FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米長期金利の低下を好感した買いで大幅反発

前日の米国株市場で主要3指数がそろって上昇したことを好感し、日経平均は朝方から急反発してスタートし、徐々に上げ幅を拡大した。米長期金利の低下を好感し、幅広い業種で買いが優勢になったほか、値がさ株の上昇が相場を押し上げ、心理的節目の2万8000円を回復した。市場では、これまで日経平均は下落基調が続いていた反動で、買い戻しが優勢となったとの指摘が聞かれた。結局、前営業日比634円高の2万8065円と大幅反発して終了した。8月第5週(29~2日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家は4273億円売り越し、売り越しは3週連続となった。個人投資家は6910億円の買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。信託銀行は587億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。

 

東京外国為替市場:財務省が3者会合を開催と発表すると一時ドル売り強まる

ドル/円は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが先行、143円台後半から144円台前半へ水準を切り上げた。本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅反発に支えられ、144.55円付近までじり高となった。しかし、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが持ち込まれ、やや値を下げて144.10円台を中心に取引された。午後は、米長期金利低下を眺めたドル売りに押され、144円台前半から143円台後半へ水準を切り下げた。その後、財務省が『同省・日銀・金融庁が午後4時45分から3者会合を開催する』と発表すると、ドル売り・円買いが強まり、一時143.54円付近まで下落した。ただ、為替介入は難しいとの見方からドル売り・円買いは続かず、143円台後半へ切り返した。ユーロ/ドルは、今晩のECB理事会を控えて様子見ムードが広がり、0.999ドル台を中心とする狭いレンジで取引された。

 

欧州市場では欧州中央銀行(ECB)理事会を開催:予想は0.5%の追加利上げ

8月のユーロ圏消費者物価指数は前年比+9.1%、同コア指数は+4.3%でいずれも市場予想を上回った。ユーロ安やエネルギー価格の高止まりなどの影響で高インフレの状態が続いており、0.5%以上の大幅累加利上げが決定される可能性が高まっている。

 

トルコはロシア寄りの発言多く欧米との溝が広がる懸念

複数のメディアが報じたところによると、トルコ政府はロシアから購入する天然ガスの4分の1をルーブルで支払うことにしたようである。残り4分の3はドルやユーロで払われる。トルコが輸入する天然ガスの約半分はロシア産とされ、ドル買いリラ売りの需要は減ることにはなる。ただし、ルーブルを決済通貨として使用することに対し、欧米からの批判が高まるかもしれない。エルドアン・トルコ大統領は昨日、『ロシアを軽視すべきではない。西側諸国のロシアへの態度は間違っている』と述べた。このところロシア寄りの発言が目立ち始めており、今後はトルコと欧米の溝の広がりが懸念される。

 

南アでは景気は引き続き電力動向がカギを握る展開

南アフリカはワクチン接種が遅れるなかで変異株による感染再拡大の影響が懸念されたものの、足下では感染収束が進んでいる。行動制限の緩和による人の移動の底入れに加え、企業マインドも底堅く推移する一方、4月に同国東部で同国史上最悪の大洪水が発生し、同国最大のダーバン港も物流停滞を余儀なくされた。慢性的な電力不足も続くなか、4-6月の実質GDP成長率は前期比年率▲2.91%と3四半期ぶりのマイナス成長に転じ、景気は頭打ちしている。家計消費は底堅く推移する一方、外需や設備投資は低迷しており、洪水被害と停電の長期化を受けて幅広い経済活動に下押し圧力が掛かるなど、全般的に景気が低迷している様子がうかがえる。当面の景気は引き続き電力動向がカギを握る展開が続く。

 

メキシコ中銀の利上げへの意欲強い:国外労働者の本国送金が過去最高額

メキシコ中銀のヒース副総裁が先日、イベントで『エコノミストの間では年末時点で政策金利が9-10%になると予想しているのが大半だが、私も同意見。基本的にはデータ次第』と述べた。ヒース氏は中銀の中では比較的ハト派とされているが、最大でも年末までに1.5%の利上げがあることを示唆しているので、依然としてメンバー内ではさらなる利上げへの意欲が窺われる。

メキシコ銀行(中央銀行)が1日に発表した7月の国外労働者によるメキシコへの送金額は52億9680万ドルとなり、単月の数字として過去最高額を記録した。また、前年同月比では16.5%増となり、27カ月連続で前年同月の水準を上回った。米国では労働市場のひっ迫が続いており、国外労働者の大半が米国に居住しているメキシコ出身者の送金額は今後も増加する可能性が高そうである。メキシコ景気の押し上げ役として期待される。

 

米景気後退『まだ条件を満たしていない』:米S&P

米S&Pグローバルは7日付のリポートで、米景気後退の可能性について『まだ条件を満たしていない』との見解を示した。経済見通しを判断するうえで同社が材料とする9つの指標は弱いものの、全米経済研究所(NBER)が定める『リセッション(景気後退)』にあたらないとした。S&Pグローバルは、NBERが景気後退と判断するには『深さ、広がり、期間』を満たす必要があると言及。今年前半の指標は強弱入り交じる内容である点を踏まえ『広がりという条件を満たしていない』と説明した。一方、米国が今後1年のうちに景気後退入りする確率は45%と予測。40~50%の範囲としながらも、米FRBによる利上げの影響で景気後退リスクは高まるとし『(傾向後退に陥る)可能性は否定していない』との見解も示した。

 

市場が持続的なインフレのリスクを過少評価しているとは考えていない:BofA

BofAセキュリティーズは7日付リポートで、『我々と市場はインフレが低下すると予想している。我々は、市場が持続的なインフレのリスクを過少評価しているとは考えていない』と指摘。コロナ禍で米消費者物価指数(CPI)におけるコア指数の財価格がパンデミック前の水準から15%上昇したことを踏まえつつ、『今後1年間でコア指数の財価格が完全に下落すれば、前年比のコアCPI上昇率は4.0ポイント程度低下する。こうした非インフレの可能性の多くは、新車、中古車、家庭用家具の3つの耐久財カテゴリーに見られる』とも指摘した。ただし、短期的に財価格が全面的に反転すると仮定することは過度に楽観的過ぎるとし、BofAでは『2023年12月までの12ヵ月間のコアCPIの財価格の上昇率は前年比0.2%、24年12月までには下落率が同1.3%とみている。食料とエネルギー価格の仮定とサービスインフレの緩和期待に加えて、商品価格の見通しは、CPIのヘッドラインとコアのインフレ率がそれぞれ今年は6.7%と5.5%、来年には2.7%と3.2%に低下ることを意味する』との見解を示した。リポートでは、『物価の緩やかな下落は、24年までは予想されていないが、物価の安定を回復させるには十分である』との認識も示した。

 

円急落でも米財務省は為替介入への慎重姿勢崩さず

米財務省は、円相場の急落を止めるための為替介入に慎重な姿勢を堅持した。円はドルに対し、1998年以来の安値水準を更新する動きが続いている。米財務省のグウィン報道官は7日、イエレン財務長官が7月の訪日時に円相場や為替介入について議論して以降、同省のスタンスが変わったか否か質問を受け、『現時点で付け加えることはない』と答えた。イエレン長官は7月、都内で鈴木俊一財務相と会談後、記者団に対し『一般的に、日本や米国、主要7カ国(G7)などの通貨の為替相場は市場が決定すべきだというのがわれわれの考えだ』と述べ、『まれで例外的な状況においてのみ介入は正当化される。介入については協議しなかった』と語った。

 

欧米市場イベント

○14:45   8月スイス失業率(季節調整前、予想:2.0%)
○15:45   7月仏貿易収支(予想:135.60億ユーロの赤字)
○15:45   7月仏経常収支
○17:00   7-9月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数
○18:00   4-6月期南アフリカ経常収支(予想:1000億ランドの黒字)
○20:00   8月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比8.67%)
○21:15   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:1.25%に引き上げ)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.0万件/143.5万人)
○21:45   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○22:10   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演
○24:00   EIA週間在庫統計
○9日01:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○9日03:20   カシュカリ米ミネアポリス地区連銀総裁、あいさつ
○9日04:00   7月米消費者信用残高(予想:330.0億ドル)

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