FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:中国の不調な経済指標受け上値の重い展開に

前週末の米国株式市場の上昇を好感して幅広く物色されて始まったものの、中盤から米国株先物が軟化するにつれ、相場全般は伸び悩んだ。米国ではインフレがピークアウトした兆候に安心感が広がる一方、FRBによる金融政策引き締めで米経済がリセッション(景気後退)に陥るとの懸念もくすぶっている。中国で4月の経済指標が複数発表され、新型コロナウイルスの流行を踏まえた行動制限で消費、鉱工業生産などが大きな打撃を受けたことがが分かり改めて嫌気された。午前には400円高となる場面もあったが、短期筋の売りが出て指数の上値を抑えた。

 

東京外国為替市場:129円を挟み荒い値動き

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、129.65円付近へ上昇した。日経平均株価の大幅高で、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。しかし、FRBが積極的に積極的に金融引き締めへ向かうとの観測が高まり、米景気が減速するとの警戒感から上値を追う動きは限られた。その後、日経平均株価が朝高後に伸び悩むと、次第に利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押される展開となり、129円を割り込んで128.70円付近まで下落した。中国国家統計局が発表した4月の鉱工業生産と小売売上高が、ロックダウン(都市封鎖)の影響で予想外に低調な数字だったことも円の買い戻しにつながった。しかし、下値では日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りも見られ、129.00円付近へ値を切り返す荒い値動きとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、129.00円を挟んで取引された。今晩の米経済指標や米株価動向を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、1.0405ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル買い比率やユーロ買い比率が上昇:前週のFX概況

QUICKが16日に算出した13日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、『ドル/円』取引で総建玉に占めるドルの買い比率は前の週末から4.6ポイント上昇し69.0%だった。1月下旬以来およそ4ヵ月ぶりの高水準となった。円相場が急伸する場面で、相場の流れに逆らう『逆張り』とされる個人投資家の円売り・ドル買いが活発になった。12日に円相場は一時1ドル=127円台半ばまで上昇した。米国で過度なインフレ懸念が後退したとして米長期金利が節目の3%を下回る水準まで低下し、日米の金利差拡大を見込んだ円売り・ドル買いが一服した。米株式相場が大きく下げて『低リスク通貨』とされる円に買いが入った。短期間で円高・ドル安が進んだ場合で、個人投資家は逆張りの円売り・ドル買いに動いた。ユーロの買い比率は上昇している。『ユーロ/円』取引で、ユーロ買い比率は前の週比から11ポイント高い33.3%だった。フィンランドなど北欧諸国が北大西洋条約機構(NATO)への加盟申請をする見通しとなったと伝わり、欧州の地政学リスクが改めて意識された。ユーロが下げる場面で個人投資家の買いが集まった。対ドルでもユーロ買い比率は高まり、62.1%と同2.9ポイント上昇した。

 

インドが小麦輸出禁止の影響

 昨日15日にインドが小麦の海外輸出を禁止することを発表しました。しかも即座に中止となっている。価格上昇や、近隣国の食糧安全保障を確保するためが主要因とされているが、ロシアへのウクライナ侵攻で小麦不足が指摘される中で、生産国第2位のインドによる輸出禁止は、小麦市場だけでなく様々なコモディティ価格、そして為替市場への影響も懸念される。これまでロシア、ウクライナに続き、世界2位のインドを合わせると総計は245,063,386トンになる。今年の世界総生産量が約7億7千万トンと予測されていることで、この3国だけで全世界の3割以上の小麦を占めていることになる。これまでも小麦を輸入で頼っていた国は、今後は代替輸入国を探さなくてはいけないことになる。上述だけのデータを見ると、今後は中国、米国の超大国をはじめ、パキスタンやトルコなどからの輸入も増加し、その通貨の支えとなる可能性もある。

 

物価の番人不在のトルコリラを手放す動き

インフレ高騰にもかかわらず正統的な金融政策をトルコ中銀は取れず、『物価の番人』不在の国の通貨を手放す動きが進んでいる。トルコ当局が昨年末から今年にかけて取った通貨支援策の効力は着実に薄れており、新たな一手が明らかに必要である。しかしながら、トルコで最大の権力者であるエルドアン大統領が『金利は敵』との考え方を変えない限り、インフレなどの根本的な問題解決に向けた策は見つかりそうにもない。トルコ中銀は、企業の実需であっても、国内の外貨購入の動きに神経を尖らせているとの報道もある。外貨準備高の不足懸念が常に付きまとうなか、金融当局はドル売り為替介入もためらっているようにも見える。

 

南ア中銀の利上げ幅拡大やタカ派声明に注目

今週の南アからの注目材料は、18日に発表される4月消費者物価指数(CPI)と、19日の南アフリカ準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)になる。CPIは当初25日の発表予定だったが、これまで通りにMPC前の発表となった。3月CPIは市場予想を下回ったが、SARBの目標水準(前年比3-6%)のほぼ上限となる5.9%までインフレ率が高まりまった。4月も同水準近辺の結果が出た場合は、再利上げだけでなく、利上げ幅も広がる可能性がある。利上げ幅拡大やMPCでタカ派の声明が出た場合はランドの支えになりやすい。また、18日には3月の小売売上高、20日には格付け会社スタンダード&プアーズ社が南ア債の格付けを発表する予定である。

 

メキシコと米政府の関係悪化懸念広がる

メキシコのロペスオブラドールは来月6-10日に開催される米州首脳会議について、全ての国が参加しない限り出席しないと宣言した。これは、米政府が関係悪化を理由にキューバやベネズエラ、ニカラグアを招待しない姿勢を示唆していることが理由に挙げられている。メキシコ大統領はかねてから、この3国、特にキューバとは良好な間柄であり、先日にもキューバを訪れ、カネル大統領と会談し、『違いがあっても、我々は対話をしなければならない』と述べていた。ホワイトハウスのサキ報道官によれば、まだ招待状は発行されていないようだが、ニコルズ米国務次官補は先日、招待しない姿勢を示すなど、おそらく覆されることはなさそうである。メキシコ大統領がこの国際的なイベントに不参加となれば、両国の関係悪化につながりかねないとの懸念が広がっている。

 

米国株は9-10月頃に底入れする可能性:BofA

米BofAによれば、過去140年で19回の『Ber Market』(弱気相場)の株価下落率(平均)は37%、下落期間は289日(約9.6ヵ月)とされ、この平均値に従えば今回の『Ber』相場の下落調整はS&P500指数で3000水準、日柄的には1月4日高値4818から9.6ヵ月後の9-10月頃の底入れとなる可能性が指摘された。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独卸売物価指数(WPI)
○16:00   3月トルコ経常収支(予想:57億ドルの赤字)
○16:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○17:20   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:40   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○18:00   3月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済178億ユーロの赤字)
○21:15   4月カナダ住宅着工件数(予想:25.00万件)
○21:30   3月カナダ製造業出荷(予想:前月比1.7%)
○21:30   3月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲0.3%)
○21:30   5月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:17.0)
○21:55   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加
○23:15   ベイリー英中銀(BOE)総裁、ラムスデンBOE副総裁、ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○17日05:00   3月対米証券投資動向

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