FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:様子見ムード強く利益確定売りが重しに

前日の米国株上昇が好感され、堅調地合いとなった。ただ、買い一巡後は、週末事情も手伝って利益確定売りもかさみ、日経平均は前日比で一時マイナスに転じるなど伸び悩む展開となった。市場では、2万9000円を超えてさらなる上値を追うために新たな材料が必要との声も聞かれた。来週に開催されるジャクソンホール会議でのパウエル米FRB議長の講演内容を見極めるまでは大きく振れ難い展開が続きそうである。米株価先物が日本時間で下げたことも、日本株の重しになった。結局、前営業日比11円安の2万8930円で小幅続落して終了した。

 

東京外国為替市場:136.20円台の狭いレンジ相場が継続

ドル/円は、前日のFRB当局者から大幅利上げに前向きな発言が相次いだことで、海外投機筋などがドル買い・円売りに動き、一時136.37円付近まで上昇した。本日は実質的な五・十日にあたり、仲値に向けて本邦入企業勢のドル買い・円売りが通常より多く観測されたこともあり、ドル/円の押し上げ要因となった。その後、このところ一本調子の上昇が続いていたため、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて136.20円前後で取引された。午後のドル/円は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、136.20円台を中心とする狭いレンジで推移した。今晩の米国株価動向やFRB当局者の発言内容を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、エネルギー供給不安や高インフレで、欧州景気の減速に対する懸念が根強く、1.00ドル台後半でユーロの上値が重い展開となった。

 

中国経済見通しを下方修正:ゴールドマンと野村

ゴールドマン・サックス・グループと野村ホールディングスは、中国の2022年の国内総生産(GDP)成長率予想をさらに引き下げた。電力供給不足もあり、中国経済の先行き不透明感は強まっている。ゴールドマンは予想を下回る7月の経済指標や当面のエネルギー制約を踏まえ、今年のGDP成長率見通しを3%に下方修正した。従来は3.3%だった。野村は通年の成長率予想を3.3%から2.8%に引き下げた。

 

ECBの9月理事会で50bp追加利上げを織り込む

欧州中央銀行(ECB)ショナーベル理事はロイターとのインタビューで『物価圧力が速やかになくなることはなく、短期的にはペースを加速する可能性がある』と述べた。また、『最近のデータによると、7月に我々が感じた懸念は和らいでいない』と、9月の定例理事会での大幅利上げを示唆した。これを受けて短期金融市場はECBの9月会合での50BPの利上げを織り込んだ。

 

トルコ中銀による衝撃的な政策金利下げ:下値余地を探る展開

トルコ中銀金融政策委員会(MPC)は18日、主要政策金利である1週間レポレートを14.00%から13.00%に引き下げることを決定した。予想は14%で据え置きであり、インフレ高騰の中での衝撃的な行動を受けて7.50円台から7.42円までリラ安円高が進んだ。なおトルコ中銀は声明で、『地政学的リスクの高まりとともに世界経済の不確実性が深まるなか、鉱工業生産と雇用の成長モメンタムを維持するために金融環境が支援的(緩和的)であり続けることが重要である』と述べた。また、『最近の政策金利と貸出金利のスプレッドが拡大しており、金融の伝達効果が低下している』との見解も示している。足もとの公式インフレ率が80%に迫っているにもかかわらず、トルコ中銀は昨年12月以来の利下げに踏み切った。中銀はインフレ率の恒久的な低下が確認されるまで利用可能な手段を全て取ると言ってはいるが、その中には金融引き締めは入っていない。 

 

南アでは週末はネガティブニュースが流れやすいので注意

南アからは来週に失業率や消費者物価指数(CPI)などの注目経済指標の発表を控えていることもあり、国内情勢では短期的には動きにくい状況である。もっとも、週末はネガティブニュースが流れやす。そのため、週明けにランドが下がって始まることが多いことで、ロングの場合は週明けに振り落とされないように気を付けたいところである。中長期的には、南アの電力負荷制限の問題、労使交渉含めた雇用不安などが上値の抑えになっている。一方で、南アのエネルギー価格や食料品価格の上昇が一服となれば、買い支えにはなりそうである。

 

メキシコ北部は深刻な干ばつが継続:北西部への影響も懸念

メキシコ北部では深刻な干ばつが続いているが、16日に米ワシントン当局は米国西部を流れるコロラド川からの出水制限措置を発表する。すでに『危険水域』とされるコロラド川の水を使用する米各州は使用量を減らす方法を巡って交渉を続けていたが、15日の交渉期限を過ぎたことでワシントン当局が介入し、米各州への割当量を削減するとした。メキシコに対しても7%の削減措置が取られることになり、メキシコ北西部の農業や畜産業などに対する影響も懸念される。

 

米7月中古住宅販売件数はパンデミック直後の低水準

全米不動産業者協会(NAR)が発表した7月中古住宅販売件数は前月比-5.9%の481万戸と、予想を下回りパンデミックによる経済封鎖直後の20年5月来の低水準となった。
コンファレンスボードが発表した米7月景気先行指数は前月比-0.4%と、6月-0.7%から予想以上に改善。ただ、5カ月連続のマイナスになった。

 

米FRB高官はインフレ対処の勝利宣言は程遠いと主張

原油価格の下落が奏功し最近の物価圧力やインフレ期待が低下している。しかし、連邦準備制度理事会(FRB)の高官はインフレ対処において勝利宣言をするには程遠く、まだ金融引き締めが必要との考えを変えていない。セントルイス連銀のブラード総裁はウォールストリートジャーナル紙とのインタビューで『FRBは年末までに政策金利であるFF金利誘導目標を3.75%から4%に引き上げる必要がある』と主張した。インフレがピークを達成したと宣言するのも『時期尚早』と警告した。インフレを制御できるまでまだ道のりは長いとし、利上げ継続が必要との考えを示した。サンフランシスコ連銀のデイリー総裁も、本年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有さないが9月FOMCで50BPまたは75BPの利上げが妥当だと、75BPの利上げも除外していない。政策金利であるFF金利誘導目標を年末までに3%を若干上回る水準に引き上げるべきとの考えを示している。また、データ次第で、FRBはこの水準以上に引き上げる必要もあると指摘した。

 

欧米市場イベント

○15:00   7月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.2%/前年比▲3.3%)
○15:00   7月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.2%/前年比▲3.1%)
○15:00   7月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.6%)
○15:30   4-6月期スイス鉱工業生産指数
○17:00   6月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○21:30   6月カナダ小売売上高(予想:前月比0.3%/自動車を除く前月比0.9%)
○22:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演

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