FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:週末前の手仕舞い売り優勢

日経平均株価は寄り付きは反発してスタートしたものの、週末を控えて手仕舞い売りが優勢になり、軟調な展開となった。米金融引き締めによる景気後退懸念や、中国での新型コロナウイルスの感染再拡大も相場の重しとなった。今晩は米国で雇用統計の公表を控え、手掛けにくさも意識されている。足もとの市場では、米経済統計で良好な結果が確認されても、米金融引き締め加速懸念につながり、株価が下落する場面が多くなっている。結局、前営業日比10.63円安の2万7650円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い

ドル/円は、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが先行し、140円を割り込んで139.88円付近まで値を下げた。しかし、このところ米FRB当局者からタカ派的な発言が相次いでいることもあり、下値を追う動きは限られた。その後は、前日に発表された週間の米新規失業保険申請件数や8月米ISM製造業景況指数が好調でFRBが積極的に金融引き締めへ向かうとの観測からドルは買い戻され、140.10円台へ値を切り返した。午後は、日米金融政策スタンスの違いを意識した仕掛け的なドル買い・円売りが持ち込まれ、一時140.40円付近まで上昇して24年ぶりの高値をつけた。ただ、今晩発表さえっる8月米雇用統計が見極めたいとの雰囲気から上げは一服した。その後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、小幅に値を下げて140.35円前後で取引された。ユーロ/ドルは、週末を控えた持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り0.99ドル台半ばから0.99ドル台後半へ水準を切り上げた。

 

ロシアがトルコリラ買いするとの報道で一時リラが急騰

一部通信社が関係者の話として、『ロシアは今年、友好国の通貨を対象として最大700億ドル相当の外貨を購入することを検討』と報じた。友好国にはトルコも入っているとの考えからリラは対ドルで急騰し、その影響でリラ/円も買われた。もっともリラ買いは一瞬であり、騒ぎ過ぎた反動でニュース前の水準まであっさり戻した。報道はロシア政府や中銀の会議に向けた提案書の内容だった。なお、昨日のロシアによる外貨購入の続報には、規模が大きいだけに気を付ける必要があるかもしれない。ただし、ロシアはドルやユーロへのアクセスが制限されていることから、手元で余っているロシアルーブルを直接リラに交換ということは考えられる。そうなるとドル/リラなどへの影響は極めて限定的となる。

 

南アのネガティブなニュース

南アに再びネガティブなニュースが複数流れている。1つ目は、ラマポーザ南ア大統領の『ファラファ・スキャンダル(=ラマポーザ大統領が所有する農場でドルが盗まれた事件)』である。これは新しいニュースではないが、問題となっているのが、多額のドルの盗難にもかかわらず、大統領がランドからドルへの換金を南アフリカ準備銀行(SARB)に報告をしていなかったことである。この件について昨日、SARBは今月8日までに大統領に対して、換金を報告しなかった説明を求めることを要求した。大統領が国民を納得させる回答が無い場合は、今後の政治的な混乱を招く可能性がある。
2つ目は先週アレルギーが原因で入院していたゴドンワナ南ア財務相が退院したことである。そもそもの入院が、日本の政治家同様にスキャンダルから逃げたとのうわさがあった。ゴドンワナ財務相のスキャンダルはセクハラ問題であるが、退院したことで追及が厳しくなることは確実である。3つ目は、昨日議会の公聴会で国営電力会社エスコムが、夏(南半球のため、これから夏を迎える)に、再びステージ4となる電力負荷制限が行われると証言したことである。このようなネガティブなニュースがすぐにランド相場に影響を与えることはないが、中長期的な相場への影響は避けられない。

 

メキシコ中銀はインフレ抑制に向け金融引き締め継続

ロペスオブラドール大統領は昨日、政府による燃料補助などのインフレ抑制策がなければインフレ率は14%に達していたとの見解を示した。先週発表された8月前半の消費者物価指数(CPI)は前年比で8.62%上昇でしたので、政府の補助金政策は功を奏したようである。もっとも、8.62%という水準でもメキシコ銀行(中央銀行)によるインフレ見通しのピーク値(8.5%)を上回っていることから、中銀はインフレ抑制に向けて一段の措置を取らざるを得ない。

 

米8月ISM製造業は経済の弾力性示す:FRBの積極的な利上げを正当化

米供給管理協会(ISM)が発表した全米の製造業況をあらわるISM製造業景況指数の8月分は52.8と、7月から低下予想に反し同水準を維持した。主要項目である新規受注も51.3と、予想外に3カ月ぶり50を上回り活動の拡大となり、経済の弾力性を示す結果となった。雇用指数も54.2と、予想外に4カ月ぶりに50を上回り活動の拡大となった。3月来で最高となり、労働市場が引き続きひっ迫しているとのFRBの見解を裏付ける結果となった。一方で、支払い価格は52.5と、5カ月連続の低下で、予想55.3も下回り2020年6月来で最低となるなど、FRBの好ましい方向に向かっている証拠となった。
経済が十分に強く、FRBも積極的な利上げを長期にわたり継続することが正当化されることになる。一方で、輸出受注は49.4と、25カ月活動拡大が続いたのち、活動縮小となった。中国で引き続き新型コロナ抑制の都市封鎖が続いていることやドル高が影響したと見られる。

 

米8月雇用統計が強い結果になれば9月のFOMCで0.75%利上げ織り込む

原油高一服で物価の伸びは鈍化し約41年振りインフレにピークアウト感が台頭しようが、米FRBは締め姿勢に影響する基調的なインフレの行方に目を凝らす。カギを握るのは、労働需給の逼迫に起因する急ピッチの賃金上昇の帰趨である。だが、8月30日公表の7月雇用動態調査(JOLTS)は非農業部門の求人件数が市場予想を大幅に上回り、パウエル議長が重視する失業者1人あたりの求人はほぼ2件に達し、米労働省が1日発表した8月27日週の新規失業保険申請件数が23.2万件と事前予想の24.8万件を下回り雇用情勢の改善が示された。一方で米民間雇用サービス会社ADPが31日発表した8月非農業部門の雇用者数の増加幅は予想の半分以下にとどまり、急ピッチの雇用拡大から正常化に向かう転換点と理解され、8月31日に講演したクリーブランド連銀メスター総裁は『賃上げ圧力は高まり続け、衰える兆しはほとんどない』と指摘、『23年の早い時期までに政策金利を4%以上に引き上げ、その水準を来年中は維持する必要がある』と訴えた。9月2日発表の8月雇用統計の予想は30万人強と堅調な雇用増を予想するが、下振れを見込む声もある。逆に強い結果になれば13日公表の米8月消費者物価指数(CPI)の結果を待たずに9月FOMCでの3連続0.75%利上げが現実味を帯びる。

 

インフレ退治に突き進むFRB:米国株市場の憂い

投資家は不安を抱きながら2日の米雇用統計発表を迎える。今では多くの投資家が、米連邦準備制度理事会(FRB)は経済指標が悪化しても金融政策の引き締めを続けると確信している。米国株式相場は過去5営業日のうち4日下落しており、年初来安値圏からの反発を支えた夏終盤の上昇相場は徐々に崩れてきた。投資家が相場低迷の一因として挙げるのが、FRBは成長鈍化の兆しがあればすぐに利上げペースを落とすという姿勢ではなく、むしろインフレ抑制にまい進し続けるだろうという懸念である。市場にとっての重要な試金石の一つが2日発表される8月の米雇用統計である。通常、力強い経済指標は好材料と受け止められるはずだが、今回は多くの投資家が、FRBの利上げ継続の決意を強めることになるだけだと危惧している。

 

欧米市場イベント

○15:00   7月独貿易収支(予想:48億ユーロの黒字)
○18:00   7月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比2.5%/前年比35.8%)
○21:30   4-6月期カナダ労働生産性指数
○21:30   8月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化30.0万人/失業率3.5%/平均時給、前月比0.4%/前年比5.3%)
○23:00   7月米製造業新規受注(予想:前月比0.2%)
〇先進7カ国(G7)財務相会合(オンライン)
〇英与党保守党の党首選決選投票の党員投票締め切り

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