FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:中国人民銀行の金融緩和で下げ幅縮小

前週末の米国株市場は主要3指数がそろって下落した。特に大型ハイテク株の売りが目立ち、本日の日本株市場でも指数寄与度の大きいハイテク株が軟調に推移した。日経平均は朝方弱い地合いとなり、一時、340円安の2万8586円付近まで下落した。ただ、中国人民銀行が22日、銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を引き下げたと伝わると、日経平均平均は徐々に下げ幅を縮めた。結局、前営業日比135円安の2万8794円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:日米金融政策の違いが意識されるとドル押し上げ

ドル/円は、米長期金利上昇を眺めてドル買い・円売りが進み、一時137.43円付近まで値を上げ、約3週間ぶりの高値をつけた。このところ米FRB当局者から金融引き締めに積極的な発言が相次ぎ、日米金融政策の違いが意識されていることも、ドルの押し上げにつながった。ただ、7月27日につけた高値137.45円に接近すると上げは一服した。その後は、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、137.30円付近へ緩んだ。午後は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、137円台前半で小動きに終始した。ユーロ/ドルは、午前中に約1ヵ月ぶりの安値1.0024ドルをつけた反動から、利益確定などのユーロ買い・ドル売りが持ち込まれ、1.004ドル付近へ値を上げた。

 

ドル買い比率が2ヵ月ぶり低水準:前週のFX概況

QUICKが22日算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は19日時点で59.3%だった。前の週末から8.5ポイント低下し、6月中旬以来、約2ヵ月ぶりの低水準となった。インフレ抑制に向けた米連邦準備理事会(FRB)の積極的な金融引き締めが続くとの見方から円安・ドル高が加速した局面で、相場の流れに反して売買をする『逆張り』の傾向が強いとされる個人投資家は円買い・ドル売りに動いたようだ。円は前週末に一時、1ドル=137.22円近辺と7月27日以来ほぼ3週ぶりの円安・ドル高水準を付けていた。ドルに対するユーロ買いの比率は上昇した。19日時点は56.8%と前の週末から13.6ポイント上昇し、7月上旬以来1ヵ月半ぶりの高水準となった。エネルギー価格の高騰がユーロ圏の景気を冷やすとの警戒感からユーロ安・ドル高が進んだ場面で、個人投資家はユーロ買いの持ち高を増やした。

 

トルコ中銀の暴走的な利下げの再出発

18日、トルコ中銀は政策金利を100bp引き下げて1週間物レポ金利を13.00%とする決定を行った。同行は昨年末にかけて4会合連続の利下げに動くも、年明け以降は金利を据え置く対応を維持してきた。これは、商品高による世界的なインフレを受け、米FRBなど主要国中銀がタカ派傾斜を強めたことが影響している。しかし、同国の仲介によるウクライナ産穀物の輸出再開などに伴い商品市況は頭打ちしており、先行きの物価安定を期待して一転利下げに動いたとみられる。次期大統領選・総選挙まで残り1年を切るなかで家計及び企業ともにマインドが下振れするなど景気減速懸念が高まっており、『金利の敵』を自認するエルドアン大統領の圧力も影響したと考えられる。ただし、昨年末の利下げ局面ではコアインフレの鈍化をその根拠にしたが、足下では加速感を強めていることを勘案すれば根拠は完全に破たんしている。

 

トルコ中銀では外貨準備高持ち直しで強引な介入実施の可能性も

トルコ中銀の外貨準備高が持ち直しつつあるため、強引なリラ買い介入が実施されるかもしれない。それにより相場がかなり荒れる可能性があることは、念頭に置いておいたほうが良い。中銀が発表した12日時点でのネット外貨準備高は156.8億ドルと前週より38.7億ドル増え、約4カ月ぶりの水準を回復した。

 

南アでは今週はイベント多数

23日には4-6月期の失業率が発表される。1‐3月期は失業率は34.5%となり、市場予想や前回値(35.3%)よりも強い結果となった。また、拡大失業率(求職をあきらめた人を含む)は46.2%から45.5%へ低下、15歳から24歳の若年層失業率も63.9%(前回66.5%)に改善された。改善傾向が継続できるかが注目である。翌24日に南ア最大の労組・南アフリカ労働組合連盟(COSTAU)が大規模ストライクを計画していることで、雇用が悪化した場合の治安の乱れなどにも要警戒である。また、24日にそれぞれ7月の消費者物価指数(CPI)、25日に卸売物価指数(PPI)が発表される。CPIは上述のように南ア国内のエネルギー価格と食料品価格上昇が徐々に弱まっていることが確認できるかが注目される。PPIはCPIの後に出ることで、市場の反応は限られる。

 

メキシコ国内のジャーナリスト殺害:過去100年で最悪の可能性も

表現の自由を訴える国際人権団体『アーティクル19』が発表した最新レポートによると、今年に入ってメキシコ国内で殺害されたジャーナリストは18人となり、このペースだと今年は過去100年で最悪の年になる可能性があると人権団体は警告した。なお、18人のうち、半分の9人は仕事に絡んで殺害されたことが特定されたと同団体の地域ディレクターであるレオポルド・マルドナド氏が発言している。殺害の他にも今年の上半期だけで331件のジャーナリストへの脅迫や嫌がらせが発覚しており、この数はエンリケ・ペニャ・ニエト前大統領が政権を担っていた2018年上半期と比べて51%の増加を示しているとのこと。

 

ジャクソンホール会議で利下げへの早急な転換なし:BofA

BofAセキュリティーズは19日付リポートで、「ほとんどの米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の目には金融政策が景気に中立的な水準に近いことから、我々はパウエル議長が『ある時点で』金利引き上げのペースを緩めることが適切である可能性が高いことを示すことを期待する」と指摘した。ただし、「金利引き上げのペースが遅くなったからといって、FRBが現在の金利引き上げサイクルのターミナルレート(利上げの最終着地点)に対する見方を変えたわけではない」という。リポートでは、「利上げへのクックなピボット(転換)はありません。FRBは金利引き下げに迅速に軸足をを移すという考えに反対するだろう。パウエル議長は、米個人消費支出(PCE)のインフレ率が長期的に平均2%に向かっているという明確で説得力のある証拠が得られるまで、FRBは政策を制限的なものにすると繰り返していくだろう。前のサイクルにおける金融政策の見通しを『より低く、より長い』と表現することができれば、現在のメッセージを『より高く、より長い』と表現することができる」との見解を示した。

 

コモディティ価格下落の影響は23年から:ゴールドマン・サックス

ゴールドマン・サックス19日付リポートで、コモディティ(商品価格)が下落していることを踏まえ「中間材価格や輸入物価も下落し始めている。これらの安価な投入財はいつ消費者物価に反映されるのだろうか」と指摘した。独自の分析や試算から、「航空運賃へのパススルーがかなり速いにもかかわらず、上流部門のコストは一般的にコア商品価格に反映されるために2~6四半期必要だ。我々のモデルでは、前年比のコア・グッズ・インフレーションは22年まではプラスで推移した後、23年前半にマイナスに転じる可能性が高く、上流部門の物価上昇率は現在のプラス2.2ポイントから1~3月期までにマイナス1.6ポイントに変動する」との見方を示した。リポートでは、「主要商品の見通しに関するワイルドカードの1つは中古車価格だ。特に、8月前半にマンハイムの中古車オークションの価格が前月比3.6%下落したことを受けて、7月に自動車生産が2020年後半の水準まで回復したことをと合わせると、中古車の米個人消費支出(PCE)インフレ率は6月のプラス4%から12月にマイナス11%に低下すると予想される』という。

 

欧米市場イベント

○17:30   7月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比2.0%)

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