FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株高を受けて銀行株や薬品株が相場をけん引

米国株高を受けて好地合いを維持した。米国の金融引き締めが依然として懸念されていることにより、堅調な地合いにおいては銀行など金利上昇でメリットがある銘柄群やヘルスケアなどのディフェンシブ銘柄が上昇を主導する形となった。日本株の同様の流れとなり、銀行株や薬品株などが買い優勢となった。ただ、市場では急激な戻しを演じたことに加え、週末でポジション調整の売りが出やすいとの声が聞かれた。結局、前営業日比149円高の2万8214円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は一時142円台半ばへ急落

ドル/円は、このところ急ピッチの上昇が続いていたため、週末を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いに押される展開となり、143.50円台へ下落した。米長期金利が低下したこともドル売りを誘った。午後からは、黒田日銀総裁が岸田首相との会談後に『為替市場の動向、今後も十分注視していきたい』『1日に為替が2円も3円も動くのは急激な変化』などと足元の円安をけん制した。日銀総裁の発言が伝わると、海外投機筋などがドル売り・円買いに動き、143円を割り込んで一時142.45円付近へ急落した。その後、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買いが見られ、142.90円台へ下値を切り上げた。ユーロ/ドルは、ECBの大幅利上げ観測を手掛かりにユーロ買い・ドル売りが進み、1.0083ドル付近まで上昇して8月下旬以来の高値をつける場面があった。

 

円安進行による新たな円安圧力:日経

急激な円安で、ドルの調達に苦慮する輸入企業が増えている。中小企業を中心に定着しているドル調達の手法、『ノックアウト・オプション』がこの背景の一つである。
為替水準が一定水準を超えた円安になるとドルを買う権利が消滅する仕組みのため、権利消失に伴いスポット(直物)での円売り・ドル買いを強いられる企業が多くなっている。円安がさらなる円安を呼び込む構図が起こりかねない。.

 

インフレ抑制のためにECBは初の75bpの利上げ

欧州中銀(ECB)は8日の理事会でユーロ誕生1999年以降で初めて政策金利の0.75%大幅利上げを決めた。欧州ではウクライナ危機に伴う資源高でインフレ率が年内に10%へ上昇する可能性が高まりECBは大幅利上げにより景気後退辞さずで高インフレ退治を優先している。銀行が中銀に預ける際の金利(中銀預金金利)を0%から0.75%に引き上げ、政策金利は欧州債務問題が深刻化した2011年以来の高さに戻ることになる。前回7月の理事会で11年ぶりに利上げを決め、マイナス金利解除に踏み切った。想定外のインフレに対処すべく今回は利上げ幅を前回0.5%から米FRBと同じ0.75%に拡大する必要性を判断、声明文では『今後、数回の会合で政策金利をさらに引き上げる』と断じた。

 

トルコとギリシャの関係が悪化

北大西洋条約機構(NATO)の同盟国であるトルコとギリシャの関係悪化が際立っている。両国が接するエーゲ海域を巡り、エルドアン・トルコ大統領はギリシャに攻撃的な発言を繰り返してきた。業を煮やしたギリシャ政府は今週初め、NATOやEU、そして国連に書簡を送り、トルコを非難すべきと訴えている。EUがギリシャ側に付くのは当然であり、トルコとEUの溝が広がるようであれば、トルコ経済界にも悪影響が及ぶとの懸念は高まる。

 

南アの4-6月期の経常収支は期待を大幅に裏切る結果

南アの4-6月期の経常収支は、市場予想1000億ランドの黒字が870億ランド赤字となり、期待を大幅に裏切る形となった。対GDP比では前期の+2.4%から-1.3%まで低下している。BERの7-9月期消費者信頼感指数は前回の-25から-20に改善したが、13四半期連続でマイナスとなり、マイナス期間としては1982年以来最長となった。

 

パウエル米FRB議長発言で9月米FOMCでの75bpの利上げがさらに確実視

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はCato研究所での質疑応答において、FRBはインフレが緩和するまで、FRBは強く行動を続けると、8月末に開催されたジャクソンホール会合で示した強い公約を再表明した。景気減速に伴いFRBが来年に利下げに転じるとの市場の思惑も根強い中、インフレとの闘いにおいて時期尚早に力強い行動を弱めることはできないと、政策金利を高い水準で当面据え置く姿勢を示唆した。また、政策決定において、燃料価格高により短期的なインフレ期待が高く、速やかな処置が必要と警告した。速やかな大幅利上げの必要性を示唆した。さらに、インフレ期待抑制を確実にしていくことが重要であると再表明した。今後の金融政策動向を探る上で、インフレ期待を大きく左右する燃料価格の行方に注目が集まる。
7日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)で、『パウエル議長が、たとえ失業率が上昇したとしても、インフレを制御することを強く公約したためFRBは9月FOMCにおいて3会合連続で75bpの利上げの軌道にあるようだ』、と報じたことから、9月FOMCでの75bp利上げ確率が上昇した。WSJ紙は度々、FRBが事前にFOMCの決定方針を間接的に市場に伝達するための手段の一つとして使用しているため、FRBの大幅利上げのサインと、市場の憶測を呼んだ。本日の発言からも、その憶測を後押しするような発言となり、9月FOMCでの75bpの利上げがさらに確実視された。

 

9月FOMC利上げ予測とターミナルレートも上方修正:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズは8日付リポートで、『我々の見解では、利上げペースがいつ鈍化するかについてのガイダンスが変わらないことは、パウエル議長とFRBが現在の市場の予測に満足しているとを示唆している』と指摘した。9月の米FOMCでの利上げ予測は従来50bpとみていたが、市場の金利予測に沿って75bpに上方修正した。9月以降は、11月に50bp、12月と1月に25bpの利上げを行い、ターミナルレート(利上げの到達点)は従来よりも50bp高い4.0~4.25%になると見込んだ。

 

米住宅ローン金利は2008年以来の高水準

米国の住宅ローン金利は3週連続で上昇し、2008年以来の高水準となった。米住宅市場で減速感が深まる中、物件を購入しづらい状況が生まれている。フレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の8日発表によると、30年物固定金利は平均5.89%と、前週の同5.66%から上昇した。フレディマックのチーフエコノミスト、サム・ケイター氏は『高インフレ対策で一段と積極的な金融政策が行われるとの見通しに市場が引き続き対処しており、そうした中で住宅ローン金利が再び上昇した』と発表文で分析した。

 

欧米市場イベント

○15:00   8月ノルウェーCPI(予想:前月比0.5%/前年比7.1%)
○15:45   7月仏鉱工業生産(予想:前月比▲0.5%)
○18:30   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○20:00   7月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比横ばい)
○21:00   8月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比8.72%)
○21:30   8月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1.50万人/失業率5.0%)
○21:30   4-6月期カナダ設備稼働率
○23:00   7月米卸売売上高(予想:前月比1.4%)
○23:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○10日01:00   4-6月期ロシア国内総生産(GDP)改定値(予想:前年比▲4.0%)
○10日01:00   8月ロシアCPI(予想:前月比▲0.5%)
○10日01:00   ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○10日01:00   ジョージ米カンザスティ連銀総裁、講演
○欧州連合(EU)臨時エネルギー相会合(ブリュッセル)
○EU経済・財務相非公式会合(プラハ)
○韓国(秋夕)、休場
○11日 スウェーデン総選挙

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