FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米長期金利低下で半導体関連株中心に買い先行

前日の米国株高の流れが日本株を支援した。一方、経済シンポジウム(ジャクソンホール会合)でのパウエルFRB議長による講演への警戒感もくすぶり、上値を抑えた。前日の米国市場で長期金利が低下し、ハイテク株比率の高いナスダック総合が高かったことが好感され、半導体関連株などを中心に買いが先行した。後場はパウエル米FRB議長の講演を控え、持ち高調整の売りが出て伸び悩んだ。結局、162円高の2万8641円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利がドルの下支えで円じり安

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ、136.70円台へじり高となった。日経平均株価の上げ幅拡大で、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。午後は、このところFRB当局者からタカ派的な発言が相次いでいることで、日米金融政策の違いを意識したドル買い・円売りが持ち込まれ、136.90円付近へ上昇した。米長期金利が3.05%台へ上昇したことも、ドル買いにつながった。ただ、今晩のジャクソンホールで行われるパウエルFRB議長の講演内容を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な上値追いは手控えられている。ユーロ/ドルは0.996ドル台を中心とする狭いレンジで取引された。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコ中銀が利下げを決定してリラ安ドル高の流れ強まる

インフレ高騰にもかかわらずトルコ中銀が先週サプライズ利下げを決定し、リラ安ドル高の流れは強まるばかりである。昨年12月20日につけた18.36リラ台のリラ最安値は完全に視野に入っており、安値更新ともなれば19リラさえも意識される。なおトルコ中銀が昨日発表した19日時点のネットの外貨準備高は、138.8億ドルと前週から18億ドルほど減少した。

 

南アの7月PPIは市場予想より上振れする結果

昨日発表された7月のPPIは前月比+2.2%(市場予想:前月比+2.0%)、前年比+18.0%(市場予想:前年比+17.6%)だった。市場予想より上振れする結果となったが、CPI発表後に出るPPIの反応は毎回ほぼスルーされることが多く、今回も市場は反応薄だった。本日は南アからは主だった経済指標等のイベントは予定されていない。市場の注目は、ジャクソンホールでのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演に集中していることで、パウエルFRB議長の発言次第でドル/ランドは大きな動きを見せる。しかし、ランド/円はドル/ランドとドル円がほぼ同時に動く傾向が強いことで、7円後半から8円前半のコアレンジを超えるのは難しいのではないかと思われる。

 

日・メキシコ間の金利差拡大への思惑がペソの下支え

8月前半の消費者物価指数(CPI)は前年比で8.62%の上昇と市場予想を上回る結果となった。市場ではインフレが一段と進んでいることを踏まえ、『次回(9月29日)のメキシコ銀行(中央銀行)の金融政策決定会合で75bpの利上げを行う可能性が高まってきた』との指摘もあり、日・メキシコ間の金利差拡大への思惑が引き続き相場を下支えすることになる。なお、ロペスオブラドール大統領は今週、国営のリチウム採掘会社を設立した。政府は4月の段階でリチウム資源を国有化することを決めており、大統領が推し進めている国家主導のエネルギー戦略は今後ますます加速していくことになる。もっとも、同国では外資系企業がリチウム鉱床を探鉱する契約をすでに結んでいたところに、大統領がリチウム資源の国有化と外資系企業に対する全ての契約を見直すことを宣言したため、今後は諸外国との間で契約を巡って問題が発生する可能性もある。

 

米雇用指標改善と米GDP改定値が予想上振れ

米労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数(8/19)は前週比-2000件の24.3万件と前回24.5万件から増加予想に反し減少しほぼ1か月ぶり低水準となった。また、失業保険継続受給者数(8/13)は141.5万人と、前回143.4万人から増加予想に反し減少しやはり1カ月ぶりの低水準となった。米商務省が同時刻に発表した4-6月期国内総生産(GDP)改定値は前期比年率-0.6%と、速報値-0.9%から予想以上に上方修正された。また、同期個人消費改定値は前期比年率+1.5%と、速報値+1.0%から上方修正され予想に一致した。また、同期GDP価格指数改定値は前期比+8.9%と、予想外に速報値+8.7%から上方修正され1981年1-3月期以降で最高となった。

 

米NABEの7割が景気後退を予想

全米企業エコノミスト協会(NABE)が8月22日発表した8月専門家調査(8月1-9日)によると、NABEに所属する経済専門家198名に『今後2年間でFRBは景気後退を引き起こさずに、インフレ率を目標の2%に抑制できると信じているか』と聞いた所、『あまり信じていない』と答えたエコノミストが52%にのぼり、さらに21%が『まったく信じていない』と回答した。つまり、7割のエコノミストが米FRBの果敢な金融引き締めが景気後退(リセッション)を引き起こしかねないと懸念、FRBが描く経済ソフトランディング(軟着陸)を信じていないと回答していることが判明した。既に、『ドクターカパー』こと銅の国際価格は3月上旬に史上最高値を付けた後、世界景気減速懸念から急落し、足元では1トン80000ドルを挟んで推移している。エコノミスト調査も『ドクターカパー』の反落も、米FRBのリセッション辞さずの金融引き締め姿勢を評価しての証左に他ならない。

 

パウエルFRB議長が想定以上にタカ派色強まる可能性も

米カンザスシティー連銀主催国際経済シンポジウムが25日から27日までワイオミング州ジャクソンホールで開催される。市場の焦点は、26日に予定されているパウエル議長証言となる。最近の連邦準備制度理事会(FRB)関係者の発言を受け、大半、議長がタカ派姿勢を示すことが織り込まれつつある。
議長証言で、インフレの見解においては、昨年の「一時的」から大幅転換すると見られる。また、景気後退リスクはあるものの、インフレ制御する利上げを継続する必要性を強調。経済の軟着陸の可能性を指摘するものと見られる。インフレの想定以上の長期化を示唆するなど、市場の予想以上のタカ派色を強める可能性も残る。

 

米国市場では7月PCEコア価格指数が公表:予想は前年比+4.7%

6月実績は前年比+4.8%だった。家賃やサービス項目の価格上昇の影響があった。7月については家賃やサービス項目の価格が上昇を続けていることから、6月実績と同水準の物価上昇率となる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   9月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲31.8)
○15:45   8月仏消費者信頼感指数(予想:79)
○20:00   7月メキシコ貿易収支(予想:52.00億ドルの赤字)
○21:30   7月米卸売在庫(予想:前月比1.4%)
○21:30   7月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.4%)
       7月米個人所得(予想:前月比0.6%)
       7月米PCEデフレーター(予想:前年比6.4%)
       7月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.3%/前年比4.7%)
○23:00   8月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:55.2)
○23:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ジャクソンホール会議で講演
○米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議、27日まで)

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