FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:海外景気が一段と減速することへの警戒から売り優勢に

米国株安を受けて、寄り付きから300円近い下落した。序盤に27800円近辺でしばらくもみ合った後、下方向に勢いがついた。米国の金融引き締めが長期化し、海外景気が一段と減速することへの警戒から、バリュー株、グロース株問わず主力どころの銘柄がまんべんなく売られており、買い手不在の様相が強まった。また、米中の対立が再び強まるとの懸念も重荷となった。朝方にはドル/円が24年ぶりの水準まで円安が進んだが、ドル高が米国株の重荷になるとの見方から、日本株の支援材料にはならなかった。27600円を割り込むかというところでは下げ渋ったものの、400円を超える下落で前場の取引を終えた。8月第4週(22~26日)の投資部門株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は1212億円売り越し、売り越しは2週連続となった。個人投資家は1840億円の買い越し、買い越しは4週ぶりとなった。信託銀行は19億円の売り越し、売り越しは2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:ドル買い一巡後は139円台前半でもみ合う

ドル/円は、米FRBがインフレ抑制に向けて大幅利上げに踏み切るとの観測からドル買い・円売りが進み、139円台前半から一時139.68円付近まで上昇しておよそ24年ぶりの高値をつけた。米長期金利が3.20%を超える水準まで上昇し、日米金利差が拡大したこともドル売り・円買いも見られ、139円台半ばへ緩んだ。午後のドル/円は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、やや値を下げて139.30円台を中心とする狭いレンジでもみ合いとなった。今晩のべ国株動向や8月米ISM製造業景況感指数を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、ロシア産天然ガスの供給ひっ迫で、欧州景気の減速を警戒したユーロ売り・ドル買いが一巡すると、1.0015ドルを挟んで方向感に欠ける値動きとなった。

 

4-6月期トルコGDPは市場予想より強い結果

欧州序盤に発表された4-6月期トルコ国内総生産(GDP、前年比)は+7.6%と市場予想+7.4%より強い結果となった。金融緩和により内需が拡大し、リラ安による輸出増が経済成長を促したとされている。家計消費は13.6ポイント、外需は2.7ポイント成長を押し上げたと試算されている。トルコ金融当局によるドル売りリラ買い介入は断続的に実施されているようだが、相場への影響は極めて限られている。そういったなか、昨日はトルコ中銀が外貨預金の準備率引き上げを通達した。これもドル/リラの上昇スピードを鈍らせることはできたとしても、トレンドを変えるまでには至らない。

 

OECDは南アの税制を全面的に見直す必要があると発表

先週25日OECD(経済協力開発機構)は南アについて、財政赤字の削減と債務の抑制を目的とした予算調整の限界に達した南アフリカは、経済成長を促進するためと、不平等を縮小するために税制を全面的に見直す必要があると発表した。2023会計年度に国内総生産(GDP)の75.1%になると予想し、債務をいかに軽減するかが重要になっている。OECDによると、南アフリカの上位10%の富裕層がが全収入のほぼ半分を占めており、その中でも最も裕福な10% が純資産の85.6%を保有しているとしている。この不平等の改革を行うとともに、税収を増加させる必要があるとしている。具体的には、想像勢のベースの拡大や、生命保険、信託、年金貯蓄の免除を削減を行うこと、また所得税の改革も提唱している。一方で15%の付加価値税率の引き上げも必要としている。

 

メキシコ中銀の追加利上げ姿勢を改めて確認

今週に入ってメキシコ銀行(中央銀行)のヒース副総裁は『米連邦準備理事会(FRB)の結果を確認するまでは利上げが続く』『我々としても同様の動きをせざるを得ない』としたうえで、『利上げサイクル終了を検討するのは極めて時期尚早』との見解を示した。メキシコ中銀の追加利上げ姿勢が改めて確認できたこともあり、日本との金融政策の方向性の違いが相場を下支えしそうである。

 

ユーロ圏物価統計を受けて米2年債利回りが3.5%超え15年ぶり高水準

米2年債利回りは欧州時間31日午前の取引で3.5010%に上昇し2007年終盤以来、約15年ぶりの高水準を付けた。8月のユーロ圏物価統計が過去最高を更新したことを受け、国債が売られている。10年債利回りも3.164%に上昇し6月下旬以来の高水準となった。欧州連合(EU)統計局が31日発表した8月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年比上昇率が9.1%と、前月の8.9%から加速し、過去最高を更新した。

 

予想を下回ったADP全米雇用報告を受け米雇用統計に注目集まる

米国8月の雇用統計の予想は、非農業部門雇用者数が前月比+30.0万人で7月の前月比+52.8万人から増加幅が減少することが見込まれ、失業率は7月と変わらずの3.5%と見込まれている。7月の増加幅程度になれば、9月20-21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げ幅が0.75%となる確率が高まり、予想を下回れば0.50%の利上げ確率が高まることになる。しかし、パウエルFRB議長は、26日のジャクソンホール会合で、高金利の状態が当面続くことを示唆しており、ドル/円の下値は限定的だと思われる。昨日発表された8月のADP全米雇用報告は前月比+13.2万人だった。ADP全米雇用報告は、民間給与計算代行業者大手のオートマチック・データ・プロセッシング社(Automatic Data Processing)が、雇用統計の先行指標として、自身の持つ全米約50万社、約2500万人のデータを元にして、2006年5月から発表を開始した雇用調査報告である。 昨日は、休止期間を経て、雇用統計との確度を高めた新方式で発表されており、明日の雇用統計で真価が問われることになる。ホワイトハウス報道官も『週末の米雇用統計は若干弱めの数字となりそうだ』と述べており、市場予想を下回る数字に要警戒となる。

 

米国市場では8月ISM製造業景気指数:予想は52.2

7月実績は52.8で6月実績を下回っており、2020年6月以来の低水準になった。過剰在庫と過去最長のリードタイム継続への懸念が高まっており、新規受注率は低下する可能性があるとみられている。一方、雇用はまずまず。8月については、新規受注が7月実績を下回る可能性があることから、全体の指数は7月実績をやや下回る可能性がある。

 

欧米市場のイベント

○15:00   7月独小売売上高(予想:前月比横ばい/前年比▲6.5%)
○15:00   8月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.1%)
○15:30   8月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%)
○15:30   7月スイス小売売上高
○16:00   8月トルコ製造業PMI
○16:30   8月スイス製造業PMI(予想:56.8)
○16:50   8月仏製造業PMI改定値(予想:49.0)
○16:55   8月独製造業PMI改定値(予想:49.8)
○17:00   8月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:49.7)
○17:30   8月英製造業PMI改定値(予想:46.0)
○18:00   7月ユーロ圏失業率(予想:6.6%)
○19:30   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○20:30   8月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:00   4-6月期ブラジル国内総生産(GDP、予想:前期比0.9%/前年同期比2.8%)
○21:30   7月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲0.5%)
○21:30   4-6月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比▲4.5%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.8万件/143.8万人)
○22:45   8月米製造業PMI改定値(予想:51.3)
○23:00   8月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:52.0)
○23:00   7月米建設支出(予想:前月比▲0.4%)
○23:30   8月メキシコ製造業PMI
○2日03:00   8月ブラジル貿易収支(予想:38.00億ドルの黒字)

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