FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:戻りに対する警戒感から上値の重い展開

前日の米国株式市場が高かったことを好感して幅広く買われ、一時2万7000円台を回復した。25日移動平均線を上回り、テクニカル面の改善も注目されている。ハイテク株を中心に幅広く物色されたが、戻りに対する警戒感があるほか、中国株や米株先物が軟化したことを嫌気し、中盤からは伸び悩んだ。一時上げ幅は400円に接近して2万7000円を上回る場面もあったが、利益確定売りなどが上値を抑えた。結局、前営業日比251円高の2万251と4営業日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円の下げ一服で129円台前半でもみ合い

ドル/円は、米長期金利の上昇一服や日経平均株価の伸び悩みを眺めたドル売り・円買いに押され、129.10円付近へ下落した。また、豪経済指標が予想を下回り、これを嫌気した豪ドル安・円高が波及した面もあった。午後に入っても軟調地合いは続き、129円を割り込んで128.95円付近まで下落した。ただ、前日の東京市場でつけた安値128.83円が視野入りすると下げは一服した。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが入り、129.20円付近へ値を切り返した。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドルの買い戻しにつながった。ユーロ/ドルは、前日の海外時間に急伸した反動から、利益確定などのユーロ売り・ドル買いが優勢になり1.0525ドル付近へ値を下げる場面があった。

 

1-3月期GDPは消費の減少は限定的:ゴールドマン・サックス証券

内閣府が18日に発表した1-3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質前期比年率換算で1.0%減となった。新型コロナウイルスの拡大を防止するための経済活動の制限で個人消費が伸びなかったが、市場予想(1.8%減)ほど悪化しなかった。ゴールドマン・サックス証券は18日付のリポートで『消費が前期比年率マイナス0.1%と、急拡大した21年10-12期(4Q、+10.2%)からは反落したものの、減少は限定的だった。まん延防止等重点措置下にあったため、市場予測は2%程度の下落を予想していた』とし、消費の底堅さに着目した。その上で、1-3月期GDPはマイナスに転じたものの、『大きなマイナス要因は公的資本形成の落ち込みと輸入の急増によるもので、消費、設備投資、輸出の主要需要項目は比較的安定的に推移した』と指摘した。22年4-6月期(2Q)については緊急事態が解除され、『ゴールデンウィークの人でも活況だったことなど消費を中心にプラスに転じると予想する』としながら、『ただし、資源価格高や円安による物価上昇が消費者マインドの改善を抑制する可能性には注意が必要だ』とみていた。

 

ドイツ・米英などで高スタグフレーション圧力:UBS

UBSはスタグフレーション圧力がどの程度厳しいか、どれくらい長引くかを定量化する新たな枠組みを示した。17日付リポートで明らかにした。UBSによると最もスタグフレーション圧力が強まっているのはドイツ、米国、スウェーデン、英国、トルコ、ロシアだという。対照的にスタグフレーション圧力が低い国々はオーストラリア、カナダ、中国、メキシコ、インドだという。日本は相対的に低いグループに属している。米国の直近におけるスタグフレーション圧力は過去平均のプラス3.3σと1990年以降最高となっている。ただ、1970年代のインフレピークであるプラス5σには遠く及ばないとも指摘した。また、足もとのスタグフレーション圧力半減には米国で29ヵ月、ドイツで20ヵ月かかるとの試算も示されている。UBSは米国におけるインフレはピークに達しているほか、欧州では22年9月までにインフレがピークに達すると予想している。

 

トルコではインフレ高進止まずリラ離れが進むばかり

トルコではインフレ高進が止まず、経常赤字も拡大している。財政赤字も膨れ上がっているため当局は有効な対策を打てず、投資家のリラ離れが進むばかりである。外貨収入が期待できる観光シーズンに突入しつつあるが、黒海の対岸で行われているウクライナ戦争の長期化がやはり大きな懸念材料となっている。昨日はネバティ・トルコ財務相のインフレに関する発言が伝わったが、抑制への具体策は示されず市場の失望をかった。また財務相は、現状の為替水準を容認とも受け取れるような見解を述べたと一部で報じられている。

 

南アでは4月消費者物価指数(CPI)が公表:利上げ幅に影響も

南アの4月CPIは前年比で5.9%と予想されている。南アフリカ準備銀行(SARB)の目標レンジが3-6%なので、レンジのほぼ上限となる。予想通りの結果となった場合は、明日のSARB・金融政策委員会(MPC)での0.5%の利上げの可能性が高まる。もし、予想を上回る結果となった場合は、0.75%の利上げ予想なども出てくる。南アでは先月後半からのランド安の影響で、6月のガソリン価格が『これまでに見られなかった価格』まで引き上げられると予想されていることで、早めの対応が行われるかもしれない。CPI以外にも本日は3月の小売売上高が発表される。2月は前年比でマイナスとなったが、小売りなどの伸びが弱い場合は、インフレ下の景気低迷でスタグフレーション懸念が一層高まる。

 

メキシコ政府の物価高対策が財政悪化懸念を招くとの声も

メキシコ政府は、物価高対策として食品や一部日用品の輸入関税を1年間廃止することを決定した。この措置については、現状、関税撤廃だけで現在のインフレを抑え込むことはほぼ不可能との声が多く、むしろ財政悪化を招くのではとの不安な声も出ている。

 

為替市場でボラティリティー指数が急上昇:WSJ

先進7カ国(G7)通貨の変動の大きさを示すJPモルガン・チェースの指数は今年に入り、70%余り跳ね上がった。ユーロのボラティリティーを示すある指標は、昨年11月からこれまでに2倍以上に達し、3月にはほぼ一貫して上昇した。為替市場のボラティリティー指数が急上昇するのは、通貨の価値が急激に失われているときである。こうした変動は、長引くインフレと世界的なサプライチェーン(供給網)ショックが2022年の金融市場にもたらした混乱の大きさを改めて浮き彫りにしている。金利上昇やロシアのウクライナ侵攻、中国の景気減速は、通常であれば静かな為替市場を根底から揺るがした。ドルは急騰し、主要通貨のバスケットに対するドルの価値を示すウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ドル指数はここ1年で13%余り上昇した。その間、ユーロは対ドルで14%余り、英ポンドは13%近く、それぞれ下落した。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比2.6%/前年比9.1%)
○15:00     CPIコア指数(予想:前年比6.2%)
         小売物価指数(RPI、予想:前月比3.4%/前年比11.1%)
○17:00   4月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%/前年比5.9%)
○18:00   4月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比7.5%)
○18:00   4月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比3.5%)
○18:00   ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   3月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比1.5%)
○21:30   4月カナダCPI(予想:前月比0.5%/前年比6.7%)
○21:30   4月米住宅着工件数(予想:176.5万件、前月比▲1.9%)
        建設許可件数(予想:181.2万件、前月比▲2.7%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○19日01:00   1-3月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比3.7%)
○19日02:00   米財務省、20年債入札
○19日05:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(独ボン郊外、20日まで)

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