FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:方向感を欠く展開も反発して終了

朝方に高く始まったがマイナス圏に沈む場面もあり、方向感を欠く動きとなった。前日の米フィラデルフィア半導体指数の上昇を受けて、半導体関連や電子部品などハイテク株が総じて堅調だった。また、為替相場が円安方向に振れ、自動車や機械といった輸出関連株の支えになった。結局、前営業日比185円高の2万6985円と3営業日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:口先介入では円安基調は止まらず

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、127.30円台へ上昇した。その後も、日米金融政策の方向性の違いを意識した仕掛け的なドル買い・円売りが持ち込まれ、127.80円付近へ上伸した。鈴木財務相が『為替の安定は重要で、急速な為替の変動は好ましくない』と市場をけん制したが、ドル高・円安基調に歯止めはかからなかった。午後に入っても堅調地合いは続いて一時128.23円付近まで急伸、約20年ぶりとなるドル高・円安を更新した。その後は、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、128.10円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、イースター休暇の連休明けとなる欧州勢の動向を見極めたいとの雰囲気もあり、1.07ドル台後半で方向感に乏しい値動きとなった。

 

20日のG20と21日の日米財務相会談での円安懸念発言には注意

今週は20日に米ワシントンでG20財務相・中銀総裁会議が開催される。21日にかけては、日米財務相会談も開かれる予定になっている。こうしたイベントで円安・ドル高のスピード面や水準面に関し、警戒発言が出てくると、調整的な円高・ドル安を促す可能性もある。18日には日銀の黒田東彦総裁が『大きな急速な円安にはマイナスが大きくなる』、『最近の円安はかなり急速な為替変動』と語り、円安のスピード面での警戒姿勢を強めていた。ただし、米国側の立場でいえば、現在のドル高は米FRBによる金融引き締め加速の姿勢が一因となっている。その中での米国によるドル高懸念は、政策的な整合性が取れない。しかも米国では物価が高騰しており、輸入物価などの押し下げにつながるドル高は、現状段階で歓迎すべき方向となっている。

 

中国景気は公共投資が下支え:中国当局にとっては難しい局面が続く

今年の中国は秋の共産党大会を控えて政治的に重要な年を迎えている。通常は経済の安定がなにより重視される一方、コロナ禍の制圧を目指す当局はゼロ・コロナ戦略を維持して経済活動の足かせとなっている。足下ではロックダウンの動きが広がり、企業マインドも下振れするなど一段と難しい状況になっている。1-3月の実質GDP成長率は下振れが懸念されたが、前年比+4.8%と伸びが加速し、前期比年率ベースでも+5.3%と試算されるなど堅調さが続いていることが確認された。サービス業が下振れするなど家計消費が弱含む動きがみられる一方、建設業は堅調に推移するなど公共投資の進捗が下支えしているとみられる。国家統計局は足下の状況について、短期的な下振れを警戒しつつ依然強気の見方を維持している。ただし、今年の成長率目標(5.5%前後)の実現のハードルは極めて高い。中銀は追加で預金準備率の引き下げを決定したが、ウクライナ情勢の悪化に伴う物価高は政策対応を難しくしている。過剰債務問題も政策対応余地を狭めるなか、中国当局にとってはコロナ禍対応を含めて難しい局面が続くことは避けられそうにない。

 

トルコの不動産業界は活況

トルコ統計局が先週発表した3月住宅・マンション販売は、件数では13万戸を超えて前年比で20.6%増を記録した。今年に入り、1月が約8.8万戸、2月は約9.7万戸と着実に販売数が増えている。トルコ政府は、住宅ローン金利を低く抑えて購入を後押ししている。中銀データによると、足元のインフレ率は60%を超えているにもかかわらず、住宅ローンの平均借入れコストは18.09%でした。ローンによる購入件数は3万戸を上回り、これは前年比38.8%増とされた。来年の総選挙までエルドアン政権は金利を押さえつける可能性は高く、トルコの不動産業界は更に活況を呈しそうである。

 

南アの洪水の影響には注意が必要

南アもインフレ懸念はあるが、他の新興国よりも比較的安定していることを受けたランド買いが続きそうである。しかし、南アの洪水の影響も深刻になっていることには留意しておいたほうが良い。先週もトヨタ工場の操業停止について記載したが、今回の洪水で企業や公共インフラにも甚大な被害が出て、ラマポーザ南ア大統領は、数十億ランドの経済的損失になると昨日発表している。

 

ヘッジファンドが7週連続で米株を売り越す:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの19日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は11~15日の1週間に米株を200万ドル売り越した。小幅ながら3週連続の売り越しとなる。この週は米FRB高官からタカ派的な発言が相次いで金利上昇基調が強まる中、S&P500指数が2.13%安となって2週連続で下げた時だった。主体別動向では、ヘッジファンド(HF)が7億5100万ドルの売り越しで、7週連続の売り越しとなった。機関投資家は2億4700万ドルの買い越しで、3週ぶりの買い越しとなった。個人投資家は3億4500万ドルの売り越しで、2週連続の売り越しとなった。企業の自社株買いは8億3800万ドルで4週移動平均(6億7500万ドル)を上回って改善した。相場の地合いが悪い中、個別株が買い越しの一方でETFは売り越しだったが、機関投資家が買い越しに転じたものの、HFの売り越し基調は続いた。決算シーズンに入って自社株買いはやや回復したが、S&P500採用銘柄の時価総額対比では年初来で0.06%にとどまり、2021年(0.07%)や2019年(0.10%)を下回っている。

 

米4月住宅市場指数は4ヵ月連続低下:値ごろ感は失われつつある

全米住宅産業協会(NAHB)が発表した4月NAHB住宅市場指数は77と、予想通り3月79から低下し昨年9月来で最低となった。年初から4カ月連続の低下となった。ただ、20年6月以降、ポジティブセンチメントを示す50を23カ月連続で維持している。急激な住宅ローン金利の上昇に加えて、原材料や雇用不足でコストを押し上げ、住宅価格の上昇に繋がっていることが建設会社のセンチメントにマイナスに影響した。30年物固定住宅ローン金利は3月初め3.9%前後だったが、現在は5.15%まで急伸している。新築住宅の価格は2月時点で前年比で10%超上昇しており、明らかに値ごろ感は失われつつある。特に住宅市場はパンデミック中、景気回復を主にけん引してきたため、鈍化は警戒される。スタグフレーション懸念も浮上する中、本年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有する・セントルイス連銀のブラード総裁は成長が抑制するまで引き締めを行う必要性を主張するなど、連邦準備制度理事会(FRB)高官は、引き締め加速を必要とする姿勢を変えていない。

 

欧米市場イベント

○21:15   3月カナダ住宅着工件数(予想:25.00万件)
○21:30   2月対カナダ証券投資
○21:30   3月米住宅着工件数(予想:175.0万件、前月比▲0.9%)
          建設許可件数(予想:183.0万件、前月比▲1.9%)
○20日01:05   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季会合と関連イベント(ハイブリッド形式、24日まで)
○IMF、世界経済見通し公表

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