FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:好業績を発表した銘柄への買いが下支え

好業績を発表した銘柄への買いが広がったほか、値がさ株やハイテク株の上昇が相場を押し上げ、6月9日以来の高値となった。台湾株や米国株先物の上昇が投資家心理の改善につながったとの指摘も出ていた。結局、前営業日比243円高の2万8175円で終了した。2万8000円台乗せは6月9日(2万8246円)以来およそ2ヵ月ぶりの高値を回復した。

 

東京外国為替市場:133円台前半でもみ合う展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の続伸に支えられ、132円台半ばから133円台前半へ水準を切り上げた。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドルの買い戻しにつながった。岸田首相がペロシ米下院議長との会談後に、『台湾海峡の平和と安定を維持するための緊密な日米連携を確認した』『中国のミサイル発射は日本国民の安全に関わる重大な問題』などと発言したが、ドル/円相場への影響は限られた。午後に入っても、ドル/円の堅調地合いは続き、日経平均株価が上げ幅を拡大すると、さらにドル買い・円売りが進んで133.47円付近まで上昇した。このところFRB当局者からタカ派的な発言が相次ぎ、日米金融政策スタンスの違いを意識した海外勢のドル買い・円売りも観測された。ただ、今晩発表される7月米雇用統計を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、週末を控えた利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、やや値を下げて133.30円前後で取引された。ユーロ/ドルは1.02ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英中銀は27年ぶりの大幅利上げ:長期のリセッション警告

イングランド銀行(英中央銀行)は4日、政策金利の0.5ポイント引き上げを発表した。27年ぶりの大幅な利上げとなった。英中銀はその上で、インフレ加速の重圧により英経済が1年超のリセッション(景気後退)に向かいつつあると警告した。金融政策委員会(MPC)メンバー9人のうち8人が0.5ポイントの利上げを支持し、政策金利は1.75%に引き上げられた。MPCメンバーは、必要に応じてこの先も断固とした行動を取る姿勢をあらためて示し、今後の会合で今回と同様の利上げを協議する可能性を示唆した。ベイリー総裁は決定発表後の記者会見で、『MPCはインフレ圧力のさらなる持続を示唆する兆候を特に警戒し、必要があれば強力に対応する』とし、『9月およびその後の会合ではあらゆる選択肢が議論の対象となる』と説明した。

 

高インフレでトルコ経済活動の停滞は避けられそうにない

トルコ中銀が発表した先週末時点の外貨準備高は、ネットで91.2億ドルと前週から20億ドル超も拡大した。しかしながら、水準としては不十分ということもありリラの支持とはならなかった。トルコにとってポジティブである米金利低下や原油価格の下落にもかかわらずリラの戻りは鈍いままである。一昨日に発表されたトルコの7月消費者物価指数(CPI)は前年比79%台というかなりの高さである。富裕層がインフレ対策として買いあさっている不動産の価格が上昇し、そのあおりを受けて賃貸価格が急騰している。もともと物価高で消費動向が弱まっているなか、庶民の暮らしはますます苦しくなるばかりである。このままではトルコの経済活動の停滞は避けられそうにない。

 

南アでは賃上げ交渉は難航

南ア公務員組合と財務省の賃上げ交渉では、解決の糸口が見えず、再び交渉は決裂した。公務員組合は6.5%まで賃上げを下げたが、財務省は給与レベル1-4の労働者は3%の賃上げ、レベル5-8は2.1%を受け取り、レベル9-12は1.50%と細かく分かれているが、総じて2%の賃上げを変更していない。先月発表された南アのインフレ率は7%を超え、年間を通しても財務省の賃上げ率2%を軽く超えてしまう。コロナパンデミック中はインフレ高進でも、組合は賃上げを我慢していたのにもかかわらず、2%だけの賃上げでは実質は賃下げになるので、合意は難しそうである。なお、この話し合いは調停に入った。来週10日までに政府に法的主張を提出するように調停者は求め、15日には調停者が公務員組合に回答し、19日には判決が出ると予想されている。

 

メキシコへの送金額は良好:製造業PMIは3ヵ月ぶりに50割れ

メキシコ銀行(中央銀行)が2日に発表した6月の国外労働者によるメキシコへの送金額は51億5250万ドルとなった。単月の数字としては過去最高額を記録した前月に次ぐ結果になった。また、前年同月比では15.6%増となり、26カ月連続で前年同月の水準を上回った。一方、同日に発表された7月メキシコ製造業購買担当者景気指数(PMI)は48.5となり、前月の52.2から悪化した。景況改善・悪化の分水嶺となる50を3カ月ぶりに下回った。先月発表された4-6月期メキシコ国内総生産(GDP)速報値は良好な結果だったが、先行きの景況感悪化などを鑑みると、メキシコ国内経済の失速の可能性にも警戒しておくべきである。

 

シネマ上院議員が『インフレ抑制法案』に署名と伝わる

米民主党のシネマ上院議員が『インフレ抑制法案』に著名し、上院通過への道を開くと伝わった。富裕層の未公開株やヘッジファンドの運用会社の税金負担を軽減する『キャリードインタレスト』と呼ばれる、税優遇措置の縮小につながる条項を法案から削除することで民主党が合意したことを受けたもの。同法案は機構変動対策や法人増税などバイデン大統領が実現をめざしてきた政策を含んでいる。

 

米住宅ローン金利は4ヵ月ぶり低水準

米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が4日に公表した米国の住宅ローン金利は30年固定型が週平均で4.99%となった。5%を下回ったのは4月上旬以来およそ4ヵ月ぶりとなる。前週から0.31%低下し、週間の低下幅としては7月上旬以来の大きさだった。米国で2四半期連続でマイナス成長となるなど景気減速懸念が高まっていることが住宅ローン金利の下押し圧力となっている。

 

米国市場では7月雇用統計が公表

米労働省が発表する最新7 月雇用統計で失業率は50年ぶりの低水準付近で推移、非農業部門雇用者数も前月比+25万人と、堅調な水準が予想されており、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続計画を正当化すると見られる。平均時給は前年比+4.9%と、年初来で最低の伸びに留まる見込み。パンデミックからの調整で小売りやハイテク企業などは、コストの上昇や在庫積み上がりに対処するため雇用削減計画を軒並み発表しており、労働市場の減速も懸念される。

■市場エコノミスト予想

失業率:3.6%(6月3.6%)非農業部門雇用者数:前月比+25万人(+37.2 万人)民間部門雇用者数:前月比+23万人(+38.1万人)平均時給:予想:前月比+0.3%、前年比+4.9%(+0.3%、+5.1%)

 

欧米市場イベント

○15:00   6月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.3%/前年同月比▲1.3%)
○15:45   6月仏鉱工業生産(予想:前月比▲0.2%)
○15:45   6月仏貿易収支(予想:125.60億ユーロの赤字)
○15:45   6月仏経常収支
○20:15   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○21:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○21:30   7月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2.00万人/失業率5.0%)
○21:30   7月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化25.0万人/失業率3.6%/平均時給、前月比0.3%/前年比4.9%)
○23:00   7月カナダIvey購買部協会景気指数
○6日04:00   6月米消費者信用残高(予想:250.0億ドル)
○ロシア・トルコ首脳会談(ソチ)

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