FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:引けにかけて短期筋の先物買いが押し上げた

前日の米国株の流れを引き継ぎ170円台でスタートし、その後もしっかりした値動きが続いた。米国株先物の軟調な推移が重しとなり、一時上げを縮めたものの、再び騰勢を強めた。業種別では、世界景気の後退懸念が意識される中、食料品や医薬品といったディフェンシブ銘柄が買われた一方、国内での新型コロナの感染者増加が嫌気され、空運業や陸運業などは軟調だった。市場では、日銀の金融政策を巡る報道を受けて、『買い戻しが入ったことは間違いない』との声が聞かれたが、『ドル/円相場は小動きにとどまっており、下支えする程度ではないか』との声も聞かれた。日経先物に短期筋に買いが入り、指数を押し上げ、上げ幅は一時400円を超える場面もあった。結局、前営業日比382円高の2万6490円で終了した。6月第5週(27日~1日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は3673億円の売り越しとなり、売り越しは3週連続となった。個人投資家は1517億円の買い越しとなり、買い越しは2週ぶりとなった。信託銀行は3522億円の買い越しとなり、買い越しは3週連続となった。

 

東京外国為替市場:様子見ムードから135円台後半でもみ合い

ドル/円は、米景気後退を警戒したドル売り・円買いが持ち込まれ、135.55円付近まで下落した。米長期金利が小幅に低下したことも、ドルの押し下げにつながった。ただ、今晩の米国株動向や米系愛指標を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後は、日米金融政策スタンスを意識したドル買いも見られ、135.80円付近へ値を切り返した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、135円台後半で取引された。明日発表される6月米雇用統計を前に、様子見ムードが広がっている。ユーロ/ドルは、前日の海外時間におよそ19年ぶりの安値1.0162ドルをつけた反動から、利益確定や持ち高調整のユーロ買い・ドル売りが入り、一時1.022ドル付近まで上昇した。

 

国内勢の海外株式買い越しは過去2番目の高水準

財務省が発表した対外及び対内証券売買契約などの状況(週間・指定報告機関ベース)によると、国内投資家による海外株式への投資は3週連続の買い越しとなった。買越額は1兆1917億円と、2021年12月第1週(11月28日~12月4日)以来の高水準だった。現行基準で比較可能な2014年1月以降で2番目の大きさとなる。米株式相場の調整が長引く中、四半期末を控えた持ち高調整などの買いが入った。海外投資家による日本株への投資は3週連続の売り越しだった。売越額は4904億円。海外株安につれた日本株の先安観から、引き続き売りが優勢だった。国内投資家は海外の中長期債を6週連増で売り越した。売越額は1兆4154億円。海外金利の先行観が根強い中、金利が低下した場面で売りが出た。海外投資家による国内の中長期債への投資は2週連続の買い越しとなった。買越額は3305億円。6月中旬まで大幅な売り越しとなっていたため、持ち高調整などを目的とした買いが続いた。

 

世界的な景気減速懸念:LME銅の下げ続く

6日のロンドン金属取引所(LME)の銅相場は下落。世界的な景気減速懸念が工業用金属を圧迫し、わずか数カ月前に記録した過去最高値からの下落が続いている。欧州の天然ガス危機や米国の景気減速、中国の新型コロナウイルス感染再拡大など、さまざまな需要への脅威を巡る懸念が広がっている。銅は一時5%近く値下がりした後、下げ幅を縮小した。前日は4.2%下落し、1年7カ月ぶりの安値で終了していた。アルミニウムが上昇した一方で、ニッケルとスズは下落した。LMEの銅相場は前日比2%安の1トン=7520.50ドルで終了した。ニッケルは3.5%、スズは5%それぞれ下落。アルミは0.7%、鉛は1.6%上昇した。

 

欧米諸国の成長鈍化でトルコの輸出鈍化を危惧

2020年のトルコの主要輸出相手国は、1位ドイツ、2位英国、3位米国、4位イラク、その次に伊・仏・スペイン・蘭などが続く。隣国イラク以外は欧米諸国であり、それらの成長鈍化を危惧する見方が広まりつつある。トルコ政府は輸出主導での景気回復を狙っていたが、このままでは政府の目論見は崩れてしまう。くわえて、トルコ銀行規制当局が先月発表した『外貨の大量保有企業へのリラ建て融資禁止措置』が、企業活動を制限するとの批判が強まっている。資本規制が今後も強化されるのではないかとの警戒感も、トルコ投資をためらわせる要因である。ただ、明るい材料を探すとすれば、トルコとの外交関係が改善したイスラエルが、8月1日からイスタンブールに経済事務所を再開させる。今後は二国間の経済協力が期待される。

 

南ア国内外ともにランドを買う材料が乏しい

米国の長短金利は逆転したままなこと、欧州のエネルギー供給不安や景気低迷など、中長期的にポジティブな材料を探すのが難しい状況である。このような状況下では、ランドをはじめとした新興国通貨は上値が重い展開が続くことが予想される。また、南ア情勢も決して良くない。国営電力会社エスコムによる電力の負荷制限は、昨日と本日はステージ6からステージ5に緩和される見込みであるが、エスコムの労働組合がストライキを行った水準まで電力供給を戻すのは、まだ数週間はかかるとされている。ここ連日のランドの下げ幅が大きいことで、ある程度の調整による戻しもあるかもしれないが、上述のように南ア国内外ともにランドを買う材料がほぼない。当面はランドは対円、対ドルともに上値が重い動きが続く。

 

国外労働者によるメキシコへの送金額は過去最高:6月製造業PMIも改善方向

メキシコ銀行(中央銀行)が1日に発表した5月の国外労働者によるメキシコへの送金額は51億7250万ドルとなった。前年同月比14.3%となり、25カ月連続で前年同月の水準を上回った。また、単月の数字としても過去最高を記録した。背景にあるのが米国の労働状況の改善である。5月米雇用統計は良好な米雇用環境が続いていることを示す結果となっており、国外労働者の大半が米国に居住しているメキシコ出身の移民も恩恵を受けた格好である。また、同日に発表された6月メキシコ製造業購買担当者景気指数(PMI)は52.2となり、前月の50.6から改善した。景況改善・悪化の分水嶺となる50を2カ月連続で上回った。インフレ高進と中央銀行による大幅な金融引き締めという状況は他国と変わらないが、前週末の指標からはメキシコ経済の相対的な底堅さがうかがえる結果となった。

 

メキシコ格付け見通しを引き上げ:S&P

S&Pグローバル・レーティングは、メキシコの長期格付け見通しを『ネガティブ』から『ステーブル』に引き上げた。慎重な財政・金融政策への期待のほか、エネルギー政策への不安の軽減が背景にあるとしている。

 

6月分FOMC議事要旨ではインフレ対処を再優勢していく方針を再表明

連邦準備制度理事会(FRB)は公表した米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月14-15日会合分)で、消費や労働市場に引き続き楽観的な見解を示し、7月会合での0.5%、0.75%の利上げが適切となる可能性に言及した。インフレが高過ぎ、高インフレが長引いた場合、一段と金融を引き締める方針を表明した。メンバーは引き締め政策が当面成長を弱める可能性を認識しており、ほとんどのメンバーは成長リスクが下方に傾斜すると想定しているとしたものの、リセッションには言及せず。インフレリスクをかなり注意していくと、インフレ対処を最優先していく方針を再表明した。
しかし、ISM非製造業景況指数の重要項目である新規受注は49.2と活動の縮小を示す50を25カ月ぶりに割り込んだ。雇用も5月に続き2カ月連続で50を割り込み5月から一段と悪化した。労働市場では、今後解雇が増える可能性もある。原油価格の上昇が一段落しており、もし、FRBが注視しているインフレ期待が低下した場合、大幅利上げの必要性もなくなる。

 

米国債市場では逆―ルドが再び発生で経済の先行きに警戒信号:米WSJ

米国債市場が、経済の先行きに再び警戒信号を発している。米市場では5日午後の取引で、2年債と10年債の利回りが一時逆転した。10年債利回りが2年債利回りを下回る逆イールドが発生した。この現象は景気後退の前兆となるケースが多いため、市場参加者は重要なシグナルとして注目している。逆イールドが起きるのは今年2回目で、4月初めにも2年債と10年債の利回りが逆転したが、ごく短期間で解消した。今回の逆イールドがいつまで続き、どこまでマイナス幅が拡大するかは未知数である。足元では景気の先行きを巡る懸念が強まっている。インフレ高進を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)が極めて積極的な行動を取らざるを得なくなったほか、新型コロナウイルス流行やウクライナ情勢に起因する供給ショックが続いており、市場関係者の間では景気が悪化しつつあるとの認識が高まっている。一方、アトランタ地区連銀の国内総生産(GDP)予測モデル『GDPナウ』は、4-6月期に成長率がマイナス2.1%になると予想する。1-3月期の実績はマイナス1.6%だった。原油価格も下げに転じており、需要が縮小するとの見方を織り込んでいる可能性がある。

 

低失業率は過去のリセッションとの異なる様相:米WSJ

米国経済は第2次世界大戦以降12回のリセッション(景気後退)を経験したが、いずれも二つの特徴があった。国内総生産(GDP)の縮小と失業率の上昇である。しかし今、極めて異例な事態が起こっている。GDPは1-3月期(第1四半期)にマイナスとなり、4-6月期(第2四半期)も再びマイナスになる兆候を示している。しかし、上半期の雇用市場には、失速の兆しはほとんど見られなかった。失業率は昨年12月の4%から5月には3.6%に低下した。これは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に絡む経済の異常な軌跡における奇妙なねじれの最新例であり、リセッションについて熟考している人たちにとっては謎である。米国がリセッションに陥っているか、あるいは近い状態にあるとすれば、過去のどのリセッションとも異なる様相を呈している。

 

米国市場では5月貿易収支が公表:予想は849億ドルの赤字

4月実績は-871億ドルの赤字だった。工業用品・材料や石油の輸出が増加した。5月については、石油の輸出が増加する可能性が高いこと、資本財、食品、サービスの輸出もまず順調であることから、赤字幅は4月実績を下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○14:45   6月スイス失業率(季節調整前、予想:2.0%)
○15:00   5月独鉱工業生産(予想:前月比0.4%/前年同月比▲1.8%)
○18:45   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○20:00   6月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比7.95%)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:6.75%に引き上げ)
○20:30   ECB理事会議事要旨(6月9日分)
○20:30   6月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   5月カナダ貿易収支(予想:24.0億カナダドルの黒字)
○21:30   5月米貿易収支(予想:849億ドルの赤字)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/132.7万人)
○22:00   マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○23:00   6月カナダIvey購買部協会景気指数
○23:10   ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁、センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○24:00   EIA週間在庫統計
○8日01:05   ピル英中銀MPC委員兼チーフエコノミスト、講演
○8日02:00   ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、インタビュー
○8日02:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○20カ国・地域(G20)外相会合(インドネシア・バリ島、8日まで)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ