FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米長期金利上昇からハイテク株やグロース株に売り広がる

米国の金融引き締めが警戒される中、米長期金利が上昇して米国株安となったことを受けて、ハイテク株やグロース(成長)株を中心に売りが広がった。市場では週末に特別清算指数(SQ)算出を控える中、朝方には先物でまとまった売りが観測され、メジャーSQを意識した動きもあったとの見方も聞かれた。サポートとして意識されていた200日SMAや75日SMAを割り込んだことで売りが強まったとみられる。下げ幅は一時350円を超えた。結局、前営業日比196円安の2万7430円となり、7月19日以来およそ1ヵ月半ぶりの安値水準で終了した。信用評価損益率は2日申し込み時点でマイナス10.79%と、前の週のマイナス9.8%からマイナス幅が0.99ポイント悪化した。悪化は2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:日米金融政策スタンスの違いを意識した円売り

ドル/円は、米FRBが積極的に金融引き締めに向かうとの観測から海外投機筋などがドル買い・円売りに動き、143.75円付近へ上昇した。前日に米長期金利が約3ヵ月ぶりの高水準となる3.35%台へ上昇し、日米金利差が拡大したこもドル/円の押し上げ要因となった。松野官房長官が『最近の為替市場は急速で一方的な動きがみられ、憂慮している』『このような動きが継続する場合には、必要な対応をとりたい』などと発言すると、一時的に円が買い戻される場面があった。午後は、日米金融政策スタンスの違いを意識した海外投機筋の仕掛け的なドル買い・円売りが再燃した。心理的節目の144.00円を突破して一時144.38円付近まで上昇した。1998年8月以来のドル高・円安を更新した。その後、急ピッチの上昇に対する警戒感から、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、やや値を下げて144.10円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、0.989ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国の8月ドル建て貿易統計:輸出入は市場予想を下回る

中国の税関総署が7日発表した2022年8月の米ドル建て貿易統計は、輸出が前年同月比7.1%増となり、市場予想の12.8%増を下回った。前月の18.0%増から減速した。輸入は0.3%増で、予想の1.1%増から下振れた。前月の2.3%増から減速した。貿易黒字は793億9000万米ドルと市場予想の927億米ドルを下回った。人民元建てでは、輸出が前年同期比11.8%増、輸入が4.6%増となり、ともに伸び率が前月から減速した。貿易収支は5359億1000万元の黒字だった。

 

ロシアは今年マイナス成長に:24年にはプラス転換

ロシアのレシェトニコフ経済発展相は6日、国内経済が今年は2.9%のマイナス成長となり、2024年にプラスに転じるとの見方を示した。ロシアの通信社が伝えた。タス通信によると、経済発展省は基本シナリオとして、23年の国内総生産(GDP)が0.9%縮小すると予測している。先月発表された予想は2.7%減だった。同省は先月、22年の成長率をマイナス4.2%、23年はマイナス2.7%と予想していた。レシェトニコフ氏は、ロシア経済がウクライナ侵攻を巡る欧米の制裁の影響をうまく切り抜け続けているため、予想が改善されたと分析した。

 

顧客が米国株を10週ぶりに売り越し:BofAセキュリティーズ

6日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は8月29日~9月2日の1週間に米国株を13億8900万ドル売り越した。10週ぶりに売り越しに転じたことになる。この週は2日に発表された8月の雇用統計で非農業部門の新規雇用者数(NFP)が市場予想を上回ったものの、ロシアの国営天然ガス会社ガスプロムが欧州向けガスパイプライン『ノルドストリーム』の停止を延長すると発表したことでリスクオフの展開となり、S&P500指数が数週間で3.28%安となって3週連続で下げた時だった。主体別動向では、ヘッジファンド(HF)が6億6500万ドルの売り越しで、3週連続の売り越しとなった。機関投資家は5億1900万ドルの売り越しで、3週連続の売り越しだった。個人投資家は11億5700万ドルの売り越しで、2週ぶりの売り越しとなった、企業の自社株買いは9億5200万ドルで4週移動平均(24億2300万ドル)を大幅に下回り、前週まで2週続けて30億ドルを超えていたが鈍化した。傾向としては、下げ相場の下支え役となっていた企業の自社株買いが鈍化したほか、その他の3主体が売り越しとなって地合いの悪さを示した。23年1月から企業の自社株買いに1%課税されるため、22年中に自社株買いが前倒しで行われるのではないかとの見方があるが、リポートでは『これまでのところ、税制変更が企業行動に影響を与えていることを示す明確な証拠はない。年初来でS&P500の時価総額に占める自社株買いの割合は0.15%で前年同期(0.14%)をわずかに上回っているものの、新型コロナウイルスの感染拡大前の19年の水準(0.23%)は下回っている』と指摘した。

 

トルコでは選挙を控えばら撒き政策が国の財政負担拡大が懸念

トルコ政府は新たな経済刺激策/企業支援策を検討している。トルコでは遅くとも来年6月までに総選挙が実施される予定であるが、多くの世論調査で与党・公正発展党(AKP)の支持率が低下している。選挙を控えて今後、国民の機嫌取り/ばら撒き政策がAKPにより推し進められるかもしれない。国の財政負担拡大が懸念される。なお、エルドアン大統領は昨日、『欧州諸国のエネルギー危機はウクライナ侵攻を巡るロシア制裁のせいだ』と述べた。その上で、ロシアとの良好な関係を保っているトルコはこの冬、欧州のような天然ガス問題には至らないとの見解を示している。対露制裁を批判するような発言にも聞こえ、トルコと欧米間の関係悪化が危惧される。

 

南アの基準ガソリン価格が大幅に下落

4-6月期国内総生産(GDP)は前期比では予想よりも小幅に上振れたが、前年比では予想を下回りまちまちの結果になった。南アからのポジティブなニュースでは、本日発表される南アの基準ガソリン価格が2020年以来最大の下げ幅になることがほぼ確定した。毎月第1水曜日に公表される基準価格であるが、ハウテン州のガソリン価格はリッター26.74ランドから23.38ランドに引き下げられる予定である。

 

メキシコ中銀と日銀の金融政策の違いからペソ/円は押し目買い

基本的にはインフレ対応の為の、メキシコ中銀による一段の利上げ期待、そして日銀の安定した金融緩和継続への思惑により、両国の金融政策の方向性の違いはさらに明確になっており、これが現在の強い上昇トレンドの根源となっている。この両国の政策になんらかの変化が見られない限りはペソの押し目買い意欲が衰えることはない。

 

バイデン米大統領は習中国国家主席との対面会談に意欲

バイデン米大統領は6日、中国の習近平国家主席が20ヵ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席すれば会談する考えを示した。ホワイトハウスでの閣議前に、記者団に対し『彼がその場にいるなら、私は確実に彼に会う』と語った。G20サミットはインドネシアのバリ島で11月15-16日に開催の予定。習氏の参加予定は確認されていないが、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は先月、出席する見通しだと述べた。香港英字紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』が7日に伝えた。米中首脳の対面会談が実現すれば、バイデン氏が21年1月に大統領に就任してから初めてとなる。両首脳は今年7月28日に電話会談し、対面しての会談に意欲を見せていた。習氏は新型コロナウイルスの感染が拡大して以降2年以上も外遊していないが、来週にカザフスタンを訪問する見込み。

 

欧米市場イベント

○15:00   7月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.5%/前年同月比▲2.1%)
○18:00   4-6月期ユーロ圏GDP確定値(予想:前期比0.6%/前年比3.9%)
○18:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、議会証言
○19:00   7-9月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:6.75%に引き上げ)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   7月カナダ貿易収支(予想:38.0億カナダドルの黒字)
○21:30   7月米貿易収支(予想:703億ドルの赤字)
○22:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:3.25%に引き上げ)
○23:00   8月カナダIvey購買部協会景気指数
○23:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○8日01:40   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○8日03:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○8日03:00   バーFRB副議長(銀行監督担当)、講演
○ブラジル(独立記念日)、休場

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