FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株安と米長期金利上昇を嫌気した売り

前日の米国株安や米長期金利の上昇を嫌気する形で朝方に安く始まった後も、下げ幅を拡大した。売り一巡後も上値は重く、心理的な節目の2万7000円を挟んだ動きが続いた。市場では、米国市場の金利や株価の動向に振り回されており、前日の上昇分を打ち消す展開になった。国内企業の決算がこれから本格化するほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にして、目先は上値を追いにくいとの声も聞かれた。結局、前営業日比447円安の2万7105円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:日米協調介入についての報道で円買いが強まる

ドル/円は、米長期金利が2.95%を超える水準へ上昇したことがドル買いを誘い128.69円付近までじり高となった。仲値に向けて本邦輸入企業などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれたことも、ドル/円の押し上げにつながった。ただ、前日のNY市場でつけた高値128.70円に接近すると上げは一服した。午後に入ると、一部メディアが鈴木財務相とイエレン米財務長官の会談で、『市場が注目していた協調介入についても議論されていた』と報じた。この報道がドル売り・円買いを誘い、128.30円台へと下落した。その後も、米長期金利がやや低下すると、一段とドル売り・円買いが強まり、128円を割り込んで127.90円付近へ下落した。ユーロ/ドルは、夕方に発表されるフランスやドイツの指標を見極めたいとの雰囲気もあり、1.0840ドル台を中心とする狭いレンジでもみ合いとなった。

 

不動産ファンドにリスク:日銀の『金融システムリポート』

日銀は21日、半期に一度の『金融システムリポート』を公表し、地域金融機関中心に伸びている不動産業向け融資について、不動産ファンドには海外の投資ファンドから資金が流入しており、米金利の上昇などグローバルな環境変化が海外ファンドの投資減少につながれば、不動産ファンドの価格下落につながると警鐘を鳴らした。リポートは、日本の金融システムは『全体として安定性を維持している』と総括した。先行き、新型コロナウイルス感染症の再拡大と米長期金利の上昇がともに生じて実体経済と国際金融市場が調整する状況を想定しても『日本の金融システムは相応の頑健性を備えている』とした。

 

ECBの年内0.75ポイント利上げを織り込む:短期金融市場

欧州中央銀行(ECB)は、インフレの記録的高進に伴い政策金利の中銀預金金利を年内プラスに引き上げざるを得ず、年内0.25ポイント利上げが3回決定されるとの見通しが短期金融市場に反映されている。ユーロの短期金利に連動するスワップ取引市場は、ECB政策委員会の12月の決定までに合計0.75ポイントの利上げを織り込む。中銀預金金利(現行過去最低のマイナス0.5%)は、2012年以降で初めてプラスになる見込みである。

 

トルコ政府は外国人への不動産売却を推進:リラ相場の支えとなることが期待

欧州序盤にトルコの4月消費者信頼感指数が発表され、結果は67.3と前回72.5を下回り、約12年ぶりの低水準を記録した。国内のインフレ高騰や通貨安が消費者マインドの大きな重しとなっている。欧米金利が上昇基調を更に強めてしまえば、トルコの外貨債務増は避けられず、リラの対ドルやユーロでの売り圧力に繋がってしまう。トルコ政府は、外国人への不動産売却を推進するため、国内の不動産業者への財政支援を行う方針のである。政府はすでに、住宅ローン金利をインフレ率より遥かに低い水準で抑え、住宅市場の活性化に努めている。昨年の外国人向け住宅販売数は過去最高を記録しており、今後も拡大継続ともなれば、こちらはリラ相場の支えとなることが期待される。

 

急激な南アランド売りの理由付けは難しい状態

市場では、洪水の影響による南アの財政負担増、度重なる電力の負荷制限などがランド売りを促しているとされている。また、南アでのコロナ陽性率がこの3カ月で最大となっていることも売り要因とする市場参加者もいる。しかし、負荷制限については、この2日間でステージ4から2へと引き下げられていることを考えると、この要因でランドがここまで売られたという理由付けは難しい。連日の大相場で、ドルに対するランドの3カ月インプライドボラティリティは、昨日2月以来最も急上昇した。通貨を売るオプションと買うオプションのプレミアムも逆転 している。ただ言えることは、ここまで急激なランド売りが進んでいるなかで、トレンドに逆らうのは適切ではない。

 

メキシコの憲法改正案は否決:憲法改正はとん挫

メキシコ連邦議会下院は17日、ロペスオブラドール大統領が提出した憲法改正案を賛成275票、反対222票で否決した(憲法改正には3分の2以上の賛成が必要)。大統領はこの決定に対して『国民より外国企業の利益を優先し、国を裏切った』と怒り心頭のようだが、同時に自身の任期中に憲法改正案を再度提出することはないと表明した。国内外から大きな批判を集めていた憲法改正はとん挫した格好となった。

 

経済指標からFRBの金融引き締めを正当化

米労働省が発表した最新週次新規失業保険申請件数(4/16)は2000件減の18.4万件とパンデミック前の水準で推移した。また、失業保険継続受給者数は141.7万人と、前回から予想以上に減少した。1970年1月以降で最小となった。また、米4月フィラデルフィア連銀製造業景況指数の仕入れ価格は84.6と1979年来の高水準となった。労働市場のひっ迫やインフレ上昇が証明され、連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め加速計画を正当化する。

 

パウエル米FRB議長は速やかな利上げの必要性に言及

連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は21日の国際通貨基金(IMF)パネル討論会に参加し、若干さらに速やかな利上げの必要性に言及し、委員会の判断次第だとしながらも5月連邦公開市場委員会(FOMC)での50bpの利上げも選択肢とした。
また、インフレは世界的な問題だが、その水準に違いがあるとし、米国は他国に比べインフレにおける問題が大きく、速やかに引き締めを行う姿勢を見せた。短期金融市場では5月FOMCでの50BPの利上げを100%織り込んだ。年末までにさらに2.25%、2.5%の利上げも織り込み始めている。パウエル議長は特に労働市場はかなり過熱し過ぎで、持続できない水準とし、ひっ迫している労働市場を冷やす必要性があることを示唆した。

 

米国市場では4月サービス部門PMI速報値が公表:予想は58.0

3月実績は8ヵ月ぶりの浩志淳となった。飲食・宿泊サービス需要が持ち直していることが要因。4月についても、コロナ関連の規制緩和の恩恵を受けているセクターにおける景況感はまずまず良好とみられる。ただし、金利上昇や高インフレの影響は無視できないため、4月の数値は3月実績を若干下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.3%/前年比2.8%)
○15:00   3月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.4%/前年比0.7%)
○16:15   4月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:53.0)
○16:15   4月仏サービス部門PMI速報値(予想:56.5)
○16:30   4月独製造業PMI速報値(予想:54.5)
○16:30   4月独サービス部門PMI速報値(予想:55.5)
○17:00   4月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:54.7)
○17:00   4月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:55.0)
○17:00   2月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○17:30   3月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.8%)
○17:30   4月英製造業PMI速報値(予想:54.0)
○17:30   4月英サービス部門PMI速報値(予想:60.0)
○21:30   3月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比2.1%)
○21:30   3月カナダ原料価格指数
○21:30   2月カナダ小売売上高(予想:前月比▲0.1%/自動車を除く前月比横ばい)
○22:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○22:45   4月米製造業PMI速報値(予想:58.2)
○22:45   4月米サービス部門PMI速報値(予想:58.0)
○22:45   4月米総合PMI速報値(予想:57.9)
○23:30   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○24日 仏大統領選決選投票

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