FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:金融間政策の継続による安心感で買い優勢

日経平均は、朝方に小安く寄り付いた後、一時プラスに転じた以外は、小安い水準での小動きが続いた。前日の米国株市場では株高だったが、日本株は前日に先取りする形で大幅上昇しており、利益確定や戻り待ちの売りが上値を抑えた。日銀の金融政策決定会合の結果が公表され、金融政策の現状維持と伝わった後、強含んだ。市場では、日銀の金融政策変更への警戒感もあった。金融緩和政策の継続が確認されたことで安心感が出た。欧州のエネルギー供給を巡る不安が和らいだことも投資家心理の支えで、高値引けとなった。結局、前営業日比122円高の2万7803円と6日続伸して終了した。信用評価損益率は15日申し込み時点でマイナス12.36%と、前の週のマイナス12.16%からマイナス幅が0.2ポイント悪化した。悪化は2週間ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:日銀金融政策後も138.20円前半でもみ合い

ドル/円は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが先行し、138.45円付近までじり高となった。その後も、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、138.55円付近まで上昇した。ただ、FRBによる1.0%の大幅利上げ観測がやや後退しているため、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、米長期金利が低下したことでドル売りも見られ、やや値を下げて138.30円前後で取引された。午後は、展望リポートで22年物価上昇率見通しを上方修正したことで、日銀が金融政策を変更するとの思惑から、138.00円付近まで急速に値を下げる場面があった。しかし、前日の東京市場で付けた137.91円が意識されると下げ止まる展開になった。その後は、ドルを買い戻し動きも見られ、138.20円前後でもみ合う展開になった。ユーロ/ドルは、ECB理事会を控えた持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り一時1.0227ドル付近までじり高となった。一部の海外メディアが『ロシアとドイツを結ぶ天然ガスのパイプラインについて、定期点検を終えてガス供給が再開された』と報じたことも、ユーロ買いにつながった。

 

中国の大型景気刺激策への期待が後退

中国で不動産業界の資金繰り悪化が懸念される中、李克強首相が財政・金融の大判振る舞いを改めて否定したことで、投資家が運用リスクをとりにくくなる。国営新華社によると、李首相は19日夜、世界経済フォーラムの企業家とのオンライン会合で『中国は高すぎる成長目標のため、超大規模な性劇措置や通貨の過剰供給などを実施したりしない』と述べ、22年の成長率が目標の『5.5%前後』から小幅に下振れしても容認する考えを示した。20日の米市場ではネットフリックスの好決算などを手掛かりにハイテク株が買われたが、アリババ集団(BABA)や百度(BIDU)などの中国ネット・IT株は総じて軟調だった。

 

伊で秋に解散総選挙の可能性は35%:ユーラシア・グループ

イタリアの議会上院は20日、ドラギ首相が率いる内閣の信任投票を実施した。賛成多数で可決したものの、主要政党は欠席し、事実上の不信任を示した。崖っぷちに立たされたドラギ氏は21日に議会下院で改めて去就を明らかにし、マッタレッラ大統領に意思を付充てる可能性がある。ユーラシア・グループは20日付リポートで「この秋に早期選挙の可能性は35%と見ている。政府の崩壊は2023年予算の可決を遅らせ、欧州復興基金の今年の財政を脅かし、ECBによる域内の利回り格差の広がりを示す『フラグメンテーション(分断)』リスクツールに付随する保障条件を満たすイタリアの能力を、これらの問題をさらに悪化させる」とも指摘をした。

 

欧州市場では欧州中央銀行(ECB)理事会が開催:予想は0.25bpの利上げ

7月理事会で25bpの利上げが計画されており、この計画は実行される見込みとなっている。ただ、9月以降については、ユーロ圏に関するマクロ経済予測に基づくことになる。ユーロ安や高インフレは利上げ要因となるが、ユーロ圏に関するマクロ経済予測に基づくことになる。ユーロ安や高インフレは利上げ要因となるが、ユーロ圏経済の大亜h場な減速が想定されており、9月以降の見通しについては予断を許さない状況が続くとみられる。

 

英国のインフレ率は40年ぶりの高水準を更新:積極的な利上げを迫る

英国のインフレ率が6月も40年ぶりの高水準を更新した。生活費が一段と上昇し、イングランド銀行(英中央銀行)に積極的な利上げを迫っている。英政府統計局(ONS)が20日発表した6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比9.4%上昇し、1982年2月以来の伸び率を記録した。5月は9.1%上昇だったが、自動車燃料が大きく値上がりしインフレが加速した。イングランド銀のベイリー総裁は19日夜の講演で、8月に0.5ポイントの利上げを行う可能性を示唆した。インフレ率を目標の2%に押し下げる取り組みを強化している英中銀だが、1997年の独立性強化後に政策金利を一度に0.5ポイント引き上げたことはまだない。

 

トルコ中銀が政策金利を発表:注目は声明内容

本日はトルコ中銀金融政策委員会(MPC)が開かれ、政策金利を発表する。主要金利である1週間レポレートは14.00%で据え置きが確実視され、こちらに関してはサプライズはない。注目は声明内容となるが、こちらも現状の政策やインフレ見通しを確認するに留まってしまうかもしれない。エルドアン・トルコ大統領は『金利は敵』または『自分は金利の敵』と言い、更なる利下げ圧力を中央銀行にかけている。金利が低く抑えられているため国内の不動産市場は活況であるが、高騰するインフレに歯止めが全く効きかない。利上げをしない限りは通貨価値の下落は止まりそうにない。大統領の言いなりのトルコ中銀に対する信用度も落ちる一方である。金融政策への不信感は高まるばかりであり、独立性を捨てた中銀が管理する金融市場への魅力は薄まるなかではリラの買いづらさは続く。

 

南ア準備銀行の利上げ幅に注目:景気停滞懸念がランドの上値の重し

昨日発表された6月CPIは市場予想を上回る結果となった。前年比で7.4%となった6月の南ア・インフレ率は、2009年5月の8.0%を記録して以来の高水準となった。6月の燃料価格は前年比45.3%で過去最大の上昇率となり、食品・ノンアルコール飲料の価格は8.6%上昇した。この結果を受けて本日の南ア準備銀行(SARB)金融政策委員会(MPC)で0.75%の利上げを予想する声も高まっているが、現時点では0.50%の利上げがやや優勢である。本日はMPCでの利上げ幅と、その前後に発表される声明文やクガニャゴSARB総裁の会見で上下することになると思われる。0.75%の利上げを行った場合は、最初はランド買いに市場は反応すると予想されるが、昨日のCPI後の動き同様にランド買いは一時的なものになりやすい。南ア国内ではインフレ高進、エネルギー価格の高騰、電力の負荷制限の3つを合わせ『トリプル・ブロー』と呼ばれている。この3つが多くの南ア企業に悪影響を与えていることで、利上げによるランド買いよりも、景気停滞懸念でランドの上値が重くなりそうである。 

 

米住宅関連指標は住宅市場の減速を示す

今週発表されている米住宅関連指標は住宅市場の減速を示す証拠となっており、FRBの7月FOMCでの1%の利上げ確率が低下した。住宅ローン需要は22年ぶり低水準に悪化した。全米不動産協会(NAR)が発表した6月中古住宅販売件数は予想を下回り2年ぶり低水準となった。米住宅産業協会(NAHB)が発表した7月NAHB住宅市場指数もパンデミックによる経済封鎖直後の20年5月来で最低を記録した。米商務省が発表した6月住宅着工件数は前月比‐2%の155.9万戸と予想158.0万戸を下回り、昨年9月来で最小となった。

 

欧米市場イベント

○15:45   7月仏企業景況感指数(予想:103)
○17:00   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○17:30   6月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.6%)
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:14.00%で据え置き)
○21:15   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.25%に引き上げ)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.0万件/134.0万人)
○21:30   7月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:ゼロ)
○21:45   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:5.25%に引き上げ)
○23:00   6月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.5%)

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