FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:好決算銘柄を中心に押し目買い優勢

米連邦準備理事会(FRB)は前日に0.50%の利上げを決定したが、インフレ抑制には十分ではないとの見方から一段の大幅利上げに対する懸念が出ている。そのため、主要3指数は前日の上昇から『行って来い』となった。これを受けて日本株は売り優勢でスタートした。米長期金利上昇を懸念しており、米国株と同様にグロース株がさえない疎きとなった。ただ、売り一巡後は、好決算銘柄を中心に押し目を買う動きが出て、日経平均株価はプラス圏へと回復した。また、値ごろ感があるとみられたバリュー(割安)株を中心に買いが入った。ただ、日本株市場でも金利上昇で割高感が意識されやすいグロース(成長)株を注視に売られた。結局、前営業日比185円高の2万7003円で終了した。

 

東京外国為替市場:株価や米長期金利を眺め130円台半ばでもみ合い

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利が上昇したことに支えられ、130.81円付近まで値を上げた。日経平均株価の持ち直しで、リスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。ただ、心理的節目の131.00円が視野入りすると上げは一服した。その後は、週末を控えた利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、130円台後半から130円台半ばへ水準を切り下げた。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、130.60円台を中心とする狭いレンジで取引された。今晩発表される4月米雇用統計を前に、様子見ムードが広がっている。ユーロ/ドルは、欧米金融政策スタンスの違いを意識したユーロ売り・ドル買いが一巡すると、1.0520ドル台で方向感を欠く展開となった。

 

OPECはロシアとの結束を優先:小幅増産維持

石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる『OPECプラス』は5日のオンライン閣僚協議で、米国等が求める追加増産に応じずロシアとの結束を優先して6月の増産幅を5月と同じ日量43万2千バレルと現行の小幅増産を続けることで合意した。『OPECプラス』がロシアの供給減を補う追加増産に踏み切れば米欧への側面支援に繋がりロシアとの関係悪化を通じてOPECプラスの枠組み自体を危うくするという事情がある。

 

トルコでは20年ぶりの高水準のインフレ:金融政策の転換気配なし

トルコ統計局は5日、4月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比69.97%だったと発表した。経済成長を優先した金融緩和の副作用で、庶民の暮らしは20年ぶりの高水準のインフレに圧迫されるが、政府は新たな低金利ローンを導入するなど金融政策を転換する気配はみられない。中央銀行は4月28日、年末時点でのCPI上昇率が42.8%になるとの見通しを公表した。3カ月前の見通し(23.2%)から大幅に引き上げた。ウクライナ情勢を受けたエネルギー価格の高騰や通貨リラ安が原因だと説明した。中銀はインフレのピークが5月になるとしたが、市場ではより悲観的な見方もある。前中銀チーフエコノミストのハカン・カラ氏は10月ごろに80%台まで上昇する可能性があるとみる。CPIの先行きを占う4月の卸売物価指数(PPI)は121.8%増だった。

 

南アでや電力危機が今後も悪化する可能性

度重なる南アの電力負荷制限について、『国家非常事態宣言を発令するべきでは』との声に対して、ゴーダン公共事業相はこの考えを否定し『電力の制限はステージ8まで引き上げることができる』と述べた。ステージ8は8000MWまでの負荷制限で、1日6回または12時間までしか電力が供給されなくなった。ゴーダン氏は『システムは古く、想定どおりに維持されていない。計画的な保守のためにこれらのユニットを停止する必要があり、国の需要のために贅沢は言っていられない』と発言するなど、現行はステージ2にとどまっていりが、電力危機が今後も悪化する可能性を示唆した。

 

メキシコでは国外労働者による送金額は好調:米国の経済減速が懸念材料

メキシコ銀行(中央銀行)が2日に発表した3月の国外労働者によるメキシコへの送金額は46億8060万ドルとなった。3カ月ぶりに40億ドル台を回復し、前年同月比では13%増加した。これで前年同月の水準を上回るのは23カ月連続となった。もっとも、メキシコの国外労働者の大半が居住している米国では高インフレへの対処として米連邦準備理事会(FRB)の積極的な利上げが進むと予想されており、市場では今後の米経済の減速懸念も指摘されている。懸念が顕在化すれば米国内のメキシコ人労働者も大きな影響を受けざるを得ないことから、メキシコ本国への送金額が減少していく可能性もある。

 

米第1四半期の労働生産性が75年ぶりの落ち込み:米経済減速の兆し

労働省が発表した1-3月期非農業部門労働生産性は前期比‐7.5%と、10-12月期+6.3%から再びマイナスに落ち込み、1947年以降75年ぶり最大の下落率を記録した。人件費の高騰など、コストの上昇が影響した。同指標は、連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン元議長が経済の動向を判断する上で、最も重要視していた。同期単位人件費は前期比+11.6%と、伸びは予想を上回り20年10-12月期以降で最大となった。過去4四半期では+7.2%と、40年ぶり最大の伸びになった。加えて、企業は燃料や原材料価格の高騰にも悩まされることになる。特に中小企業は、景気後退入りを警戒している。ビジネス専門局CNBCの世論調査によると、中小企業の回答者の81%が年内に景気後退に陥ると懸念していることが明らかになった。

 

米FRBは保有資産を25年までに3兆ドル圧縮:GS予測

FRBは3-4日開催のFOMCで通常の2倍0.5%の利上げと保有資産縮小『QT』(量的引き締め)6月開始を決めた。パウエル議長は会見で『今後2回の会合で0.5%の利上げを検討する』とする一方で『0.75%利上げを委員会は積極的には考えていない』と述べ『FEDウォッチ』で織り込まれていた6月0.75%の利上げ観測が後退し、6月0.75%利上げにおびえていた米ダウ平均株価は4日、932ドル高と3万4000ドル台を回復した。もっとも、次回6月FOMCから『QT』(量的引き締め)が開始され0.5%利上げと共に『二重引き締め』として米景気オーバー・キル(過剰引締め)が懸念される。なお、FRBはバランスシートを月950億ドルずつ減らす計画であり、米金融大手ゴールドマンサックス予測ではFRBは9兆ドルから25年に6兆ドルまで減少、3兆ドルの資産圧縮により米長期金利に1%程度の上昇圧力がかかると試算される。

 

欧米市場のイベント

○14:45   4月スイス失業率(季節調整前、予想:2.2%)
○15:00   3月独鉱工業生産(予想:前月比▲1.3%/前年同月比▲0.4%)
○16:30   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○17:30   4月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:58.0)
○18:30   ナーゲル独連銀総裁、講演
○20:15   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)兼チーフエコノミスト、講演
○21:30   4月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化5.50万人/失業率5.2%)
○21:30   4月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化39.1万人/失業率3.5%/平均時給、前月比0.4%/前年比5.5%)
○22:15   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○23:00   4月カナダIvey購買部協会景気指数
○24:00   テンレイロ英MPC委員、講演
○24:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、ディスカッションに参加
○24:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○7日04:00   3月米消費者信用残高(予想:250.0億ドル)
○7日04:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演

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