FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:積極手な買いは手控えられ不安定な値動き

前日の米国株高を好感し朝方は堅調だったが、米国先物が軟調に推移して続伸したことが重しとなり、一時はマイナス圏に沈んだ。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言を前に、積極的な買いは手控えられ不安定な値動きとなった。相場全体では、明確な物色傾向はみられず、循環物色の様相となった。市場では、米国などの金融引き締め加速や景気への警戒感がくすぶっており、今日予定されているパウエル議長の議会証言への関心が高い。結局、前営業日比96円安の2万6149円と反落して終了した。信用評価損率は17日申し込み時点でマイナス13.2%と、前の週のマイナス10.56%からマイナス幅が2.64ポイント悪化した。悪化は3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:24年ぶりの円安で利益確定売りやポジション調整のドル売り

ドル/円は、早朝におよそ24年ぶりのドル高・円安となる136.71円をつけた反動で、利益確定やポジション調整のドル売り・円買いに押される展開となり、136.10円付近へ下落した。日経平均株価が朝高後に伸び悩んだことや米長期金利が低下したことも、ドル売り・円買いにつながった。午後に入っても、軟調地合いは続いて一時136.05円付近まで値を下げた。しかし、今晩予定されているパウエル米FRB議長の議会証言を前に、下値を追う動きは限られた。その後は、、日米金融政策のスタンスの違いを意識したドルの押し目買いが入り、値を切り返して136.30円前後でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、欧州景気の減速に対する根強い懸念から、海外勢などがユーロ売り・ドル買いに動き、1.0485ドル近くへ下落した。

 

米中首脳協議は時期未定で関税引き下げはG7後か

時事通信によると、バイデン米大統領は21日、ホワイトハウスで記者団に対し、中国の習近平国家主席との協議について、『対話を計画しているが、時期は決まっていない』と語った。バイデン氏は18日に『近いうちに』協議する見通しだと話していた。
一方、ロイター通信は21日、複数の関係者の話として、バイデン政権が引き下げを検討している対中関税について、26日からドイツ南部エルマウで開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)の後に決定が先送りされる見通しだと報じた。

 

S&P500指数が3週連続で下げた週にHFが売り越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの21日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は13~17日の1週間に米国株を15億900万ドル売り越した。3週連続の売り越しとなる。この週は米連邦準備理事会(FRB)やスイス国立銀行(SNB)の大幅利上げを受けて金融引き締め懸念が強まったことを受け、S&P500指数が週間で5.79%安となって3週連続で大幅安となった時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が8億2300万ドルの売り越しで5週連続の売り越しとなった。機関投資家は15億3300万ドルの買い越しで、4週ぶりに買い越しに転じた。個人投資家は2億8300万ドルの小幅売り越しで、5週ぶりの売り越しとなった。企業の自社株買いは11億3100万ドルで4週移動平均(10億800万ドル)をやや上回った程度だった。相場の地合いが悪化する中、自社株買いを除いて主要3主体が全て売り越しとなり、HFや機関投資家の売越額が大きかった。全体では個別株・ETF共に売り越しだった。ただ、個人投資家は年初来で最大の買い主体となっており、同社の分析では相場の歩構成と順張りとされる個人投資家の動向が関心を集めた。

 

トルコ中銀の金融政策会合待ちで様子見ムード:ネット外貨準備高が低水準

明日にはトルコ中銀の金融政策発表を控えており、徐々に様子見ムードが広がる可能性はある。もっとも中銀金融政策委員会(MPC)が、高騰するインフレに対しドラスティックな政策を打ち出す、などということはほぼ無いと思われる。それどころか、エルドアン・トルコ大統領の利下げ言及を肯定するような内容が声明に追加されるかもしれない。そういった警戒感がもし高まるようであれば、ここから円安が加速したとしても、リラ/円だけは上値限定ということは十分あり得る。
一部メディアは昨日、トルコ中銀のネット外貨準備高が20年ぶりの低水準となる約70億ドルまで減少する、というエコノミスト予測を報じた。先週発表された10日時点のネット準備高は81.5億ドル。これも前週比20億ドル以上減少した数値である。外貨不足は深刻であり、こちらもリラ売り圧力を更に強める材料である。

 

南アの5月消費者物価指数に注目:利上げ幅予想に影響

本日南アから注目されるのが、5月の南ア消費者物価指数(CPI)である。市場予想では前年比で6.2%となっているが、これは南アフリカ準備銀行(SARB)のインフレ目標(3-6%)を上回るものである。すでに市場では7月の金融政策委員会(MPC)では0.50%の利上げを織り込んでいるが、CPIが上振れすれば利上げ幅がさらに広がるとの予想になる。なお、昨日クガニャゴSARB総裁はインタビューで『インフレ抑制のために先進国よりも早く対処(利上げ)した』『早期の利上げが多くの先進国や、他の新興国と比較しインフレのスピードを弱めた』『金利上昇が景気回復にブレーキをかけることはない』と発言したほか、『主要経済国の値上げが南アの価格をどの程度上昇させるか見守っているが、輸入物価上昇やランドの下落で、更なる行動(利上げ)も余儀なくされる可能性』とも発言している。

 

米5月中古住宅販売は2年ぶり低水準:価格は過去最高へ

全米不動産業者協会(NAR)が発表した5月中古住宅販売件数は前月比‐3.4%の541万戸と新型コロナパンデミック直後の2020年6月以降ほぼ2年ぶり低水準となった。前年比では‐8.6%。NARのチーフエコノミストは、一段と販売減少に備えていると警告した。
同指数は契約完了時点での統計となる。したがって、契約は3月、または4月のもの。この時点での30年物の固定住宅ローン金利は4%から5.5%前後だった。しかし、1カ月たらずで金利は6%台に急伸した。住宅ローン金利の急伸、建設材料不足やコストの上昇などで、住宅の値ごろ感は悪化の一途にある。同時に、供給状況は若干改善も依然ひっ迫しており、住宅価格を押し上げている。5月末時点で116万戸が売りに出されており、前月からは+12.6%だった。しかし、前年同月からは-4.1%。5月の中間価格は407600ドル(5300万円相当)前年同月から14.8%の上昇で、1980年後半の統計開始以降で最高を記録した。

 

米国株は一段安の余地がありリスク織り込み不十分

モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックス・グループのストラテジストは、株式相場がまだリセッション(景気後退)リスクを十分に織り込んでいないとして一段の下落余地があるとの見方を示した。年初来の下落で米国株の価格はより適正な水準になったが、経済収縮の規模を完全に反映するにはS&P500種株価指数がさらに15-20%下落し3000前後まで落ち込む必要があると、マイケル・ウィルソン氏らモルガン・スタンレーのストラテジストがリポートで指摘した。S&P500種は先週、1月に付けた過去最高値からの下落率が20%を超えた。ストラテジストらは『リセッションが到来するかそのリスクが消えるまで、弱気相場は終わらないだろう』と論じた。
ゴールドマン・サックス・グループも、株式相場は緩やかな景気後退しか織り込んでいないとし、『見通しが一段と悪化すれば影響を免れない状態だ』との見解を示した。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%/前年比9.1%)
○15:00      CPIコア指数(予想:前年比6.0%)
          小売物価指数(RPI、予想:前月比0.5%/前年比11.4%)
○17:00   5月南アフリカCPI(予想:前月比0.3%/前年比6.2%)
○17:40   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   5月カナダCPI(予想:前月比1.0%/前年比7.4%)
○22:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米上院銀行委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○23:00   6月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲20.5)
○23日01:50   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○23日02:00   米財務省、20年債入札
○23日02:30   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

 

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