FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:前週末の米国株高を受け高い優勢

前週末の米国株高を好感し、幅広く物色された。景気減速への懸念はくすぶるものの、売りの反動が出たとみられている。これを受け、週明けの日本株も上値を追って始まった。半導体関連株をはじめグロース銘柄が幅広く物色され、指数寄与度が大きい銘柄が全体を押し上げる格好となっている。テクニカル面の改善が目立つようになったことから、さらに戻り相場に対する期待が膨らんだ。9月の米FOMCにおける利上げ幅と今後の見通しについての示唆となるが、ブラックアウト期間に入り、当局者からの言及がなくなる。そたのめ、目先は13日の8月米消費者物価指数(CPI)など経済指標が株価を左右する要因になる。結局、前営業日比327円高の2万8542円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利が持ち直すとドル買い優勢に

ドル/円は、日経平均株価の大幅高がリスク選好の円売りを誘い、142円台半ばから142.95円付近まで値を上げた。しかし、このところ日本の政府要人から円安けん制発言が相次いでいることから、次第に持ち高調整などのドル売り・円買いに押される展開となり、142.35円付近へ下落した。その後、低下していた米長期金利が持ち直すと、ドルは買い戻されて142円台後半へ切り返した。午後は、米長期金利が3.34%付近へ上昇すると、日米金利差拡大を意識して海外投機筋などがドル買い・円売りを持ち込み、一時143.29円付近までじり高となった。ユーロ/ドルは、この後参入してくる欧州勢の動向を見極めようとの雰囲気から、1.00ドル台後半で小動きに終始した。

 

ドル買い比率が上昇:前週のFX概況

QUICKが12日に算出した9日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は64.6%と前の週末から9.5ポイント上昇し、約1ヵ月ぶりの高水準となった。前週、日本の通貨当局者から急速な円安進行をけん制する内容の発言が相次ぎ、相場が円高・ドル安方向に振れる場面があった。そうした場面で、相場の流れに逆らう『逆張り』戦略をとる傾向が強い個人投資家は円売り・ドル買いに傾いた。8日に財務省と日銀・金融庁が国際金融資本市場に関する情報交換を開き、急速に進む円安・ドル高を巡り意見を交わした。9日には、日銀の黒田総裁が岸田首相と首相官邸で会談したことをきっかけに、急速に進んだ円売り・ドル買いの持ち高を解消する動きが広がった。市場では「個人投資家の『逆張り』戦略により、円売り・ドル買いが膨らんだ」との声も聞かれた。『ユーロ/円』取引のユーロ買い比率は前の週から10.1ポイント低下の19.2%と、6月上旬以来3ヵ月ぶりの低水準となった。欧州中央銀行(ECB)が8日の理事会で大幅利上げに踏み切ったのとを受けて円の対ユーロ相場は先週に一時、約7年8ヵ月ぶりの円安・ユーロ高水準をつけた。個人投資家の間では逆張りの円買い・ユーロ売りが広がった。

 

7月トルコ経常収支は通常であれば持ち直し

本日は7月トルコ経常収支が発表される。トルコ中銀も同収支の改善が必要と指摘しているが、前回34.6億ドルの赤字から赤字幅がやや拡大するとの予想が多い。観光シーズン真っ只中であり、観光業が主要産業の1つであるトルコでは、通常であれば収支は持ち直すはずである。先週初に発表された8月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比80.21%と市場予想から下振れしたが、1998年以来の高い伸び率を記録した。エネルギーや食品など変動幅の大きいモノを除いたコアCPIも、7月61.7%から66.1%まで加速した。インフレ高騰にもかかわらずエルドアン・トルコ大統領は更なる利下げを望んでいるとされ、リラの対ドルでの弱さは変わりようがない。

 

南アのポジティブとネガティブなニュース

南アに関してはポジティブとネガティブなニュースを見極める必要がある。ランド売り要因としては、黒字予想だった4-6月期経常収支が870億ランドの赤字となったこと、7-9月期消費者信頼感指数は前回の-25から-20に改善したものの13四半期連続でマイナスとなり、1982年以来最長のマイナス期間となったことなどがあげられる。一方、買い要因は毎月第1水曜日に公表される南ア国内のエネルギー価格が2020年以来最大の下げ幅になったことである。エネルギー価格高騰による景気停滞リスクが、このまま軽減した場合にはランドの支えになる。

 

メキシコの対内直接投資が大幅増加

メキシコ経済省外国投資局(DGIE)が発表した対内直接投資統計によると、2022年1-6月の対内直接投資額は275.1億ドルと前年同期比で+49.2%の大幅高となっていたことが分かった。これは2件の大型投資案件が大きく影響を与えているとのことであるが、それを除いたとしても前年同期比では+12.0%とのことで、好調であることが窺われる。
また、州ごとで見ると、メキシコの北東部に位置するヌエボレオン州が2021年1-6月と比べると+82.9%と驚異的な増加となっていた。これは、企業がサプライチェーンを見直す中でメキシコへの移転需要が高まったと言われており、特に中国企業が米中貿易戦争の影響からメキシコに移転することで米国への参入をやりやすくするためとのことである。今後のメキシコへの投資見通しには期待が高まる。

 

米石油・ガス掘削リグ稼働数は7月下旬以来の低水準

米エネルギーサービス企業ベーカー・ヒューズの週間データ(9月9日までの週)によると、米国内の石油・天然ガスの掘削リグ稼働数は前週比1基減の759基と、7月下旬以来の低水準となった。減少は過去6週間で5週間目。エネルギー価格は相対的に高止まりしているが、リグ稼働数と生産は伸び悩んでいる。前年同期比では256基(51%)増えた。石油の掘削リグ稼働数は5基減の591基と、6月中旬以来の低水準になった。天然ガスの掘削リグ稼働数は4基増の166基と、2019年8月以来の高水準になった。

 

米金利の『適切水準』 FRBが近く到達か

米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的な利上げを進めていることで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は近く、金融政策のルールが示唆する『あるべき水準』近辺に到達する。クリーブランド地区連銀が先頃公表した報告書によると、政策金利の理想的な水準は第3四半期が3.67%で、来年の第3四半期には4.15%に上昇する。FF金利の誘導目標は現在、2.25~2.5%である。FRBは9月20~21日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.5ポイントか0.75ポイントの利上げを決める見通しである。0.75ポイントなら、政策金利は3~3.25%に上がる。この水準でもルールが示唆する適切な水準をなお下回るが、FRBは11月と12月にも追加利上げに踏み切ることがほぼ確実視されている。

 

欧米市場イベント

○15:00   7月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.4%)
○15:00   7月英鉱工業生産(予想:前月比0.4%/前年比1.9%)
○15:00   7月英製造業生産高(予想:前月比0.4%)
○15:00   7月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:223.50億ポンドの赤字/113.00億ポンドの赤字)
○16:00   7月トルコ経常収支(予想:36.0億ドルの赤字)
○16:00   7月トルコ失業率
○16:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:00   8月インドCPI(予想:前年比6.90%)
○21:00   7月インド鉱工業生産(予想:前年同月比4.3%)
○21:00   シュナーベルECB専務理事、講演
○13日00:30   米財務省、3年債入札
○13日02:00   米財務省、10年債入札
○韓国(秋夕の振替休日)、中国(中秋節)、香港(中秋節の振替休日)、休場

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