FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:上昇した反動による利益確定売り優勢

欧米株安の流れを嫌気し、値がさ株が軒並み下落した。今晩は米消費者物価指数(CPI)の発表を控えているため、警戒ムードも強かった。日経平均は前日まで5営業日連続で上昇していた反動もあり、利益確定売りの動きも加速した。市場では、米CPIの結果を受けた週末の米株安が警戒されているとの声が聞かれた。しかし、国内での経済再開ムードは強く、インバウンドやアミューズメントなどのテーマ株を物色する動きも活発化した。結局、前営業日比422円安の2万7824円と6日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:週末を控えて利益確定と持ち高調整の円買い

ドル/円は、日経平均株価の大幅安がリスク回避の円買いを誘い、133.90円付近へ下落した。このところ急ピッチの上昇が続いていたため、週末を控えて利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが入りやすい面もあった。ただ、今晩発表される5月米消費者物価指数(CPI)を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。午後に入ると、複数の国内メディアが『財務省・金融庁・日銀が午後4時から国際金融資本市場について三者会談を開催する』と報じた。これを受けて、急速な円安について何らかの話し合いが行われるとの憶測が広がると、ドル売り・円買いが強まり、134円を割り込んで133.60円台へ急落した。東京債券市場で新発10年物国債利回りが1ヵ月半ぶりの高水準となる0.25%へ上昇したことも円買いを誘った。ユーロ/ドルは、1.06ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

2022年度は円安などから最高益連続更新:大和証券

大和証券では企業業績見通しに関するリポートの中で、2022年度の業績を前年度比11.4%増収、同12.6%経常増益と予想している。ソフトバンクグループ<9984.T>を除くと同8.2%の増益見通し。2年連続の増収増益、過去最高益更新となる見込み。為替前提を1ドル=115円から125円に変更しており、前回集計から1.0%増額修正している。業績見通しのポイントとしては、
(1)大幅な円安による幅広い業種への恩恵、
(2)堅調な市況長期化の影響、
(3)自動車の生産正常化の遅れ―を挙げている。

 

ECBは7月から約10年ぶりの利上げ実施を表明

欧州中央銀行(ECB)は9日、7月に0.25ポイントの利上げを実施すると表明した。9月に0.5ポイント引き上げる可能性も示唆した。約10年ぶりの利上げ実施を宣言したほか、ECBは一連の追加利上げの道筋についても触れた。債券購入は7月1日に終了させる。声明は『中期的なインフレ見通しが現状維持または悪化する場合、9月会合でより大幅な利上げが適切になるだろう』とした上で、『現在の判断に基づいて、漸進的だが持続的な追加利上げが妥当になると政策委員会は予想している』と説明した。現在マイナス0.5%の中銀預金金利は、7-9月(第3四半期)末までに8年に及んだマイナス圏を脱することになる。最新の経済見通しによると、2024年のインフレ率は平均2.1%と、目標の2%を上回る見込み。

 

トルコ当局が新たに発表した政策

トルコ当局が新たに発表した政策は、国営企業への所得減税、国営企業の収益を指標としたリラ建て債券(最低利回り保証)の発行、消費者金融の満期制限などだった。また、トルコで行われる公募増資への海外からの資金調達を促進するため、外国人投資家への手数料も引き下げることが決定された。今後もトルコ政府から追加政策が明らかにされるが、インフレ抑制や経常収支の改善に繋がるような内容は期待できないかもしれない。多くの国と同じようにまずは金融正常化に踏み切ることが最重要なのだが、利上げを嫌うエルドアン大統領の態度は強まる一方である。そのエルドアン氏は昨日、来年6月までに行われる大統領選挙への出馬を表明した。なお一部メディアは、40以上のロシア企業が欧州拠点をイスタンブールに移すと報じている。その中には、国営ガス企業であるガスプロムも含まれている。これらに対する西側諸国の反応が今後は注目された。

 

南アランドは米金利に連れた動きになりやすい地合い

本日は南アからの経済指標等のイベントはないが、米国から5月の消費者物価指数(CPI)が発表されることで、米CPIの結果次第で大きく動く可能性がある。ここ最近は米金利の動向に鈍かったが、昨日は米金利に連れたので、本日も同様の動きが予想される。南アからのニュースでは、ラマポーザ南ア大統領が過去の事件でマネーロンダリングをしていたのではないかという疑いがかけられています。今後の動向が注目されます。

 

マンハッタンのアパート賃料が急騰

ニューヨーク・マンハッタンのアパート賃貸料は5月も急騰し、中央値で初めて4000ドル(約53万6000円)に達した。新規契約での賃貸料は前年同月を25%上回って4000ドルの大台に到達し、不動産鑑定のミラー・サミュエルと不動産仲介のダグラス・エリマン・リアル・エステートの統計があるここ30年で最高を記録した。
ニューヨークが新型コロナウイルス禍から回復する中で、賃貸料はここ4カ月、記録更新が続いている。大学を卒業して就職したり、新学期が始まる前に転居を計画したりする家族などで、賃貸市場は繁忙期を迎えたばかりだ。このため、物件争奪戦はさらにヒートアップし、賃貸料は一段と上昇し、記録更新の公算が大きい。

 

米国市場では5月消費者物価コア指数が公表:予想は前年比+5.9%

4月については、ウエートの高い住居費の上昇率は3月実績を上回った。また、航空運賃は30%超の高い伸び率を記録した。一方、中古車価格の伸び率は鈍化した。5月ついては住居費が引き続き高い伸び率となる可能性があること、その他でもやや高い上昇率となる項目がいくつか存在することから、前年比+6%程度の高いコアインフレ率となる可能性は残されている。

 

欧米市場イベント

○14:40   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○15:00   5月ノルウェーCPI(予想:前月比横ばい/前年比5.6%)
○16:00   4月トルコ失業率
○17:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:10.00%に引き下げ)
○20:00   4月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.1%)
○21:00   4月インド鉱工業生産(予想:前年同月比5.0%)
○21:00   4月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比2.6%)
○21:30   1-3月期カナダ設備稼働率(予想:83.1%)
○21:30   5月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化3.00万人/失業率5.2%)
○21:30   5月米CPI(予想:前月比0.7%/前年比8.3%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比5.9%)
○23:00   6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:58.0)
○24:00   ナーゲル独連銀総裁、講演
○11日03:00   5月米月次財政収支(予想:1200億ドルの赤字)

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