FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:手掛かり材料難で様子見ムード強い展開

日経平均は小安く寄り付いた後は、プラス圏に切り返す場面もあった。しかし、買い一巡後は、手掛かり材料に乏しい中で上昇の勢いは続かなかった。市場では『先行きの米景気への懸念は根強く、米国株先物の下落が重しになった。』との声が聞かれた。また、為替市場でドル/円が135円台半ばへと円高寄りの動きとなったことも投資家心理の重しになった。世界の主要中銀による金融引き締めを受けて景気後退への懸念がくずぶる中、欧米で6月PMIの発表が予定されている。また、米国ではパウエルFRB議長による上院に次ぐ下院での議会証言が予定されていることもあり、全般様子見ムードも強まった。結局、前営業日比21円高の2万6171円と小反発して終了した。6月第3週(13~17日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は8044億円売り越し、売り越しは2週ぶりとなった。個人投資家は7069億円の買い越し、買い越しは5週ぶりとなった。信託銀行は643億円の買い越し、買い越しは4週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い戻し

ドル/円は、米FRBの積極的な利上げで、米国が景気後退入りするとの警戒感から海外勢などがドル売り・円買いに動き、135円台半ばへ水準を切り下げた。日経平均株価が急速に伸び悩み、プラス圏からマイナス圏へ転じたこともリスク回避の円買いを誘った。その後、中尾元財務官が一部メディアのインタビューに応じ、『現在の円安は日本経済にとって良くない』『為替介入の可能性は排除できない』などの見解を示した。これらの発言が伝わると、さらにドル売り・円買いが進んで一時135.13円付近まで下落した。ただ、心理的節目の135.00円が視野入りすると下げは一服した。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドルの押し目買いが入り、135.30円台へ値を戻した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、値を切り返して135.50円台を中心に取引された。本邦実需の売り買いが午前で一巡したこともあり、商いは薄かった。ユーロ/ドルは、フランスやドイツの6月PMI速報値を見極めたいとの雰囲気から、1.0570ドル前後で小動きに終始した。

 

★ジョンソン英政権へインフレ不満の増大

2桁の伸びに到達しそうな英国インフレ率は生活に不可欠の日常的な食料品に顕著に及び、生活費上昇がジョンソン政権への不満を増大しかねない状況にある。22日発表の英5月消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比9.1%上昇と前月から拡大し英中銀の利上げ継続見通しが強まり高インフレの長期化と金融引き締めが英景気減速に繋がると22日の英FT100株価指数が売られた。

 

欧州市場では6月S&Pグローバルユーロ圏製造業PMIが発表:予想は53.9

5月改定値は54.6と速報値から上方修正された。ただ、供給不足、価格上昇の状況は改善されていないこと、需要がサービスにシフトしていることから、6月製造業PMIは5月実績を下回る可能性がある。

 

トルコ大統領とサウジ皇太子の会談:協力関係を築くという方向性

注目されたエルドアン・トルコ大統領とムハンマド・サウジ皇太子の会談は、両国の関係改善に向けた取り組みを今後も進めることが確認された。トルコを訪問したムハンマド・ビン・サルマン皇太子はサウジアラビアの事実上の最高権力者である。今年2回目となる首脳会談では、両国が新たな協力関係を築くという方向性が示された。エネルギーや防衛分野などの投資について協議されたことが伝わっている。ただ、具体的な内容は明らかになっていない。また一部報道では、外貨不足に悩むトルコ中銀が通貨スワップラインの設定についてサウジ中銀と交渉しているとしながらも、トルコ側が望むほど進展していないと報じられている。今後は、金融関係でも二国間協議がどの程度進むのかが注目される。本日は、日本時間20時にトルコ中銀金融政策委員会(MPC)が会合結果を発表する。政策金利は6会合連続の14%で据え置きが確実視されている。あまり期待はできないが、声明でインフレ警戒感を強めるかがポイントとなる。これまで通りに年末に向けて楽観的な見方と受け止められる内容であれば、失望のリラ売りが強まる。

 

南アのCPIは予想を上回る結果:7月の再利上げはほぼ確実

昨日発表された5月の消費者物価指数(CPI)は+6.5%となり、前月の+5.9%、予想の+6.2%を上回った。これは2017年1月以来の水準で、当時は政策金利が6.6%だった。7月に0.50%の再利上げはほぼ確実と市場参加者は予想している。燃料を除外すると+5.1%になることで、燃料価格の上昇がインフレ高進の大きな要因と言える。CPIの内容では運輸、食品、ノンアルコール飲料などの上昇が大きいものとなった。

 

FRBの大幅利上げ観測もやや後退:パウエル議長の議会証言

連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は上院銀行委員会証言での質疑応答において大幅な金融引き締めが原因で経済が景気後退に陥る可能性を意図しないが、もちろん、あり得ると答えた。また、軟着陸を目指すが、非常に困難となると、認めた。ただ、現状で、リセッションの確率が上昇しているとは思わないと言及。経済は、かなり強く、FRBの引き締めに耐えうるとの見通しを再確認した。従来、FRBは7月連邦公開市場委員会(FOMC)でも6月に続き0.75%の利上げが予想されていた。しかし、6月のFOMCで議長は会見で、7月での利上げ幅は0.5%または0.75%になると言及した。景気の減速が表面化する中、シカゴ連銀のエバンス総裁やタカ派として知られる米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁22日、もし、需要が弱まれば、7月の50BPが適切となる可能性を指摘している。FRBの利上げも想定されているほど、速やかにならない可能性もでてきた。

 

米国市場では6月S&Pグローバルサービス業PMIが公表:予想は53.5

5月実績は2ヵ月連続悪化した。外食や旅行などのサービス需要は回復しつつあるが、価格上昇の影響で指数は伸び悩んでいる。6月については状況の大幅改善は期待できないため、5月実績に近い水準にとどまる見込み。

 

欧米市場イベント

○15:45   6月仏企業景況感指数(予想:105)
○16:15   6月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:54.0)
○16:15   6月仏サービス部門PMI速報値(予想:57.6)
○16:30   6月独製造業PMI速報値(予想:54.0)
○16:30   6月独サービス部門PMI速報値(予想:54.5)
○17:00   6月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:53.9)
○17:00   6月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:55.5)
○17:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:1.00%に引き上げ)
○17:30   6月英製造業PMI速報値(予想:53.7)
○17:30   6月英サービス部門PMI速報値(予想:53.0)
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:14.00%で据え置き)
○21:30   1-3月期米経常収支(予想:2735億ドルの赤字)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.7万件/131.5万人)
○22:45   6月米製造業PMI速報値(予想:56.0)
○22:45   6月米サービス部門PMI速報値(予想:53.5)
○22:45   6月米総合PMI速報値(予想:52.8)
○23:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米下院金融サービス委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○23:30   ナーゲル独連銀総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○24:00   EIA週間在庫統計
○24日03:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:7.75%に引き上げ)
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、24日まで)

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