FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国の景気に対する楽観的見方の後退で連れ安

前日の米国株市場は景気に対する楽観的な見方が後退して大幅続落し、その流れで日本株も朝方から売りが優勢となった。特に半導体関連など値がさのグロース株を中心に売られ、前日まで地合い改善が感じられたムードとは一変し指数は下押しを余儀なくされた。米国株先物が底堅く推移したため中頃から下げ渋ったが、戻りに弾みを加える動きとならず、安値圏でのもみ合いに終始した。海外要因だけでなく、国内指標への関心も高まってきており、週末の日銀短観の発表を控えていることから、目先は様子見ムードが強まっている。結局、前営業日比244円安の2万6804円と5営業日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利の低下を眺めドル売りに押される展開

ドル/円は、高値警戒感から利益確定売りや持ち高調整のドル売り・円買いが先行し、135.90円付近まで値を下げた。本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いフローも観測された。ただ、今晩の米国株価動向を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドルの押し目買いが入り、136.10円付近へ値を戻した。午後に入ると、海外勢などがドル買い・円売りを持ち込み、136.27円付近まで上昇する場面があった。しかし、前日のNY市場でつけた高値136.38円に接近すると上げは一服した。その後は、米長期金利の低下を眺めたドル売りに押され、136.00円付近へ下落した。ユーロ/ドルは、13時30分頃、ドイツのノルトライン・ウェストファーレン州の6月消費者物価指数が発表され、前年比+7.5%と前月の+8.1%よりも大幅に伸びが鈍化したことが分かると、ユーロ/ドルはユーロ売り・ドル買いが強まり、1.0500ドル付近まで下落する展開になった。

 

7月に就任後初の来日:イエレン米財務長官

米財務省は28日、イエレン米財務長官が7月12~13日に日本を訪問すると発表した。同氏の来日は財務長官の就任後初めてである。7月15~16日にインドネシアで開催予定の20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議への出席にあわせて、日本と韓国を訪問する。イエレン氏は東京で開催される会議やイベントに出席する。日本政府の経済分野関係者とも会談し、強固で弾力性のあるサプライチェーン(供給網)の構築、製造業の技術革命などについて協議する。米財務省はげ体的な日程は後日公表するとした。

 

ECBの利回り格差抑制策:ラガルドECB総裁

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は28日、ECBが検討している債券買い入れプログラムについて、ユーロ圏の利回り格差の無秩序な拡大を抑制すると表明した。各国政府に健全な財政を維持するよう圧力をかけ続ける考えも示した。当地で開催されたECBの年次フォーラムで『新たな措置は効果的でなければならず、なおかつ健全な財政政策への推進力を維持するために十分な安全措置(セーフガード)を盛り込む必要がある』と指摘した。ECBは段階的に行動するが、中期的なインフレが悪化した場合、特にインフレ期待が不安定化する兆候がある場合は、断固として行動する選択肢もあると述べた。

 

市場は来週のトルコ6月CPIに注目:トルコ大統領が北欧2カ国NATO加盟支持

今週は明日以降にトルコの貿易収支や製造業PMIの発表が予定されている。しかしながら、市場の目はすでに来週初の6月消費者物価指数(CPI)に向いており、結果を確認するまでは動きづらいかもしれない。トルコCPI(前年比)は前回5月分が73%を超えたが、一部通信社のエコノミスト調査では今回は78%を上回るとされている。80%超えを予想する専門家もおり、トルコ当局の物価抑制策は全く効果なしということが確認される。インフレによる通貨価値の下落も避けられそうにない。そのため発表前までにリラが買われる場面がもしあったとしても、その動きは長続きしないと予想される。なお、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の開催を本日に控え、エルドアン大統領は、ストルテンベルグ事務総長と、NATO加盟を申請しているフィンランドとスウェーデンの首脳と会談した。そこでトルコは、北欧2カ国のNATO加盟支持で合意した 。エルドアン・トルコ大統領がNATO拡大は北欧2カ国の対応次第ということを繰り返し述べていたため、首脳会議前の決着は難しいと予想されていた。その意味では驚きの結果と言える。4者協議前にエルドアン大統領はバイデン米大統領とも話したようであり、トルコにとって何らかの魅力的な条件が提示されたのかもしれない。

 

南アの4-6月期の消費者信頼感指数に注目:悪化ならランドへの悪材料

本日は4-6月期南アフリカ経済研究所(BER)の消費者信頼感指数が発表される。1‐3月期は前期の-9から-13へと落ち込んでいるが、世界的に消費者信頼感指数の悪化が指摘されていることもあり、南アの同指数も弱まる可能性が高い。インフレ下の景気後退という最悪な状況は、通貨ランドにとっても悪材料になりやすい。なお、国営電力会社エスコムに関しては好悪両材料が昨日は出ている。良いニュースとしては労使間の賃金交渉がまとまったこと、悪いニュースとしては電力の負荷制限が昨日と本日(16-22時)はステージ6まで制限が厳格化されることである。

 

メキシコの最新レポート:米格付け会社ムーディーズ

米格付け会社ムーディーズが、最新のレポートを発表し、『政策金利の継続的な引き上げは銀行にとってプラス』とのポジティブな見解を示した。一方で、『家計にとっては可処分所得にマイナスの影響を与えるため、メキシコ全体で言えばメリット・デメリットりが両方あり、相殺される』とした。そのうえで、経済成長率については2023年も低く、パンデミック前の水準に戻るには2024年になる可能性があると示した。

 

米消費者信頼感の悪化で景気減速やリセッションを警戒

インフレ高進に加え、これに対処する連邦準備制度理事会(FRB)の急速で大幅な利上げが消費者の不安をあおっている。消費者信頼感が急速に悪化しており、消費の減速が経済の成長を抑制すると懸念される。最新6月のミシガン大消費者信頼感指数確定値は50.2と過去最低を記録したことに続き、米コンファレンスボードが発表した6月消費者信頼感指数は98.7と、5月103.2から予想以上に低下し、昨年2月来で最低となった。特に期待指数が66.4と2013年3月以来で最低に落ち込んだことが影響した。消費者は高インフレや利上げで下半期の景気が減速し、景気後退リスクが上昇することを警戒している、とコンファレンスボードの幹部が指摘している。回答者の3割近くがビジネスの状況は下半期に悪化すると見ており、金融危機時の2009年3月来で最高の割合となる。また、2020年8月で最高となる回答者が、賃金が減少すると見ていることも明らかになっており、消費者の悲観的見通しが明らかになりつつある。必然的に下半期の消費、小売りにも影響を与えることになる。

 

欧米市場イベント

○17:00   4-6月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数
○17:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○18:00   6月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:103.0)
○18:00   6月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲23.6)
○19:00   シュナーベルECB専務理事、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   6月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比8.0%)
○21:30   1-3月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率▲1.5%)
○21:30   1-3月期米個人消費(確定値、予想:前期比3.1%)
○21:30   1-3月期米コアPCE(確定値、予想:前期比5.1%)
○22:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ラガルドECB総裁、ベイリーBOE総裁、ECBフォーラムで演説
○22:15   ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、議会証言
○23:30   EIA週間在庫統計
○30日00:30   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○30日01:00   5月ロシア失業率(予想:4.2%)
○30日02:05   ブラード米セントルイス連銀総裁、あいさつ
○北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(マドリード、30日まで)
○ECB年次フォーラム(ポルトガル・シントラ、最終日)
○石油輸出国機構(OPEC)定時総会

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