FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:好決算銘柄がけん引して7日続伸

日経平均は前日まで6連騰の反動で、朝方は反落してスタートしたが、その後は徐々に下げ幅を縮小した。グロース株を中心とした買い戻しや好決算を発表した銘柄の個別物色が支えとなり、プラス転化した後も底堅く推移した。日経平均株価は底堅さを維持しているものの、週末を控えているほか、来週はFOMCが予定されているため騰勢が強まる雰囲気はみられなかった。結局、前営業日比111円高の2万7914円と7日続伸して6月9日以来の高値水準で終了した。7月第2週(11~15日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は1443億円の売り越しとなり、売り越しは2週ぶりになった。個人投資家は107億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。信託銀行は1157億円の買い越しとなり、買い越しは5週連続となった。

 

東京外国為替市場:過度なリスク回避姿勢が和らぎ円売り優勢に

ドル/円は、前日に発表された米経済指標が軒並み低調で、米景気の減速を警戒したドル売り・円買いが持ち込まれ、137円台半ばから137円割れをうかがう場面があった。しかし、日米金融政策スタンスの違いが鮮明になっていることもあり、ドル売り・円買いは続かなかった。本邦輸入企業などのドル買い・円売りや低下していた米長期金利が持ち直したことに支えられ、137.60円付近へじり高となった。日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じ、過度なリスク回避姿勢を和らいだことも円売りを誘った。午後に入ると、日経平均株価の上げ幅拡大を眺めてさらにドル買い・円売りが進み、137.95円付近まで上昇した。しかし、心理的節目の138.00円に接近すると上げは一服した。その後は、週末を控えて利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、137.90円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、ECBの積極的な金融引き締めで、欧州の景気が一段と減速するとの警戒感からユーロ売り・ドル買いが優勢となり、一時1.018ドル付近まで値を下げた。

 

ECBが11年ぶり利上げ

欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で中期的なインフレ高進に対処するため、政策金利を0.5%引き上げる決定をした。2011年以来で初めて。同時に、危機対策ツール(TPI)を発表。TPIにより、ECBの大幅利上げの選択肢が増えたとした。今後は、ECBはデータ次第で、各会合ごとに金融政策を決定するとのガイダンスに変更した。ラガルド総裁は会合後の会見で、ユーロ安が大幅な利上げ決定の一因となったことを明らかにした。

 

イタリアのユーロ圏離脱リスク懸念が再浮上

イタリアの政権崩壊で、欧州債券市場で忘れられていた脅威が再び頭をもたげつつある。今後誕生するイタリアの政権がユーロ圏離脱に向かうリスクを投資家が懸念し始めていることを、クレジット・デフォルト・スワップは示唆する。こうした事態への保険が手厚い比較的最近のスワップが買われ、古いスワップに対するプレミアムが拡大、21日の市場で2018年以来の大幅となった。この日はドラギ首相が辞任した。前倒し総選挙の実施に道が開かれ、ユーロ懐疑派や財政への責任感が薄い政権が誕生する可能性が出てきた。欧州中央銀行(ECB)が予想以上に大幅な利上げを発表するとイタリア債の下げは加速し、同時に打ち出された域内市場の分断化を阻止する新ツールも売りを止めることはなかった。

 

ロシアは数週間内に一時停戦か:M16ムーア長官

英国外での情報活動を担う英秘密情報局(MI6)のムーア長官は21日、米西部コロラド州で開かれた米シンクタンクの会合で講演し、ロシア軍が数週間以内にウクライナでの戦闘を一時的に停止する可能性があるとの見方を示した。英メディアなどが報じた。ムーア氏は『われわれはロシアが今後数週間にわたって人員供給が徐々に難しくなると考えている。何かしらの形で一時的に戦闘をやめなければならなくなる』と指摘した。ウクライナ側に『反撃の機会が来る』と話した。

 

トルコ中銀は政策金利を据え置き:リラを手放す動きは継続

インフレ高騰にもかかわらず、トルコ中銀は政策金利を14.00%で据え置いた。予想通りとはいえ、特段リラを買う理由もなく、リラを手放す動きは続いている。トルコ中銀金融政策委員会(MPC)は昨日の声明でも、基本的なスタンス(インフレ高進にもかかわらず利上げせず)を変えるつもりがないことを示した。トルコ中銀の外貨準備高・枯渇への懸念もリラの重しとなっている。昨日発表された先週末時点での準備高はネットで63.5億ドルと61億ドルを割り込んだ前回から若干ながら増加した。しかしながら水準としては、5月前半の約半分、2月と比べると3分の1程度である。当局によるリラ買い介入が続かないことは市場に見透かされており、リラは対ドルで史上最安値に向けて着実に進んでいる。

 

南ア準備銀行は市場予想を上回る利上げを実施

南アフリカ準備銀行(SARB)が市場予想を上回る0.75%の利上げを行ったことで、ランド/円は8.13円まで上値を広げた。金融政策委員会(MPC)の5人のメンバーのうち0.75%の利上げ賛成が3人、0.50%が1人、そしてもう一人は1.00%の利上げを支持していた。なお、0.75%の利上げは、2002年9月に起こったエマージング市場危機で1.00%利上げして以来の大幅な上げ幅である。また、SARBは2022年GDP見通しを+2.0%(前回予測+1.7%)へ上方修正、2023年GDP見通しは+1.3%(前回+1.9%)に下方修正している。CPIは2022年は6.5%(前回+5.9%)、2023年5.7%(前回5.0%)、2024年4.7%(前回同じ)、コアCPIは2022年4.3%(前回3.9%)、2023年5.6%(前回5.1%)、2024年4.9%(前回4.8%)と概ねすべて上方修正した。声明文ではインフレリスクは上方向、ヘッドラインインフレは2023年4-6月期まで目標レンジ(3-6%)を上回り、2024年に目標レンジの中心に戻るとの予想を立てている。また、ランド安と食料と燃料価格の上昇がリスク要因としている。インフレ高進、エネルギー価格の高騰、電力の負荷制限の3つを合わせ『トリプル・ブロー』と呼ばれる不安が解消できないことや、世界各国の景気停滞懸念がランドの重しになり、しばらくは方向感のない動きが続きそうである。

 

米国市場では7月S&Pグローバルサービス業PMIが公表:予想は52.6

参考となる6月実績は52.7だった。インフレ高進がサービス需要を低下させている。この状況は、7月も変わっていないとみられており、サービス需要は6月実績を下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.3%/前年比▲5.3%)
○15:00   6月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.4%/前年比▲6.3%)
○16:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○16:15   7月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:50.8)
○16:15   7月仏サービス部門PMI速報値(予想:52.7)
○16:30   7月独製造業PMI速報値(予想:50.6)
○16:30   7月独サービス部門PMI速報値(予想:51.2)
○17:00   7月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:51.0)
○17:00   7月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:52.0)
○17:30   7月英製造業PMI速報値(予想:52.0)
○17:30   7月英サービス部門PMI速報値(予想:53.0)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:9.00%に引き下げ)
○21:30   5月カナダ小売売上高(予想:前月比1.6%/自動車を除く前月比1.6%)
○22:45   7月米製造業PMI速報値(予想:52.0)
○22:45   7月米サービス部門PMI速報値(予想:52.6)
○22:45   7月米総合PMI速報値(予想:52.4)

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