)
○18:00   7月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲1.0%/前年比0.4%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   7月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比8.4%)
○21:00   7月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比▲3.5%)
○21:30   7月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲0.9%)
○21:30   8月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.1%/前年比8.8%)
       食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比7.1%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○23:30   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演

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