FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:中国株や米株先物の下げ幅縮小で過度なリスク回避後退

前日の米国株式市場が大幅安となったことを嫌気し、主力株を中心に幅広く売られた。ただ、中国株が底堅い動きとなったほか、米株先物が下げ幅を縮小、為替が朝方に比べ円安方向に振れたこともあって、投資家心理が持ち直したとの見方が出ていた。市場では『前引け段階でTOPIXが2%を超す下げとなった場合は、日銀のETF買いが思惑視された』との声も聞かれ、下げ渋る要因になった。結局、前営業日比508円安の2万6402円と5営業日ぶりに反落した。5月第2週(9日~13日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は3534億円の売り越しとなり、売り越しは7週ぶりになった。個人投資家は2832億円の買い越しとなり、買い越しは2週ぶりとなった。信託銀行は817億円の買い越しとなり、買い越しは3週連続となった。

 

東京外国為替市場:過度なリスク回避姿勢が和らぎドルは堅調

ドル/円は、前日の米国株急反落を嫌気したドル売り・円買いが先行し、127.90円付近へ下落する場面があった。しかし、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、128円台半ばへ上昇した。その後も、低下していた米長期金利が上昇に転じると、128.70円へ値を上げた。午後に入っても堅調地合いは続き、日経平均株価の下げ幅縮小で過度なリスク回避姿勢が和らぐと、128.94円付近までドル買い・円売りが進行した。ただ、今晩の米株価動向や米経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、やや値を下げて128.60円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、1.049ドルを挟んで方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国住宅価格の7割の都市で下落:中国経済の減速を背景に再び悪化

中国国家統計局が18日発表した4月の新築住宅価格指数は、主要70都市のうち全体の7割近くに当たる47都市で前月と比べ下落した。下落の都市数は前月から9都市増え、中国経済の減速を背景に市況が再び悪化したとみられる。中国政府は住宅ローンの金利引き下げや購入規制緩和を進めるが、てこ入れ効果は未知数である。地方都市のほか、天津市や重慶市といった大都市でも下落した。首都北京市や南部の中心都市、広東省広州市では上昇。新型コロナウイルス対策でロックダウン(都市封鎖)下にある上海市は横ばいだった。

 

トルコ大統領は北欧2カ国のNATO加盟に異議:選挙対策と外交手段の1つ

本日トルコは祝日(青年とスポーツの日)であり、リラの流動性は通常より悪くなることが予想される。昨日に米株が大きく崩れた後なだけに、相場全般のリスクセンチメントにも注意が必要である。エルドアン・トルコ大統領は昨日、首都アンカラで与党・公正発展党(AKP)の議員の前で演説し、フィンランドとスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟について改めて異議を唱えた。大統領は、両国がクルド系過激派組織を支援し続ける限り、加盟を承認しないと述べている。ただ米独首脳などからは、北欧諸国のNATO加盟手続きについて楽観的な見方が伝わってきている。エルドアン大統領の否定的な態度は、来年に総選挙を控えた国内向けであるとともに、外交手段の1つでもあると見られている。欧州連合(EU)が科している制裁の緩和や米戦闘機売却、またシリア絡みの問題などでトルコ側に歩み寄れば、エルドアン氏の心変わりは早いかもしれない。  

 

南アでは利上げ幅に注目:スタグフレーション懸念

南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)です。市場は0.5%の利上げ(政策金利を4.75%に引き上げ)と予想している。判断が難しいのは今後の南ア国内の燃料価格の上昇がほぼ確実なこともあり、市場予想を上回る利上げを行った場合である。本来であれば金利上昇によるランド買いになるが、昨日の小売売上高(前年比+1.3%)が市場予想(前年比+1.5%)を下回るなど、南アの景気減速=スタグフレーション懸念が高まりそうなことで、ランド買いに素直に市場が反応するかが難しいところである。

 

メキシコ中銀メンバーから利上げ熱を冷やす発言が出るか注意

一昨日メキシコ中銀メンバーの中でも最もハト派よりとされるエスキベル副総裁の発言が伝わった。同副総裁は一部通信社とのインタビューの中で『必ずしも米連邦準備理事会(FRB)と歩調を合わせて利上げを行うわけではない。メキシコは米国よりも早くに金融引き締めに動き、すでに米国よりも中立金利に近いからだ』と述べた。先日の中銀会合では0.75%の大幅利上げを主張するメンバーがいたほか、より強力な措置を講じることも示唆していただけに、ここで市場への過度な金利先高期待を冷やす発言をした。直接的にこの発言により、メキシコペソ相場が動意づいたわけではないが、エスキベル副総裁の次にハト派よりのヒース副総裁など、利上げ熱を冷やす発言などが出るかどうかにも注意する必要がある。

 

世界サプライチェーン圧力が一段と強まる:さらなるインフレ要因に

NY連銀は最新4月調査報告を発表、世界のサプライチェーン圧力が今年に入り初めて上昇し、潜在的に地政学的緊張の高まりが目先のさらなるボトルネックにつながる可能性を警告した。世界サプライチェーン圧力指数は3.29と、3月の2.8から上昇した。昨年12月に4.45のピークをつけ圧力は鈍化していたが、ここにきて再び上昇に転じた。
ユーロ圏、中国、日本、韓国、台湾、英国、米国の製造業データにおける運輸コストなどを含む。中国のコロナ流行拡大抑制のための都市封鎖に加えて、ウクライナ、ロシア戦争が欧州のサプライチェーンに響いているほか、米国やアジアの空輸コストを大幅に引上げた。 NY連銀によると、状況としては2008年の金融危機、2017-18年の米中貿易戦争に類似しているという。ウォールマートなどといったディスカウント小売り店は、コロナ対応などで運送コストの上昇、過剰在庫や、過剰人員などを理由に業績に悲観的な見通しを示している。今後、収益が圧迫されて企業が人員削減に踏み切る可能性もあり、現在、豊富な求人数も急激に減少し、労働市場のひっ迫も解消される可能性がある。いずれ、失業者が増え景気減速に繋がる可能性も否めない。

 

機関投資家の現金比率は21年ぶりの高水準:米BoA

米BoA(バンカメ)17日公表の5月機関投資家調査(6-12日実施)によれば、運用資産に占める現金比率が約6%と米同時テロ(2001年9月)以来約21年ぶりの高水準となった。米FRBが積極利上げを進める中でハイテク株など高PER(株価収益率)株式が下落しリスク回避傾向が顕著になっている。なお、資産配分に占める株式の比率は『オーバーウエート(強気)にしている』と答えた割合から『アンダーウエート(弱気)にしている』と答えた割合を引いた値は-13%と守りの姿勢にあり、金利が上昇すると企業が将来稼ぐ利益を現在価値に換算する割引率も上がるため成長期待の高いハイテク株への逆風が強まっている。

 

株式と債券の流動性は2020年3月並みに悪化

JPモルガン・チェースによれば、S&P500種株価指数先物の流動性はコロナ禍初期に比べても警戒すべき水準にある。ゴールドマン・サックス・グループのデータは、米国債市場の流動性も歴史的な水準に悪化していることを示している。JPモルガンのストラテジスト、ニコラオス・パニギリツオグル氏は『市場の流動性は2020年3月とあまり変わらない』とし、『市場が比較的大規模な注文を大きな価格変動なしに消化できる能力は現在、極めて低いということだ』と解説した。17日に米国株の買いを再開した投資家にとっては警告となる。

 

欧米市場イベント

○17:00   3月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○18:00   3月ユーロ圏建設支出
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(4月14日分)
○21:30   デギンドスECB副総裁、講演
○21:30   4月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比0.5%)
○21:30   4月カナダ原料価格指数
○21:30   5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:16.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:20.0万件/132.0万人)
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:4.75%に引き上げ)
○23:00   4月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲2.1%/年率換算565万件)
○23:00   4月米景気先行指標総合指数(予想:前月比横ばい)
○20日05:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、討議に参加
○米・北欧2カ国首脳会談
○トルコ(青年とスポーツの日)、休場

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