★日経平均株価:米長期金利の上昇や米国株先物の軟調を嫌気した売り
イースターで主要海外市場が休場となったため手掛けにくさが強調される中、米長期金利が上昇、つれて米国株先物も軟調に推移したことが嫌気され、日本株は朝方から軟調な動きが続いた。また、中国経済の減速懸念に加えウクライナ情勢を巡る不安が根強く、幅広い銘柄に売りが出た。市場では3月期企業の決算発表が本格化することで、全般に様子ムードが広がり、商いは総じて細かった。結局、前営業日比293円安の2万6799円で終了した。
★東京外国為替市場:20年ぶりのドル高・円安を更新
ドル/円は、米長期金利上昇を眺めて126円台半ばから一時126.79円付近まで値を上げ、およそ20年ぶりのドル高・円安を更新した。しかし、黒田日銀総裁が衆院決算行政監視委員会に出席し『為替の過度に急激な変動はマイナスに作用することも考慮する必要がある』『為替相場をより注視していく』などと発言すると、持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、126.25円付近へ下落した。その後、日銀総裁が金融緩和を続けていく方針を改めて示したことで、126.60円付近へ値を持ち直す荒い値動きとなった。中国国家統計局が発表した1-3月国内総生産(GDP)や3月小売売上高などの指標は、強弱入り混じった内容だったこともあり、ドル/円相場への影響は限られた。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、126.60円台を中心とする狭い値幅でもみ合いとなった。今晩の米株動向を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、イースターマンデーで海外勢の流動性が低下しているため、積極的な売り買いは目立たず、1.0795ドルを挟んで小動きに終始した。
★ドル買い比率が小幅に上昇:豪ドル買い比率は低下
QUICKが18日算出した店頭の外国為替証拠金5社合計の建玉状況によると、15日時点で円に対するドル買い比率56.7%と前の週末から0.5ポイント上昇した。前週は日銀の黒田総裁の発言をきっかけに円相場が一時1ドル=126.70円と約20年ぶりの安値をつけた。利益確定を目的とした円買い・ドル売りが入る一方、円安・ドル高基調は変わらないとの見方から週後半にかけて『ドルに買戻しが入った』という。オーストラリアドルやユーロに対しては円を買い戻す動きが目立った。『豪ドル・円』の取引で総建玉に占める豪ドル買いの割合は前の週末と比べ2.9ポイント低い58.8%、『ユーロ・円』鳥非違でのユーロ買い比率は20.4%と同1.8ポイント低下した。
★4ヵ月ぶりに中国預金準備率下げ:経済停滞に対応
中国人民銀行(中央銀行)は15日、市中銀行から強制的に預かるお金の比率を示す『預金準備率』を引き下げると発表した。25日から0.25~0.5%下げる。新型コロナウイルスの感染拡大を徹底して抑え込む『ゼロコロナ』規制で経済が停滞していることに対応する。準備率の引き下げは2021年12月以来、4カ月ぶりだ。準備率を下げると市中銀行が人民銀に預けるお金が減り、貸し出しなどに回すお金が増える。大手行などの引き下げ幅は0.25%だ。経営範囲が1つの省にとどまる日本の地銀相当の都市商業銀行や農業協同組合に似た農村商業銀行は0.5%下げる。地銀などが顧客層とする中小零細企業や農家の資金繰り支援に重点を置く。人民銀によると、計5300億元(約10兆円)の長期資金が市場に放出される。銀行の資金コストが年65億元下がると見積もる。
★20日の3月貿易収支と21日の日米財務相会談に注意
米国財務省は、ドル高は米国経済の喫緊の課題であるインフレを抑制する要因でもあり、ドル売り・円買いの為替介入の可能性は低い。しかし、21日に開催予定の日米財務相会談には要警戒となる。3月のFOMC議事要旨では、『ウクライナ情勢の不確実性により、0.50%ではなく0.25%の利上げに留まった』ことが示された。ウクライナ情勢が悪化した場合、5月FOMCでの利上げ幅が0.25%に留まる確率が高まることには要警戒である。経済指標では、日本の3月の貿易収支は48億円の小幅な赤字と予想されている。リスクシナリオとしては、貿易黒字だった場合だが、2月の経常収支黒字に続いて、構造的な円安要因が緩和される可能性が高まる。
★トルコ政府は中銀への外貨収入売却の比率を引き上げ:企業の活動意欲の低下も
トルコ当局は先週、輸出業者に義務付けている中銀への外貨収入売却の比率を25%から40%に引き上げることを正式に決定した。本日から拡大された比率が適用される。これにより、8日時点で183億ドルとされたネットの外貨準備高の増加が見込め、リラにとっても一先ず支援材料とされる。もっとも、確かに現状の準備高は年初の80億ドル割れから持ち直しているが、昨年12月前半の水準には回復していない。通貨スワップでなんとか体裁を整えているとも言われており、準備高不足への危惧を後退させるにはまだ時間がかかる。また今回の措置は、企業の資金繰りを縛ることにもなりかねない。エルドアン大統領は輸出業者に対する融資金利の優遇策を打ち出しているが、外貨収入への規制強化によって企業の活動意欲が低下する可能性もある。
★南アの2月消費者物価指数(CPI)に注目:利上げ幅拡大への思惑
今週の南アからの注目イベントは、20日発表の消費者物価指数(CPI)です。2月分でもあり、ウクライナ侵攻後の原油急騰の影響はある程度限定されていると思われる。ただし、予想よりも強い結果となれば、南ア準備銀行(SARB)の利上げ幅拡大への期待が高まる。なお、次回金融政策委員会(MPC)は5月19日の予定である。南ア財務省によると、北米、欧州、アジア、アフリカの年金やヘッジファンド・金融機関など、さまざまな投資家が南ア債への関心を示していることが明らかにされた。財政状態の改善、他の新興市場(特にロシアやトルコなど)と比較した場合の相対的な『安全な避難所』としての魅力も、ランド/円の買い要因である。
★メキシコのトラック運転手が抗議デモ:米国のインフレ圧力が高まる恐れ
メキシコでは米国との国境付近でのトラック運転手によるストライキが話題となっている。バイデン米政権が新型コロナウイルス関連の国境規制を終了すると、共和党のアボット・テキサス州知事がこれに反対して州国境での安全検査強化を発表した。対してメキシコのトラック運転手が抗議デモを起こし、国境の主要な商業用道路が通行停止状態に陥っている。市場ではこの抗議デモによって米国内でサプライチェーンが混乱し、さらにインフレ圧力が高まる恐れがあるとして、米国への影響も懸念されている。
★米経済の今後12ヵ月のリセッション入り確率は15%:ゴールドマン
米連邦準備理事会(FRB)が3月米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを開始する一方、インフレ懸念が根強く米経済の景気後退(リセッション)入りが警戒される中、ゴールドマン・サックスは17日付のリポートで『表面的には、米国の過去の引き締めサイクルもソフトランディングの可能性が低いことを示唆している。第二次大戦後、14回の引き締めサイクルのうち11回は2年以内にリセッションが続いた』との見解を示した。リポートでは、明るい材料としては、これらの景気後退のうち8つだけが、部分的にもFRBの引き締めに起因している可能性があり、最近では軟調、軟調な踊り場がより一般的になっていることだと指摘している。その上で、額面通りに見れば『これらの歴史的パターンは雇用・労働者格差を縮小し、インフレ率を2%の目標に戻すことを目指しているFRBがソフトランディングへの困難な道に直面していることを示唆している』としながら、『しかし、リセッションを回避しつつ景気を冷やすというFOMCの目標は、コロナ後の労働供給と耐久財価格の正常化によって促進されるため、不況が避けられないとは思わない』とも指摘した。それにも関わらず、歴史的なG10諸国のエビデンスを踏まえるとリセッション入りの確率は通常よりも高いことを示唆しているとしながら、今後12カ月のリセッション入り確率を15%、今後24カ月のリセッション入り確率を35%と見込んでいる。
★欧米市場イベント
○23:00 4月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:77)
○19日05:00 ブラード米セントルイス連銀総裁、討議に参加
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季会合と関連イベント(ハイブリッド形式、24日まで)
○ドイツ、スイス、フランス、英国、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド(以上、イースターマンデー)、南アフリカ(ファミリーデー)、休場
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