FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売りで上値の重い展開

前日の米国市場が休場で手掛かりに乏しい中、米先物や為替の円安が支援した。前日に大幅高となったハイテク株や高PERが利益確定売りに押され、上値は重かった。ただ、中国国家統計局が発表した5月の製造業PMIは49.6と前月の47.4から上昇し、景況悪化のペースが鈍化した。製造業と非製造業を合わせた総合PMIは48.4となり、4月は42.7だった。市場ではリスク要因となっていた中国経済も底打ちの兆しがみられ、地合いが改善しつつあるとの声が聞かれた。結局、前営業日比89円安の2万7279円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:月末絡みのドル買いフロー先行後は利益確定売り優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などから月末に絡むドル買い・円売りフローが多く持ち込まれ、128.34円付近まで上昇した。米長期金利が2.85%近くへ急上昇し、日米金利差が拡大したこともドルの押し上げ要因となった。ただ、メモリアルデーの休場明けとなる米株式市場の動向を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ128.00円へ軟化した。午後は日経平均株価のさえない動きを眺め、やや値を下げて127.85円前後でもみ合いとなった。今週予定されている5月米ISM製造業景況感指数や5月米雇用統計などの指標を前に、ポジションを積極的に傾けにくくなっている。ユーロ/ドルは、1.07ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場ではユーロ圏5月消費者物価コア指数

参考となる4月実績は前年比+3.5%となり、インフレ率は3月実績を大幅に上回った。エネルギー価格の上昇は一服しつつあるが、財・サービスや飲食料の上昇が伸び率を押し上げている。こうした状況は5月も変わらないとみられており、物価上昇率は4月実績と同水準か、やや上回る可能性がある。

 

トルコリアの上値の重い要因とは

週末にエルドアン・トルコ大統領が、北欧2カ国の北大西洋条約機構(NATO)加盟に否定的な立場を再び表明した。トルコと同盟国の関係悪化が危惧されてリラの重しとなった。また、来月3日に発表されるトルコの5月インフレ指標への警戒感もリラ売り圧力を強めた。トルコはエネルギーの多くを輸入に頼っており、原油価格の高騰は外貨買いリラ売りを強める要因である。同国経済へのダメージとなるだけでなく、インフレの更なる押し上げにも繋がってしまう。しかしながら、ネバティ財務相は昨日、悪化しているインフレ見通しは一時的と述べた。インフレ抑制をリードしなければならない財務相が現実を直視できていないようでは、今後の対策も期待できそうにない。なお本日は、日本時間16時に1-3月期トルコGDPが発表される。前年比の市場予想は7.1%とプラスではあるが、前四半期9.1%から減速が見込まれている。世界景気の低迷が懸念されるなか、結果の下振れには注意が必要で ある。

 

南アでは原油価格の上昇が経済や財政に深刻な影響も

南アはランド安の影響もあり国内のエネルギー価格が急騰をしている過程で、更なる原油先物価格の上昇は経済的な影響が深刻になりかねない。今後を占う上で特に難しいのは、4月と5月の特殊要因である。この時期は政府が関税の一部を一時的に免除したため、エネルギー価格の上昇をある程度抑制できた。しかし、この免除が月が変わる明日から無くなれば、エネルギー価格が『これまで見たことのない急騰(南ア自動車協会談)』との見方が強まっている。最新の南ア報道によれば、現時点では上述の免除の延長が発表されていない。仮に延長されない場合は、ガソリンはリッター約4ランド値上りし、報道では『モンスター級の上昇(Monster Hike)』になるとされている。一方で、免除が延長された場合は、南アの財政に大きな痛手となることで、政府は非常に難しい立場に立たされている。

 

6月のドル/円はFRBの9月利上げへの思惑で振幅

5月後半に公表された住宅関連の経済指標は米景気減速の兆しを示し、米個人消費支出(PCE)物価指数の伸び鈍化は米国のインフレ沈静を期待させるものだった。6月4日からは米連邦公開市場委員会(FOMC)参加メンバーからの情報発信が控えられるブラックアウト期間に入り、6月3日の米雇用統計や10日の米消費者物価指数(CPI)などをこなしながら14~15日のFOMCを迎えることになる。6月FOMCでの0.5%利上げ決定と7月の0.5%利上げ示唆も織り込み済み。政策金利見通し(ドットチャート)では中央値の大幅引き上げが見込まれ、前回3月からの上方修正分によって9月以降の利上げペースが逆算される。フェデラルファンド(FF)金利先物は9~12月で0.25%利上げを3.5回織り込み、9月に通常の倍のペースの0.5%利上げを5分5分とみる。9月利上げ0.25%に減速するとの見方が強まれば、米金利の低下に連れてドル円は下値余地を探ることになる。逆に、0.5%のペースが維持されるとの見方が支持されても、過度の金融引き締めによる景気懸念という学習効果が働き、ドル円が131円台に戻ることは難しくなる。

 

米国市場では5月CB消費者信頼感指数:予想は103.9

4月実績は107.3で3月改定値を若干下回った。期待指数は77.2で前月から上昇した。5月については、ガソリン価格の高騰などで物価は上昇しており、景況感は多少悪化する可能性がある。高額商品の購入意欲は衰えていないとの見方があるものの、5月は4月実績を下回る見込みである。

 

欧米市場イベント

○15:30   4月スイス小売売上高
○15:45   1-3月期仏国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比横ばい)
○15:45   5月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.7%/前年比5.2%)
○15:45   4月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   4月仏消費支出(予想:前月比0.8%)
○16:00   1-3月期スイスGDP(予想:前期比0.3/前年比4.3%)
○16:00   1-3月期トルコGDP(予想:前年比7.1%)
○16:00   4月トルコ貿易収支(予想:61億ドルの赤字)
○16:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○16:55   5月独雇用統計(予想:失業率5.0%/失業者数変化▲1.60万人)
○17:30   4月英消費者信用残高(予想:12億ポンド)
○17:30   4月英マネーサプライM4
○17:30   ビスコ伊中銀総裁、講演
○17:50   マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○18:00   5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比7.8%)
○18:00   5月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比3.6%)
○18:30   1-3月期南アフリカ失業率(予想:35.4%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○20:00   4月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.50%)
○21:00   1-3月期インドGDP(予想:前年同期比3.9%)
○21:00   4月南アフリカ貿易収支(予想:202億ランドの黒字)
○21:30   3月カナダGDP(予想:前月比0.5%/前年比3.7%)
       1-3月期カナダGDP(予想:前期比年率5.4%)
○22:00   3月米住宅価格指数(予想:前月比2.0%)
       1-3月期米住宅価格指数
○22:00   3月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比20.0%)
○22:45   5月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:55.0)
○23:00   5月米消費者信頼感指数(予想:103.9)
○1日02:15   バイデン米大統領とパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、イエレン米財務長官が会談
○欧州連合(EU)臨時首脳会議(最終日)
〇米NZ首脳会談(ワシントン)

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