FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国の金融引き締め加速が警戒され売り優勢

米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、インフレ高進を背景とした金融引き締め加速が警戒され、相場の重しになった。前日の米国株式市場で大幅続落を嫌気する形となり、大幅安で寄り付いた。また、中国でのコロナ禍によるサプライチェーンへの影響も改めて警戒された。半導体製造装置関連や電子部品、高PER銘柄などを中心に幅広く売られた。自動車など輸送用機器や機械といった輸出関連株もさえない銘柄が目立った。ただ、大引けにかけて下げ幅を縮めた。結局、前営業日比357円安の2万6629円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:日銀の買い入れオペの増額発表で円売り再開

ドル/円は、日経平均株価の大幅安を眺めてドル売り・円買いが先行、134円を割り込んで一時133.88円付近まで下落した。しかし、下値では日米金融政策の違いを意識したドルの押し目買いが入り、134円台前半へ切り返した。仲値にかけて本邦輸入勢のドル買い・円売りが通常より多く観測されたことも、ドル/円の底堅い動きにつながった。午後に入ると、日銀は15日は予定されていた中長期の国債買い入れオペの増額と、予定になかった超長期債の買い入れオペも追加すると発表した。これを受けて、日銀が長期金利の上昇を抑え込む姿勢を改めて示したことで、海外勢などがドル買い・円売りに動き、一時134.82円付近まで上昇した。ただ、このところ政府要人から円安けん制発言が相次いでいることもあり、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、やや値を下げて134.60円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、前日の海外時間に急落した反動から、利益確定などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.044ドル近くへ上昇した。

 

ECBの利上げを織り込む債券の下げが加速

短期金融市場は13日、欧州中央銀行(ECB)が10月まで今後3回の会合で合計1.25ポイントの利上げをするとの見通しを織り込んだ。2回の0.5ポイント利上げが見込まれていることになる。こうした観測を受けて欧州債の下げは加速した。金利変更への感応度が高いドイツ2年債利回りは10年余りで初めて1%を上回った。イタリア10年債利回りは2014年以来の高水準を付けた。ドイツ10年債との利回り格差は一時233ベーシスポイント(1bp=0.01%)に拡大し、2020年5月以来の大きさとなった。1.25ポイントの利上げが実施されれば、現在マイナス0.5%の中銀預金金利は10月にプラス0.75%となる。

 

トルコからの資産逃避が続いている状況

エルドアン大統領は昨日、トルコのインフレ負担は軽減されて来年2-3月には問題から脱却できると述べたが、それを本気で信じる投資家はかなり少ない。昨日もトルコ5年債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS、信用リスクを示す)は大きく上昇し、一時850ベーシスポイントを超える場面もあった。トルコからの資産逃避が続いている状況である。なお、昨日発表されたトルコの4月経常収支は-27.4億ドルと予想よりも赤字幅がやや縮小した。もっとも前年同月からは12億ドル以上赤字が拡大しており、過去12カ月の赤字合計は約257億ドルにも達している。エネルギー価格の上昇が赤字増の大きな要因とされた。今後トルコ政府がどのように経常収支を改善していくのか、実際にそれが可能なのかが注目される。

 

南アでは賃金交渉まとまらずストライキが延長

週末11日に行われた南アフリカ歳入庁(SARS)と全国教育・保健・連合労働組合(ネハウ)と公務員協会(PSA)組合との賃金交渉は、まとまることが出来ず、ストライキが延長された。ランドへの影響は限られてはいるが、ストライキが長期化し国民の不安が高まれば、経済面だけでなく治安への影響も与えそうなので、注目しておきたいところである。

 

ラマポーザ南ア大統領のマネロン疑惑が浮上

先週後半に南アで話題になっているのが、ラマポーザ南ア大統領のマネーロンダリング(マネロン)疑惑である。事の発端は2020年2月にラマポーザ南ア大統領が所有する農場・牧場で、正確な金額は明らかにされていないが約400万ドル(米ドル)の盗難被害にあったことである。このお金は大統領が所有し運営する企業の運転資金や、(牛などの)オークションなどで使用するために保管されていたものとされている。そして問題となっているのは、米ドルが盗まれたのにもかかわらず、米ドルとランドの取引などの申告がないとされていることである。多額の外貨取引などの場合は申告が必要で、大統領がマネロンに関わっていたのではないかと現在南アでは疑われつつある。クリーンなイメージな大統領ですが、今年後半の選挙を前にしてイメージダウンは避けられないかもしれない。

 

5月CPIショック時に個人投資家が4週連続で買い越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの14日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は6~10の1週間に米株を16億3100万ドル売り越した。2週連続の売り越しとなる。この週は、10日に発表された5月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回って米FRBの金融引き締め懸念が強まったことを受け、S&P500指数が週間で5.05%安となって2週連続で大幅安となった時だった。主体別動向では、ヘッジファンド(HF)が15億8700万ドルの大幅売り越しで、4週連続の売り越しとなった。機関投資家は18億500万ドルの売り越しで、3週連続の売り越しだった。個人投資家は5億3500万ドルの買い越しで、4週連続の買い越しとなった。企業の自社株買いは12億2500万ドルで4週いどうへいきん(13億3200万ドル)を引き続き下回って低調だった。相場の地合いが悪化する中、上場投資信託(ETF)による資金流出が響き、主体別では機関投資家の売り圧力が強かった反面、個人投資家の買い基調は続いた。株安にも関わらず、企業の自社株買いが低調な傾向が続いており、年初来のS&P500指数の時価総額に占める自社k場迂回の累計額の割合は新型コロナウイルスの感染拡大雨の2019年の同時期を下回っている。

 

6月FOMCで0.75%の利上げの可能性強まる

米連邦準備制度理事会(FRB)はワシントンで今週、14日、15日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。FRBは5月のFOMCで6月、7月FOMCでも0.5%の利上げを実施する可能性を示唆した。パウエル議長は0.75%の利上げに関し、FRBが検討する水準ではないと当初、言及していた。 直近の5月消費者物価指数(CPI)の伸びは予想外に拡大し40年ぶり最大の伸びを更新した。インフレがピークに達した証拠にならなかった。また、NY連銀が13日発表した世論調査では消費者が今後1年間の物価がより早く上昇すると見ていることが明らかになった。5月の中間の1年のインフレ期待は6.6%と、前回の6.3%からさらに上昇し、調査を開始した2013年6月来で最高となった。短期金融市場では政策金利であるFF金利が2023年5月時点で3.92%近くまで上昇することを織り込んだ。ウォール・ストリート・ジャーナル紙のFedウォッチャーはFRB高官が0.75%の利上げを容認する可能性に言及しており、6月FOMCでFRBが0.75%の利上げを実施する可能性が高まった。声明もよりタカ派に傾斜することが予想される。

 

米国市場では5月生産者物価指数コア指数が公表:予想は前年比+8.6%

4月実績は、前年比+8.8%だった。ロシアのウクライナ侵攻や中国での新型コロナウイルス関連ロックダウンを背景に、サプライチェーンの制約状況が深刻化している。生産者はコスト上昇に直面している。5月については4月実績に近い上昇率となる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.9%/前年比7.9%)
○15:00   5月独卸売物価指数(WPI)
○15:00   5月英雇用統計(失業保険申請件数推移/失業率)
○15:00   2-4月英失業率(ILO方式、予想:3.6%)
○15:00   5月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.9%/前年比7.0%)
        コア指数(予想:前月比0.8%/前年比7.0%)
○18:00   6月独ZEW景況感指数(予想:▲27.5)
○18:00   6月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:30   4月カナダ製造業出荷(予想:前月比1.6%)
○21:30   5月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.8%/前年比10.9%)
       食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.6%/前年比8.6%)
○15日02:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目

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